2021年印象に残ったニュース

西暦2021年（令和3年）は、新型コロナ・ウイルス感染拡大を受けて1年延期となっていた東京オリンピック・パラリンピックが開催された。2月、新型コロナ・ワクチン接種がはじまった。ミャンマー国軍が軍事クーデターを起こし政権を掌握した。眞鍋淑郎氏らが地球温暖化の予測のための気候変動モデルの開発でノーベル物理学賞を受賞した。

東京オリンピック・パラリンピック
新型コロナ・ワクチン接種
ミャンマーで軍事クーデター
眞鍋淑郎氏らにノーベル物理学賞
電車内の傷害事件が相次ぐ
米軍アフガニスタン撤退とタリバン政権誕生
熱海で土石流、死者・行方不明者27人
半導体不足
みずほ銀行、システム障害が続く
リモートワークとサイバー攻撃
物故者

東京オリンピック・パラリンピック

聖火

新型コロナ・ウイルス感染拡大を受けて1年延期となっていた東京オリンピックが7月23日から8月8日まで、パラリンピックは8月24日から9月5日まで、全会場が原則無観客で開催された。オリンピックには205の国と地域から約11,000人が参加。

日本は、過去最多となる27個の金メダルを含む58個のメダルを獲得した。パラリンピックでも、13個の金メダルを含む51個のメダルを獲得し、2004年（平成16年）アテネ大会に次ぐ史上2番目の数となった。

新型コロナ・ワクチン接種

新型コロナ・ウイルス感染拡大を防止すべく、2月、医療従事者向けのワクチン接種が始まった。このあと、高齢者やリスクのある人への接種がはじまり、順次、対象者の枠を増やしていく。接種会場は、自治体が用意する会場の他、大規模集団接種や職域接種など多元展開することで接種率は順調に上昇し、12月24日現在、2回目接種率は73％に達している。
11月、感染力の強いオミクロン株が発生したことを受け、12月から3回目のワクチン接種がはじまった。

ミャンマーで軍事クーデター

ミャンマーで軍事クーデタ

2月1日、ミャンマー国軍が軍事クーデターを起こし政権を掌握した。与党・国民民主連盟（NLD）を率いるアウンサンスーチー国家顧問や複数の政治家を拘束した。
7月26日、軍政は2020年（令和2年）総選挙の結果が無効と宣言した。8月1日にはミン・アウン・フラインを暫定首相とする暫定政権（ミャンマー連邦共和国暫定政府）の発足を発表した。

眞鍋淑郎氏らにノーベル物理学賞

眞鍋淑郎氏

2021年（令和3年）のノーベル物理学賞を、米プリンストン大学の眞鍋淑郎（まなべしゅくろう）上席研究員（90）、独マックスプランク研究所のクラウス・ハッセルマン氏（89）、ローマ・ラ・サピエンツァ大学のジョルジオ・パリージ氏（73）が受賞した。受賞理由は「地球温暖化の予測のための気候変動モデルの開発」。

真鍋氏は、シミュレーションを使って地球に関する物理モデルを開発し、気候の成り立ちと変動を解明した。また二酸化炭素の増加に伴う地球温暖化につながる基礎を確立。大気中の二酸化炭の濃度上昇が地球表面の温度上昇につながることを実証した。

電車内の傷害事件が相次ぐ

京王線刺傷事件

8月6日、小田急線の車内で男が牛刀を振り回し10人外重軽傷を負う事件が起きた。さらに男はサラダ油を床に撒いてライターで着火しようと試みたが失敗した。
8月27日、東京メトロ白金高輪駅で男が硫酸をかけ、2人が火傷を負った。
10月31日、京王線の車内で男が刃物で乗客を切りつけた上、液体を撒いて放火し18人が重軽傷を負った。

11月6日、東京メトロ東西線の車内で、男が乗客と言い争いになり千枚通しを見せたが、幸い警察に未然に確保された。
11月8日、九州新幹線の車内で、男が座席に火を放つが、幸い大事にはいたらなかった。

米軍アフガニスタン撤退とタリバン政権誕生

アフガニスタンから撤退する米軍

5月1日、アメリカ軍はアフガニスタンから撤退を始めた。
2001年（平成13年）9月11日の同時多発テロを引き起こしたタリバンへの報復として、アメリカとイギリスなど有志連合諸国が10月7日からアフガニスタンへの空爆を開始。11月には首都カーブルを制圧した。

2019年（令和元年）11月、アメリカはタリバンとの和平協議に臨み、駐留軍を撤退させることになった。
だが、撤退が本格化した5月以降、タリバンは攻勢を強め、8月に首都カーブルを制圧。アフガニスタン全土を掌握してしまう。

熱海で土石流、死者・行方不明者27人

7月3日、記録的な大雨が降る中、静岡県熱海市で土石流が発生し、26人が死亡、1人が行方不明となり、住宅131棟が被害を受けた。小規模なものも含めて10回以上の土石流が繰り返し発生したとみられる。

崩落起点付近の盛り土の大部分が崩れたことがわかり、過去に産廃を投棄されていた時期もあることから、9月28日、被害者遺族ら70人が土地の現旧所有者らを相手取り損害賠償訴訟を起こした。10月、静岡県警が土地所有者ら関係先を捜索する。静岡県も調査に入っているが、12月末時点で原因は明らかになっていない。

半導体不足

コンテナが積み上がる中国・塩田港

年初から、世界的な半導体不足が深刻な状況に――台湾TSMCが世界の生産量の半分以上を占めており、もともと需要が不安定だったところへもってきて、コロナ禍で需要が減ると判断した自動車業界が発注をキャンセルする一方、リモートワークなどで想定外の需要増となった。

