登頂より安全な帰宅を優先する
警察庁の山岳遭難統計によると、2025年(令和7年)の遭難は3,122件、遭難者は3,623人で、332人が死亡・行方不明となりました。原因は道迷い30.9%、転倒19.2%、滑落17.3%の順です。特別な自然現象だけでなく、道を外れる、転ぶ、足を滑らせるといった身近な危険が多くを占めています。
目次
遭難は高山や初心者だけの問題ではありません
遭難者の79.1%は、ハイキング、沢登りなどを含む登山目的でした。標高599メートルの高尾山でも106人が遭難しており、整備された低山や観光地でも油断はできません。警察庁は、天候判断の誤り、不十分な装備、体力に合わない計画、知識・経験・体力の不足などを背景に挙げています。

遭難者の75.6%は40歳以上、47.6%は60歳以上でした。死者・行方不明者では60歳以上が66.6%を占め、70代が102人で最多です。ただし、この統計には登山者全体の年齢構成がありません。「高齢者は若者より何倍も遭難しやすい」とまでは判断できません。年齢だけで決めつけず、現在の体力、回復力、バランス能力に合う計画を立てる必要があります。
遭難者の75.6%は40歳以上、47.6%は60歳以上でした。死者・行方不明者では60歳以上が66.6%を占め、70代が102人で最多です。ただし、この統計には登山者全体の年齢構成がありません。「高齢者は若者より何倍も遭難しやすい」とまでは判断できません。年齢だけで決めつけず、現在の体力、回復力、バランス能力に合う計画を立てる必要があります。
経験が過信に変わるとき
朝日新聞が報じた事例では、日本百名山を90座以上登った60代女性が、北海道の幌尻岳へ単独で入りました。利用した額平川コースは山頂まで片道15キロメートル以上あり、十数回の渡渉を伴います。女性が幌尻山荘へ着いた時刻は、管理人が安全な下山の目安とする時刻より2時間以上遅れていました。

Googleマップで「とよぬか山荘」までの経路を見る。一般車で行けるのは、とよぬか山荘までです。ここで受付を済ませ、予約制シャトルバスで登山口へ向かいます。その先は林道を歩いて北海道電力の取水施設へ進み、額平川を十数回渡って幌尻山荘へ、さらに尾根を登って幌尻岳山頂へ至ります。位置関係は平取町の公式ルート図で確認できます。Googleマップは登山道の案内には使わず、必ず最新の登山地図と現地情報を利用してください。

山荘管理人で平取町山岳会長の山木正生さんは、この時刻から七ツ沼カールを回るのは間に合わないため、山頂で引き返すよう忠告しました。女性はいったん了承しましたが、夜になっても戻らず、午後8時ごろに通報されました。過去の登頂数や登山年数は、その日のルート、体力、時刻、天候に対応できることを保証しません。

「百名山を達成したい」「遠くまで来たのだから進みたい」といった強い目標や、費やした時間と旅費を無駄にしたくない気持ちは、撤退を遅らせます。予定より遅れたときは、単に時計が進んだのではなく、想定より歩行速度が遅い、すでに疲れている、日没や気温低下が近いという危険信号だと考えましょう。遅れを取り戻そうと急げば、疲労、転倒、滑落の危険が増します。
Googleマップで「とよぬか山荘」までの経路を見る。一般車で行けるのは、とよぬか山荘までです。ここで受付を済ませ、予約制シャトルバスで登山口へ向かいます。その先は林道を歩いて北海道電力の取水施設へ進み、額平川を十数回渡って幌尻山荘へ、さらに尾根を登って幌尻岳山頂へ至ります。位置関係は平取町の公式ルート図で確認できます。Googleマップは登山道の案内には使わず、必ず最新の登山地図と現地情報を利用してください。
山荘管理人で平取町山岳会長の山木正生さんは、この時刻から七ツ沼カールを回るのは間に合わないため、山頂で引き返すよう忠告しました。女性はいったん了承しましたが、夜になっても戻らず、午後8時ごろに通報されました。過去の登頂数や登山年数は、その日のルート、体力、時刻、天候に対応できることを保証しません。
「百名山を達成したい」「遠くまで来たのだから進みたい」といった強い目標や、費やした時間と旅費を無駄にしたくない気持ちは、撤退を遅らせます。予定より遅れたときは、単に時計が進んだのではなく、想定より歩行速度が遅い、すでに疲れている、日没や気温低下が近いという危険信号だと考えましょう。遅れを取り戻そうと急げば、疲労、転倒、滑落の危険が増します。
単独行では死亡・行方不明の割合が高まります
2025年(令和7年)の単独行の遭難者は1,367人で、全体の37.7%でした。このうち死者・行方不明者は209人で、割合は15.3%です。複数行の5.5%より9.8ポイント高くなっています。単独では、けがや体調不良の際に助けを得にくいうえ、「今日はやめよう」「ここで戻ろう」と判断を修正してくれる同行者がいません。

