EU AI法とは ― 2026年8月2日に始まった「AIだと明かす義務」

2026年08月15日 作成
EU AI法のポイント
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2026年(令和8年)8月2日、欧州連合(EU)のEU AI法(人工知能法、規則(EU)2024/1689)のうち、第50条の透明性義務が適用されはじめました。AIと話していることを相手に知らせる、AIがつくったものには印を付ける、という決まりです。EUの法律ですが、日本にいる私たちにも無関係ではありません。

目次

EU AI法とはどんな法律か

EU AI法は、人工知能を分野を限らずまとめて規制する、世界で初めての法律です。EUの官報に載ったのが2024年(令和6年)7月12日、発効したのが2024年(令和6年)8月1日です。EUの「規則(Regulation)」なので、加盟国が国内法をつくり直さなくても、そのまま各国に適用されます。

この法律の考え方はリスクベース・アプローチと呼ばれます。AIを一律に縛るのではなく、使い方が人にもたらす危険の大きさで4段階に分け、段階ごとに義務の重さを変えます。

【許容できないリスク】
  • 禁止されるAI(第5条)‥‥人をひそかに操る手法、社会的な評価で人を格付けする「ソーシャルスコアリング」、顔画像を無差別に集めた顔認識データベースの構築、職場や学校で表情から感情を推定するAI(医療や安全のためのものを除く)など。
【高リスク】
  • 厳しい条件付きで使えるAI‥‥入学者の選抜、成績評価、採用選考、融資の審査、医療機器や自動車に組み込まれるAIなど。リスク管理の体制、技術文書、人による監督などが求められます。
【限定的リスク(透明性リスク)】
  • 第50条が扱うAI‥‥チャットボット、生成AIディープフェイクなど。「AIが関わっていると分かるようにする」ことが中心で、使うこと自体は禁じられません。
【最小リスク】
  • 迷惑メールのふるい分け、ゲームのAI、在庫の最適化など。法律上の義務はありません。

いつ、何が適用されるのか

EU AI法は、発効と同時にすべてが動き出したわけではなく、段階的に適用されます。しかも途中で日程が変わりました。2026年(令和8年)7月8日に採択され、同年7月27日に発効した規則(EU)2026/1744(通称「デジタル・オムニバス」)が、高リスクAIの規制を後ろにずらしたためです。
  • 2025年(令和7年)2月2日 ― 禁止されるAI(第5条)と、AIリテラシー確保の努力義務(第4条)
  • 2025年(令和7年)8月2日 ― 汎用AIモデルの義務、監督体制、制裁金の規定
  • 2026年(令和8年)8月2日 ― 第50条の透明性義務(今回の話)
  • 2026年(令和8年)12月2日 ― 禁止項目の追加、および既に市場に出ていたシステムの印付けの猶予期限
  • 2027年(令和9年)12月2日 ― 高リスクAI(附属書III、単体で使うもの)
  • 2028年(令和10年)8月2日 ― 高リスクAI(附属書I、製品に組み込まれるもの)
高リスクの規制は延期されましたが、第50条は延期されませんでした。産業界から先延ばしを求める声はありましたが、認められていません。執行の猶予期間も設けられていません。

第50条は何を求めているのか

チャットボットの画面に「私はAIです」と表示されている様子
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第50条は5つの義務で構成されています。相手が人間かAIか、目にしているものが本物か作りものかを、受け取る側が判断できるようにする、というのが共通の狙いです。義務を負う相手は、AIをつくって世に出す「提供者」と、AIを使う「利用者(導入者)」の2つに分かれています。
【第1項】人と直接やりとりするAIは、AIだと名乗る
  • 義務を負うのは提供者です。チャットボットや音声アシスタントは、相手が人間ではないと分かるように設計しなければなりません。ただし、事情をふまえれば明らかにAIだと分かる場合は除かれます
【第2項】生成AIの出力に、機械が読める印を付ける
  • 義務を負うのは提供者です。合成した音声・画像・動画・テキストを出力するAIは、それが人工的につくられた、あるいは加工されたものだと機械で検出できる形にしなければなりません。誤字の修正や書式の変換のような補助的な編集、入力データを実質的に変えない処理は対象外です。
【第3項】感情認識・生体分類を使うときは、相手に伝える
  • 義務を負うのは利用者です。表情や声から感情を推定したり、生体情報で人を分類したりするAIを使う場合、その場にいる人に知らせなければなりません。なお、職場と教育機関での感情推定は、そもそも第5条で禁止されています。
【第4項】ディープフェイクと、公共の話題の文章は表示する
  • 義務を負うのは利用者です。実在の人や物に似せた画像・音声・動画を公開するときは、人工的につくられたものだと開示します。また、公共の利益に関する事柄について世の中に知らせるために公表する文章をAIに書かせた場合も、同じく開示が要ります。
【第5項】最初に触れた時点で、はっきり分かる形で
  • これらの情報は、遅くとも人が最初にそのAIやコンテンツに触れる時点で、明確に見分けられる方法で示さなければなりません。障害のある人にも届くよう、アクセシビリティの基準に合わせることも求められます。
なお、第4項には例外があります。明らかに芸術的・創作的・風刺的・虚構的な作品の一部であるディープフェイクは、作品の鑑賞を妨げない適切な方法で示せば足ります。映画ならエンドロールやローディング画面での表示でもよい、という扱いです。ただし解釈は厳しく、情報を伝える性格や商業的な性格が混じっている場合は、情報を伝える性格のほうが優先されます

