本わさびがアルツハイマー病の進行を食い止める?

2026年3月29日 作成
わさび丼を用意する高齢者
わさび丼を用意する高齢者
2026年(令和8年)3月26日に、スペインのマドリード自治大学や日本の金印わさびの研究者らは、本ワサビに含まれる成分が神経変性疾患の進行抑制に役立つ可能性を示した論文「Hexaraphane as a potential therapeutic strategy for tauopathies」を発表しました。
アルツハイマー病などの認知症では、脳内で本来正常に働くタンパク質が異常化し、アミロイドβタウタンパク質といった“ごみ”が蓄積します。特にタウはリン酸が過剰に結合することで異常構造を形成し、神経の炎症や細胞死を引き起こします。従来はリン酸化を促す酵素(キナーゼ)を抑える治療が研究されてきましたが、十分な成果は得られていませんでした。
「ヘキサラファン」が脳機能の改善をもたらすメカニズムと実験概要
「ヘキサラファン」が脳機能の改善をもたらすメカニズムと実験概要
ヘキサラファン
ヘキサラファン
本研究では、本ワサビ(Wasabia japonica)に含まれる成分「ヘキサラファン(HXN)」に注目しました。この物質は従来、細胞保護や抗炎症作用が知られていましたが、アルツハイマー病モデルの神経細胞を用いた実験により、別の仕組みで異常タウを減少させることが明らかになりました。
具体的には、ヘキサラファンはキナーゼを抑制するのではなく、タウからリン酸を取り除く酵素「タンパク質ホスファターゼ2A(PP2A)」を活性化し、タウを正常化させる働きを持つことが分かりました。

さらに、異常タウを持つマウスに5週間ヘキサラファンを投与したところ、大脳新皮質や脳幹でタウの蓄積が減少し、記憶力や運動能力の改善傾向が確認されました。また、早期診断指標とされる血中の異常タウ濃度も低下しました。

これらの結果から、ヘキサラファンはタウ異常を標的とした新たな治療戦略として有望であると考えられます。

なお、市販のねりわさびにはヘキサラファンはほとんど含まれていないことに注意が必要です。これは、市販のねりわさびの多くは、本わさびではなく西洋わさび(ホースラディッシュ)や、からし成分が主原料であるためです、
また、ヘキサラファンは加工や保存の過程で減少することが知られています。食べる直前に本わさびを調理することをおすすめします。

参考書籍

表紙 わさびで脳が元気になる
著者 奥西勲/岡孝和
出版社 主婦の友社
サイズ 単行本
発売日 2023年03月31日
価格 1,650円(税込)
ISBN 9784074543106

参考サイト

(この項おわり)
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