家庭での節電対策

2011年7月26日 更新

節電のススメ

原子力発電所
東京電力・福島第一原子力発電所の事故に加え、中部電力・浜岡原子力発電所をはじめとして各地の原発が停止することになり、2011年(平成23年)夏は電力供給不足が懸念されています。

ここでは、家庭でできる節電対策を紹介していきます。

家庭での電力消費の内訳と節電行動

家庭における電力消費の品目別内訳
エネルギー白書 2006版」(資源エネルギー庁)によると、家庭における電力商品の品目別内訳は左図のようになっています。

電力消費上位3位のエアコン、冷蔵庫、照明を工夫することで、かなりの節電効果が期待できそうです。
どの地域電力会社でも、供給不足が心配されるのは電力消費ピークとなる13~16時で、それ以外は余裕があると見込まれています。
そこで、家庭では次の2点を念頭に置いた節電行動をとればいいでしょう。
  1. 13~16時の節電を心がける。
  2. 朝食や夕食を作るときには熱中症にならないようにエアコンを使っても構わない。
  3. どうしても無駄に電気を使ってしまう場合は、思い切って契約アンペア数を下げてみる。

大電力消費家電(IH、電子レンジ、掃除機など)

単位時間当たりの電力消費量が最も大きいのはIHクッキングヒーターです。これは朝食と夕食以外には使わないほうがいいでしょう。電子レンジや電気乾燥機も同様です。
炊飯器は長時間の保温は止めた方がいいでしょう。朝に作り置きしておき、夕食は電子レンジで温めるといいでしょう。

掃除機、乾燥機、アイロンも電力消費が大きな家電製品です。掃除・洗濯は、近隣の迷惑にならないのであれば16時以降に行うといいでしょう。町内会やマンション組合で事前理解を求めておくことも必要かもしれません。

のべ電力消費が大きい家電(エアコン、冷蔵庫、照明など)

エアコンや冷蔵庫、照明は単位時間当たりの消費電力は少ないものの、常時稼働しているために、積算すると家庭の消費電力の4割近くを占めます。

まずエアコンですが、風力は弱にするより自動にした方が消費電力が少ないとされています。また、室外機に直射日光が当たると冷房能力が低下するので、ヨシズで日陰を作るなどするといいでしょう。フィルターの掃除もこまめに行うことです。
扇風機はエアコンに比べて消費電力が半分程度に済み、冷風扇なら10分の1以下になります。
ただし、室内でも熱中症にかかることはあるので、ときにはエアコンと扇風機の両方を使って効率的に冷房することも考えた方がいいでしょう。

次に冷蔵庫ですが、これはむやみに止めることができません。
まず、冷蔵庫がきちんと放熱ができるように、冷蔵庫の周りの荷物を片付けたり、ホコリを取り除きましょう。
庫内に物を詰めすぎないように。温度は中や自動に設定しましょう。
また万が一の停電に備え、冷凍庫に保冷剤を蓄えておくといいでしょう。

三番目の照明ですが、電力消費ピーク時には外光を取り込むなどして、必要のない電灯は消灯することです。電力消費の大きい白熱球を LED 電球に換えることで、消費電力を70%カットできます。

その他細かいものですが、便座のヒーターをオフにする、給湯パネルは使うときだけオンにするなどしましょう。

パソコンやテレビの節電

ノートPC
常時パソコンを利用している方は、スリープ機能を効率的に使いましょう。

パソコンは起動時、終了時に意外と電力を消費するものです。使わない時間が2時間以内なら、シャットダウンするよりスリープにした方が消費電力が少ないとされています。
マイクロソフトが「Windows PC の節電方法」を公開しています。
それによると、Windows搭載PCの利用では、スリープ/スタンバイの有効活用と、利用時のディスプレイ輝度調節による節電を行うことで1台当たり約30%、16ワット分の節電効果があるそうです。