義務を負うのは誰か

ここがいちばん誤解されやすいところです。EU AI法は「提供者(プロバイダー)」と「利用者(デプロイヤー)」を区別しています。提供者はAIシステムを開発し、自分の名前でEU市場に出す側。利用者は、自分の権限のもとでそのAIを使う側です。

そして第2条10項により、自然人が純粋に個人的・非職業的な活動としてAIを使う場合、利用者の義務は適用されません。欧州委員会が公開しているQ&Aでは、私人がディープフェイクをつくってSNSに投稿する行為は個人的な活動とみなされ、AI法の範囲外である、と明記されています。

境目は、その活動が継続的に経済的な利益を生んでいるか、あるいは事業・商業・職業・フリーランスの活動にあたるか、です。趣味は対象外、稼ぎにつながっていれば対象になりうる、と考えておくとよいでしょう。

また、第三者のモデルを組み込んで自社のサービスとして提供する事業者は「提供者」とみなされます。逆に、投稿を並べているだけのプラットフォームやホスティング事業者は、AIの利用について権限を持たないため利用者にはあたりません。1つの組織が提供者と利用者を同時に兼ねることもあります。

場面別に見る ― 学校・仕事・ブログ・SNS

教室、オフィス、自宅のパソコン、スマートフォンの4つの場面
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同じようにAIを使っていても、どの立場で、何のために使うかで結論が変わります。4つの場面に分けて整理します。
【学校 ― 先生の立場】
学校はAIを使う「利用者」にあたります。授業のプリントや小テストを生成AIでつくって教室で配る行為は、公衆に向けた公表ではないので、第50条第4項の表示義務はかかりません。一方、注意すべき決まりが2つあります。1つは、教室で生徒の表情から集中度ややる気を推定するAIは、2025年(令和7年)2月2日から禁止されていること(医療や安全のためのものを除く)。もう1つは、入学者の選抜や成績評価にAIを使う場合、高リスクAIとして重い義務がかかることです(2027年12月2日から)。加えて第4条により、学校は教職員のAIリテラシー向上を支援する措置をとることが求められます。

【学校 ― 生徒の立場】
生徒が宿題やレポートを書くのにAIを使うのは、個人的・非職業的な活動です。したがってEU AI法の義務は生徒個人にはかかりません。ただしこれは「法律上は問題ない」というだけの話で、学校がAIの利用を制限しているならそちらのルールが優先されます。また、AIが述べたことが事実かどうかを確かめる責任は、当然ながら提出した本人にあります。

【仕事 ― 社内での利用】
自社の業務でAIを使うだけなら、会社の立場は「利用者」です。社内にとどまる文書には、第50条の表示義務はかかりません。
  • 議事録、企画書、社内資料の下書きにAIを使うのは、公衆に向けた公表ではないので表示義務の対象外
  • 社内のクローズドな作業工程の途中で出てくる出力も、組織の外に共有されなければ対象外
  • ただし、社内向けのつもりで書いた文章が社外に出る場合は、公表として扱われます。社内報がウェブで公開されている、資料が取引先に渡る、といった場合は要注意
  • 採用選考、人事評価、解雇の判断にAIを使う場合は高リスクAIとなり、リスク管理体制や人による監督などの重い義務がかかります(2027年12月2日から)
  • 従業員の表情や声から感情を推定するAIは、職場では2025年(令和7年)2月2日から禁止されています(医療や安全のためのものを除く)
  • 第4条により、AIを扱う従業員の理解を高める措置をとることが求められます


