2033年問題で火葬炉がパンクする?

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2033年問題
2033年問題とは、西暦2033年に旧暦(天保暦)が決められないという問題のことである。
その結果、大安や仏滅といった六曜を定めることができず、結婚式場や葬儀場に影響が及ぶことが心配されている。
とくに友引を火葬炉の保守点検に充てている葬儀業界は、増える死亡者への対応も相まって、社会問題になりかねない状況だ。

2033年問題とは

なぜ旧暦を定められないのか――。
西暦(グレゴリオ暦)から旧暦(天保暦)を計算するルールについては、「PHPで3ヶ月カレンダーを作る」で述べた通りである。
ここで紹介している関数 makeLunarCalendar において、二十四節気(中)を求める部分があるが、この中気これが旧暦決定の肝となる。ところが、2034年から2035年にかけ、2度の中気がある月が2つもある。
西暦2033~2034年の中気
中気1中気2
2033年07月26日処暑(08月23日) 
2033年10月23日霜降(10月23日) 
2033年11月22日小雪(11月22日)冬至(12月21日)
2033年12月22日  
2034年01月20日大寒(01月20日)雨水(02月18日)
2034年02月19日  
2034年03月20日春分(03月20日) 
天保暦のルールにしたがうと、2033年9月23日からの月は秋分を含むから8月、11月22日からの月は冬至を含むから11月となる。ところが、その間に9月と10月を入れようとしても、10月23日からの月が1つしかないため入れることができず、旧暦が定まらない。
これが2033年問題で、天保暦導入後初めて起こる想定外の事態である。

生活への影響と解決策

明治維新後の1872年からはグレゴリオ暦(国内法では西暦ではなく皇紀の使用が定められている)が用いられており、直接カレンダーに影響するものではないのだが、旧暦の月が定まらないと、大安、仏滅、友引といった六曜が定まらない。
現在でも、結婚式や葬式を行うのに六曜を選ぶ。とくに葬儀場は友引を定休日にし、火葬炉の保守点検に充てているところが多い。つまり、友引が決まらないと保守点検の予定が立たない恐れがあるのだ。

団塊世代が80歳代後半を迎える2033年の年間死亡者は2010年代より2割以上増え、160万人を超えると推計されている。火葬炉はフル回転するだろうから、保守点検できずに故障したりすれば、社会問題になりかねない。

国立天文台は、「旧暦2033年問題について」において対策案を提示している。
また、日本カレンダー暦文化振興協会は2015年8月、「2033年旧暦閏月問題の見解」において、代替案13を検討した結果、検討を継続すると発表した。
旧暦は法律で定める正式なカレンダーではないが、とはいえ国民の生活とは無関係とも言えず、専門機関ですら調整に腰が引けている状況だ。こういうときこそ政治の出番ではなかろうか。

参考サイト

(この項おわり)
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