要点を列挙します。
  1. 最新のPCは、5年前に発売されたPCに比べて平均約53%の節電効果。
  2. ノートPCは同じ年に発売されたデスクトップPCに比べて平均約66%の節電効果。
  3. PCの電力量はOS起動時に多く消費しており、OS起動時はスリープ状態からの復帰時に比べて3倍以上の電力量を消費している。
  4. 電源OFF時の待機電力とスリープOFF時の待機電力との間には約0.5ワットの差しかない。従って、1時間45分(XP搭載PCの場合)以内にPCを再度使用する場合は、電源オフではなくスリープ(Windows XPではスタンバイ)を推奨。
  5. PC利用時の最も有効な節電策はディスプレイの輝度調整。画面の明るさを100%から40%に変更することで平均23%の電力削減が可能である。
国内のノートPCメーカー各社は、電力需要の低い時間帯にACアダプタで駆動しながらバッテリーの充電を行い、電力需要のピーク時間帯にバッテリー駆動での運用に自動で切り替えるピークシフト制御ユーティリティを提供しています。

オプティムは節電支援として、PC省電力化ソフト「Optimal Green」を計画停電が予定されている2011年(平成23年)4月末まで期間限定で無償配布しています。対応OSは32ビット版Windows XP/Vista/7および64ビット版Windows 7です。
OptimalGreenはWindows PCの電源設定の内容をもとに、現在の消費電力の診断を行い、最適な電源プロファイルを作成、設定を行います。また、PCの使用状況に連動して省電力モードの設定、最適化を自動的に行うことで消費電力を低減します。省電力対応前後の電力消費量比較や、電力削減量、予想消費電力量、省エネ状況の理論値を表示する機能も持ちます。
パソコンやテレビの液晶モニタは、13~16時の間は、目が疲れない程度に明るさを落としておくといいでしょう。人感センサーが付いている機種であれば、センサーをオンにしておきましょう。シャットダウンするわけではないので、電力消費を抑えるための効果的な手段となります。
フルHDテレビ/パソコンの場合、高画質モードをオフにしておくと消費電力を大幅に(機種によっては半分程度まで)カットできます。
また、家事の間にながら見する程度であれば、ケータイなどのワンセグ放送にしてはどうでしょう。

液晶モニタのサイズが1インチ上がる毎に消費電力は4ワット上がるとされています。これから液晶モニタを購入される方は、必要十分なサイズの製品にとどめておくといいでしょう。

家庭の節電メニュー

エアコンの節電
政府が夏の電力不足対策を正式決定し、家庭にも平日午前9時~午後8時の時間帯に15%の節電を促すことになりました。

資源エネルギー庁によると、節電方法として効果的なものは、エアコンをOFFにして扇風機を使うことで、一気に50%を削減できる計算になります。「室温を28度に設定」で10%、「すだれやよしずで窓の日差しを和らげる」で冷房効率を上げることで10%の節電が可能といいます。
ただし、「エアコンの控え過ぎによる熱中症などに気をつけて、無理のない範囲で節電しましょう」ともコメントしています。
資料によると、夏の午後2時ごろ、在宅世帯の平均消費電力は約1200ワット。そのうちエアコンが53%を占めているといいます。外出中の世帯でも、冷蔵庫などで平均約340ワットを消費しています。
KDDIは、家庭の節電を支援するサービスを始めるそうです。
まず6月16日に節電情報ポータルとauスマートフォン向けアプリを公開。7月には東京電力管内からモニターを募集し、家庭の電力を「見える化」するサービスも予定しています。

LED照明:白熱灯・蛍光灯置き換えで原発13基分

LED電球
2011年(平成23年)6月16日、日本エネルギー経済研究所は、日本中の白熱灯や蛍光灯を消費電力の少ないLED照明に換えた場合、国内の年間電力消費量の約9%に相当する922億キロワット時の節電になることを発表しました。
→「LED照明による省電力ポテンシャルと費用対効果の試算

節電分は原子力発電所13基分の発電量に相当するといいます。

節電効果が薄いもの

2011年(平成23年)6月21日、産業技術総合研究所(産総研)は、サマータイムや地域のイベントなどで行われる昼間の打ち水は電力消費の低減にはつながらず、かえって消費を増やしてしまうことさえあると発表しました。また、計画停電についてもシミュレーションしており、総合的に見ると効果が薄いという結果です。→「夏季における計画停電の影響と空調節電対策の効果を評価

参考サイト

(この項おわり)
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