【仕事 ― 顧客向けサービス・製品】
自社のサービスや製品にAIを組み込んで外に出すと、会社は「利用者」であると同時に「提供者」にもなります。提供者の義務は利用者の義務より重く、設計そのものに関わります。
  • 顧客対応にチャットボットを使うなら、相手にAIだと分かるように設計する(第1項、提供者の義務)
  • 自社サービスに文章・画像・音声の生成機能を載せるなら、その出力に機械が読める印を付ける(第2項、提供者の義務)
  • プレスリリース、広報記事、環境や健康や金融に関する解説など、公共の利益に関わる文章を公表する場合は、人間による実質的な編集レビューを経ていなければ表示が必要(第4項、利用者の義務)
  • 広告やプロモーションで実在の人物に似せた映像・音声を使うなら、目に見えるラベルが必要(第4項)。広告が「明らかに創作的な作品」として例外扱いされるのは、限られた場合だけです
  • EUの利用者に向けてサービスを提供している、あるいは出力がEUで使われるなら、日本の会社でも対象になります
なお「人間による編集レビュー」は形だけでは認められません。欧州委員会は、関連する知識を持つ人が意図的に内容を検討し、承認・修正・却下する権限を持つことを求めており、表面的・形式的・手続き的なチェックだけでは足りない、としています。誤字脱字の確認では不十分です。レビューのあとにAIが実質的な書き換えを加えれば、免除は失われます。

【ブログ、ホームページ】
純粋な趣味のサイトであれば、第2条10項により対象外です。ただし、広告収入やアフィリエイト、企業からの案件など、継続的な収入につながっているサイトは「個人的な活動」から外れる可能性があります。その場合、政治、公衆衛生、消費者の安全、環境、金融、科学や文化の動向といった話題について、生成AIの文章をそのまま公開するなら表示が必要です。逆に、書き手が内容を確かめ、責任を持って手を入れているなら表示は要りません。なお、フィクションや商品説明文は「公共の利益に関する事柄」から外れます。

【SNS】
私人としての投稿は、前述のとおり欧州委員会のQ&Aで範囲外とされています。一方、企業の公式アカウントや、収入を得ているインフルエンサーの投稿は、事業活動として扱われる可能性があります。また、AI法の対象外であっても、名誉毀損、肖像権、著作権、プラットフォーム自身の表示ルールは別に適用されます。X(旧Twitter)やInstagramなどはAI生成コンテンツの表示機能を独自に持っており、そちらの規約に従う必要があります。

つくるものの種類別に見る

第50条第2項の「機械が読める印」は提供者の義務、第4項の「目に見える表示」は利用者の義務です。そして、この2つの適用のされ方は、つくるコンテンツの種類によってかなり違います。

【プレーンテキスト】
文章はいちばん厄介です。画像や動画と違ってファイルに情報を埋め込む場所がなく、コピーして貼り付ければ痕跡が消えてしまいます。欧州委員会のガイドラインも、堅牢な印付けの手段はテキストについてはとくに限られると認めています。実践規範では、200トークン未満の短いテキストは電子透かしの対象外とされ、AIによる翻訳とソースコードも印付けの対象から外されました。ただし、独立した文書やマーケティング用の文章は対象に含まれます。読み手側から見ると、AI生成テキストに表示が付くのは「公共の利益に関する事柄を公衆に伝えるために公表される文章」に限られます。

【図表・グラフ】
表計算ソフトが数値からグラフを描く処理は、そもそもAIシステムではないので対象外です。第50条第2項も、入力データを実質的に変えない補助的な機能を除いています。一方、生成AIに「この数字を説明する図を描いて」と指示して画像として出力させた場合は、画像と同じ扱いになります。図の中の数字や説明文がAIの推測で埋められている場合もあるので、公表する前に元データと突き合わせることを勧めます。

【イラスト】
生成AIが描いたイラストには、提供者側で機械可読な印が付きます。利用者側の表示義務については、実在しない人物や風景を描いたイラストは、原則としてディープフェイクにはあたりません。欧州委員会の考え方では、ディープフェイクかどうかは、実在の人・物への見分けのつく類似性があるか、現実に存在しうる内容か、実在の人物・場所・団体・出来事を対象としているか、受け手が本物だと誤認するか、という点で判断されます。空飛ぶスフィンクスは該当しませんが、実在しない人物であってもフォトリアルであれば該当します

【画像・動画】
実在の人物の顔を差し替えた動画、実際にはなかった出来事の映像などは、典型的なディープフェイクです。目に見えるラベルを、利用者の操作なしにすぐ認識できる形で、十分な時間、できればコンテンツに直接埋め込んで表示します。途中から見はじめる人がいる場合は、後の時点でも分かるようにする必要があります。映画のAI生成背景は通常ラベル不要ですが、AI俳優やデジタル・レプリカは必要とされています。欧州委員会は「基本」「完全にAIが生成」「一部をAIが改変」の3種類の公式アイコンを用意し、SVGとPNG形式で無償配布しています。帰属表示は不要で、使用は任意です。