さらに、世界の電子機器の約90％が通過する中国・塩田港がコロナ禍で閉鎖されたためにコンテナ船が身動きできなくなるという事態が発生した。台湾の干ばつも半導体工場操業に影響を与えた。
結果として、自動車からスマホ、家電製品まで多くの製品が需要に追いつかなくなり、マイコンを内蔵する給湯器の修理にも時間がかかっている。
この傾向は2022年（令和4年）も続くと見られ、産業構造の抜本的見直しを迫られている。

みずほ銀行、システム障害が続く

みずほ銀行のシステム統合は19年の歳月をかけ、2019年（令和元年）7月に完成した。ところが、それからシステム障害が相次ぎ、今年だけでも9回発生している。保守費用・要員の削減、ベンダの責任の所在が曖昧など、複数の要因が絡み合い、いまも改善にいたっていない。

9月22日、金融庁は異例の行政処分となるシステムの管理命令を発動するも、9月30日、外為取引の送金処理に遅れが出る障害が発生した。このとき、外国送金に不備があったとして、財務省は外為法違反として是正措置命令を発した。

リモートワークとサイバー攻撃

コロナ禍によるリモートワークの増加を受け、クラウドサービスを利用する企業が増えているが、SaaSの設定ミスによる情報漏洩が目立っている。3月、SMBC日興証券・信託銀行の Salesforceの設定ミスで10万件以上の個人情報が閲覧可能になる事故があった。

ランサムウェア攻撃も猛威を振るっており、5月、米石油移送パイプライン大手のColonial Pipeline Companyは、全米への石油パイプラインを停止する騒動になった。

12月、不正アクセスを受けた医薬品メーカーのリニカルから22万件の個人情報が流出する事件が起きた。
また、Java向けログ出力ツール「Log4j」で、CVSSスコア10点満点中10点という致命的な脆弱性が発見された。影響範囲は一般的なJavaアプリケーションにとどまらず、IoT機器のファームウェアなど広範囲に及んでいる。

物故者

森山周一郎: 俳優。享年96歳。ポルコは印象的でしたが、記憶に残るのは刑事コジャックです。
大塚康生: アニメーター・享年89歳。ムーミン、ルパン三世、未来少年コナン‥‥記憶の残るアニメばかりです。
古賀稔彦: 柔道家。享年53歳。1992年バルセロナ五輪の柔道男子71キロ級金メダリストで、切れ味鋭い1本背負いで「平成の三四郎」と呼ばれました。
田中邦衛: 俳優。享年88歳。数多くの映画、ドラマに出演しているが、漫画『ONE PIECE』の黄猿が一番記憶に残っています。
フィリップ殿下: 英国エリザベス女王の夫。享年99歳
橋田壽賀子: 脚本家。享年95歳。評価されたのは平成に入ってからですが、作風は昭和そのものでした。
神田川俊郎: 料理研究家。享年81歳。「料理の鉄人」での独特な語り口が記憶に残ります。
田村正和: 俳優。享年77歳。『眠狂四郎』が記憶に残ります。
赤崎勇: 半導体工学者。青色LEDの発明で2014年にノーベル物理学賞を受賞した名城大学終身教授、特別栄誉教授。
菊池俊輔: 作曲家。享年89歳。数え切れない映画、アニメ、ドラマの主題歌の中から、「Gメン'75のテーマ」がとくに記憶に残ります。
数原晋: トランペッター。享年89歳。必殺シリーズ、天空の城ラピュタのトランペットの音色は耳から離れません。
太田淑子: 声優。享年89歳。サファイア姫、アッコちゃん、丹平、ガンちゃん‥‥どの声も記憶に残っています。
三浦建太郎: 漫画家。享年54歳。漫画「ベルセルク」作者。
若山弦蔵: 声優、ラジオパーソナリティー。享年88歳。宇宙大作戦、宇宙空母ギャラクティカのオープニングナレーションが記憶に残ります。
伊藤アキラ: 作詞家。享年80歳。「オー・モーレツ!」「この木なんの木」「南の島のハメハメハ大王」「はたらくくるま」――記憶に残る歌ばかりです。
小林亜星: 作曲家、俳優。享年88歳。ワンサカ娘、この木なんの木、ガッチャマン、ボルテスV‥‥アカペラで歌える曲を挙げたら切りがありません。
立花隆: 評論家・ジャーナリスト。享年80歳。首相退陣につながった「田中角栄研究」などの調査報道や、科学の最先端に迫るノンフィクション作品で知られる評論家で、ジャーナリスト。
サトウサンペイ: 漫画家。享年91歳。フジ三太郎を読んでサラリーマンになりました。
千葉真一: 俳優。享年82歳。新型コロナウイルスの感染による肺炎のため死去。変身ヒーローから時代劇まで、幅広い作品で活躍されました。
笑福亭仁鶴: 落語家。享年84歳。「四角い仁鶴がまぁーるくおさめまっせ〜」
二瓶正也: 俳優。享年80歳。科学特捜隊のイデ隊員のひょうきんな仕草が記憶に残ります。
すぎやまこういち: 作曲家。享年90歳。N響が奏でる「交響組曲ドラゴンクエストIII 」は名曲アルバム。
渡邊和也: NECパソコン生みの親。享年90歳。TK-80やPC-8001でPC市場の形成に貢献。お世話になりました。
さいとう・たかを: 漫画家。享年84歳。「ゴルゴ13」は連載継続。
白土三平: 漫画家。享年89歳。「サスケ」「カムイ外伝」を再放送してほしい。
八奈見乗児: 声優。享年90歳。なんといってもボヤッキーが記憶に残ります。