単独で登る場合は、家族や職場と計画を共有し、登山届を提出してください。携帯電話、予備バッテリー、地図、コンパスを持ち、通信圏外でも位置を知らせられる機器の利用も検討します。出発前に「この時刻までに着かなければ引き返す」「体調や天候が悪化したら中止する」と条件を決め、山頂に届かなくても守ることが重要です。
単独で登る場合は、家族や職場と計画を共有し、登山届を提出してください。携帯電話、予備バッテリー、地図、コンパスを持ち、通信圏外でも位置を知らせられる機器の利用も検討します。出発前に「この時刻までに着かなければ引き返す」「体調や天候が悪化したら中止する」と条件を決め、山頂に届かなくても守ることが重要です。
安全に帰るための判断基準
計画には休憩時間と余裕を持たせ、危険箇所や途中から下山できる経路を確認します。行動中は現在地、時刻、天候、体調を定期的に点検し、遅れが出た時点で目的地を短縮してください。道に迷ったと思ったら闇雲に進まず、来た道をたどって正規の登山道まで戻ります。装備は持つだけでなく、地図、コンパス、ヘルメットなどを状況に応じて使えるよう練習しておきます。

山小屋管理人や救助関係者は、登山道、増水、残雪、所要時間、天候変化など、現地固有の情報を継続して把握しています。一般的な登山経験が豊富でも、この情報では現地関係者が優位です。計画変更や撤退を勧められたら、助言ではなく重要な安全情報として受け止めましょう。登山の成功は、山頂に立つことではなく無事に帰宅することです。
山小屋管理人や救助関係者は、登山道、増水、残雪、所要時間、天候変化など、現地固有の情報を継続して把握しています。一般的な登山経験が豊富でも、この情報では現地関係者が優位です。計画変更や撤退を勧められたら、助言ではなく重要な安全情報として受け止めましょう。登山の成功は、山頂に立つことではなく無事に帰宅することです。
登山道と救助体制を支える人々
幌尻岳は2025年(令和7年)に「日本山岳遺産」に認定されました。北海道ニュースリンクの記事によると、平取町山岳会などは登山道の整備、携帯トイレの利用促進、遭難者の位置を探せる「ココヘリ」の貸し出し、ドローンを使った捜索体制づくり、幌尻山荘の運営に取り組んでいます。安全な登山は、登山者の判断と、地域で山を守る人々の活動の両方に支えられています。
参考サイト
- 令和7年における山岳遭難の概況等:警察庁
- 「日本百名山」達成目前の遭難 忠告したが…管理人が見た過信の代償:朝日新聞
- 幌尻岳が日本山岳遺産に:北海道ニュースリンク
- 幌尻岳登山(平取コース・額平コース)・幌尻山荘の利用などについて:北海道日高町
- 幌尻岳シャトルバス・登山ルート図:平取町
- 令和7年度日高山脈襟裳十勝国立公園協議会:環境省
(この項おわり)
