アラスカでオーロラを見る

2001年3月18日〜22日 撮影
オーロラ
オーロラは、極域近辺に見られる大気の発光現象。名称はギリシャ神話の暁の女神アウロラに由来する。北欧神話においてオーロラは、夜空を駆けるワルキューレたちの甲冑の煌めきだとされる。日本語で「極光」と書くことも。
このシーズンはオーロラの当たり年だった。5泊滞在したうち、4晩にわたってオーロラを楽しむことができた。
デジカメの能力では色が再現できないのが残念である。実物は、NHKのハイビジョン中継を見るより柔らかで不思議な動きをする。
オーロラ
オーロラは、実は北極点や南極点の近くではあまり発生しない。緯度が大体65度から80度のドーナツ状の領域に高頻度で発生する。この領域をオーロラオーバルと呼ぶ。
オーロラが極域において発生するのは、その源であるプラズマ粒子が磁化しており、磁気流体力学的に地球磁場に凍結しているため、磁力線の集まる極域に集中して流入するからである。
これはスウェーデンの物理学者アルヴェーンによる凍結定理として知られている。
オーロラ
肉眼で見られるオーロラの色は発光が起こっている高度によって違い、上方200km以上では赤色(630nm)、200kmから100kmの低高度では緑色(557.7nm)、そして稀に100km以下の最下部でピンク色を見ることができる。赤と緑は酸素原子によるもので、ピンク色(427.8nm)は窒素分子による。
これは大気の主組成の高度変化と関連しており、100km以上では窒素分子に比べ酸素原子が卓越していることを示す。また赤と緑の境は酸素原子の密度変化が影響している。
通常見られるのは緑色のオーロラである。
オーロラ
振り込む電子のエネルギーが高くなると、平均的なオーロラの発光高度は低くなる。太陽活動現象に伴う磁気嵐により、たまに日本のような低緯度地方でも赤いオーロラが観測されることがある。これは磁気嵐によって磁力線が低緯度側にゆれることや、赤いオーロラが高高度であるために地平線に沈みにくいことと関係がある。
オーロラ領域から観測されるのは可視光だけではなく、紫外線やAKRと呼ばれるkm帯の電波、さらには振込み電子の制動輻射によるX線など様々な波長の電磁波が存在する。
オーロラ
写真は、天頂から降るように見えたオーロラ。

ともかく写真では表現しきれない代物なので、実物を見ていただくしかない。ただ、外気温は氷点下20度以下。
明るいオーロラなら家庭用デジタルビデオでも撮影が可能であることは分かったものの、気温が低すぎるためにデジタルビデオのバッテリはすぐに上がってしまった。バッテリを暖める工夫と結露対策は必須である。
また、繊細な色を見せるので、デジカメならRAWモードで画像保存できるものを勧める。できるだけCCD面積の大きい一眼デジカメが良い。
アラスカ
観測地の米アラスカ州フェアバンクス(Fairbanks)へは、シアトル経由で入った。機内から見える風景は、地球上とは思えないほど白い世界が続く。
フェアバンクス
フェアバンクスは、北半球で最も明るいオーロラが見える場所と言われており、アラスカ州立大学地球物理学研究所のオーロラ研究は世界的に有名である。
Fred Meyer
現地の巨大ショッピングセンター、フレッドマイヤー(Fred Meyer)は、食料品をはじめ、フィルムの現像まで、毎日お世話になった。地元ではフレディーと呼ばれているらしい。
Fred Meyer
レジがベルトコンベア式になっており、自分でカートから商品を取り出してコンベアの上に並べると、レジ係がバーコードを読み取っていってくれる。精算はクレジットカードでもOKだが、なぜか日本のJCBの読み取りエラーが頻発した。現金は用意しておこう。

駐車場には、車のバッテリーが上がるのを防ぐためのコンセントが用意されている。なにしろ日中でも氷点下なので、車を止めておくときには、コンセントを差しておかないとバッテリーが上がってしまう。
ガソリンスタンドも近くにあるが、もちろんセルフ給油方式である。同行したメンバの中にA級ライセンスを持っていた人間がいたので助かったが、左ハンドルのうえにアイスバーンである。いくら道幅が広いとはいえ、海外初心者は運転しない方がいいだろう。
氷の彫刻
プリンセスホテルに宿泊した。
雰囲気のよいホテルで、フロントに日本人女性がいたので何かと助かった。

玄関には氷の彫刻があった。
氷の彫刻
ホテルで最も困ったのは静電気である。エレベータのボタンを押せばバシッ! 部屋に鍵を差せばバシッ! ともかく青い火花が飛び散るのである。
2,3日すると身体の方は慣れたが、電子機材が壊れないかと冷や冷やものだった。静電気除去グッズの持ち込みをおすすめする。
レストラン
日中はピーカンである。空が高い。
写真は、街道沿いにあった謎のレストラン。店内に入ると怪しげな調度品がいっぱい。
日の入り
極北の地であるため、日の入りが極端に遅い。19時近くになって、ようやく太陽が沈む。ただ、太陽が沈むと、急速に暗くなり、オーロラが見えてくる。

フェアバンクスの位置

フェアバンクスは、北緯64.83度、西経147.72度、アラスカの中央に位置する人口3万人弱の都市である。偉大なる大地アラスカの「黄金の心臓(Golden Heart City)」を自負している。
フェアバンクスでは、夏と冬で気候が極端に変化する。夏期は摂氏10度から22.2度だが、冬期は摂氏マイナス30度からマイナス18.9度で最低マイナス61度の記録がある。9月や3月の季節の変わり目は日々の気温の差が30度にもなる。

近隣の情報

参考サイト

(この項おわり)
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