【音声】
合成音声も第50条第2項の対象です。実在の人の声を模した音声クローンは、第4項のディープフェイクにあたります。音声だけのコンテンツでは目に見えるラベルを置けないため、話される形、または書かれる形の但し書きで代替できます。ポッドキャストやナレーションでAIの声を使うなら、冒頭で断るのが実務的な対応になります。

印付けの技術としては、電子透かし、メタデータへの記録、C2PAのような来歴(プロヴェナンス)情報、テキスト向けの統計的なマーキングなどが挙げられています。ただし実践規範は、現時点で4つの要件(効果性・相互運用性・堅牢性・信頼性)をすべて満たす単一の技術は存在しないと認めています。共有すると消えるメタデータだけに頼る、簡単な編集で消える透かしを使う、といった方法は不十分とされます。なお、コストがかかることだけを理由に守らないことは認められません。

違反したときのペナルティ

制裁金を示す天秤と書類のイメージ
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制裁金は第99条に定められ、3つの階層に分かれます。金額と売上高比率のうち、高いほうが上限になります。ただし中小企業とスタートアップについては、低いほうが上限となる緩和規定があります。
  • 第1階層:3,500万ユーロ、または全世界の年間売上高の7% ― 第5条の禁止されるAIを使った場合
  • 第2階層:1,500万ユーロ、または全世界の年間売上高の3% ― 第50条の透明性義務違反はここ。提供者、輸入業者、販売業者、利用者、認証機関の義務違反が該当します
  • 第3階層:750万ユーロ、または全世界の年間売上高の1% ― 当局に不正確・不完全・誤解を招く情報を提供した場合
EU AI法は規則なのでそのまま適用されますが、制裁の具体的なルールは各加盟国が国内法で定めます(第99条1項)。制裁は実効的・比例的・抑止的でなければならず、中小企業の存続可能性や経済的な事情を考慮することも求められます。加盟国は科した制裁金を毎年、欧州委員会に報告します。

執行にあたるのは各国の市場監視当局です。ただし汎用AIモデルについては例外で、欧州委員会の下に置かれたAI Officeが独占的に執行します(第101条、上限は1,500万ユーロまたは3%)。デジタル・オムニバスにより、AI Officeの権限は超大規模オンラインプラットフォームに組み込まれたAIにも広がりました。

現実的な話をすると、個人ブログの運営者が突然EUから制裁金を科されるという事態は考えにくいでしょう。当局の目が向くのは、まず規模の大きい提供者です。とはいえ、EUの利用者を相手にサービスを提供している事業者は、規模にかかわらず対象になりえます

日本にいても関係あるのか

関係することがあります。第2条1項が定める適用範囲は、事業者の所在地ではなくEUとのつながりで決まるからです。
  • (a) EU域内でAIシステムを市場に出す、または提供する者。EU域内に所在するか第三国に所在するかを問いません
  • (b) EU域内に設立地または所在地があるAIシステムの利用者
  • (c) 第三国に所在する提供者・利用者であっても、そのAIが生み出した出力がEU域内で使われる場合
見落とされやすいのは(c)です。たとえば、日本の本社が採用選考にAIを使い、その結果をEU拠点の候補者の判断に用いる。日本で生成したAI翻訳や分析結果をEUの顧客に納品する。こうした場合、日本国内で完結しているつもりでも、出力がEUで使われている以上、適用対象になりえます

なお日本では、AIについて罰則付きの包括的な規制法はまだありません。AI事業者ガイドライン(総務省・経済産業省)は法的拘束力のない指針です。ジェトロのビジネス短信がEU AI法の動向を日本語で継続的に報じているので、実務で関わる方は確認するとよいでしょう。

そのほか知っておきたいこと

【2026年(令和8年)12月2日に禁止項目が2つ増えます】
デジタル・オムニバスにより、第5条の禁止リストに追加されました。1つは、特定できる人物の裸や性的な描写を、本人の明示的な同意なく写実的に生成・改変するAIシステム、いわゆる「裸化」アプリです。もう1つは、児童ポルノにあたる素材を生成するAIシステムです。注目すべきは適用範囲で、そうした用途を意図したシステムだけでなく、合理的で実効的な保護措置がない結果としてそうした出力が予見可能かつ再現可能に生じるシステムも対象になります。汎用の生成AIの提供者にも及ぶ規定です。想定される保護措置として、学習データのフィルタリング、拒否応答の訓練、入出力の分類器、プロンプトの監視などが挙げられています。

【解説文書が出そろっています】
欧州委員会は2026年(令和8年)7月20日に「第50条の透明性義務に関するガイドライン」を採択しました。また、業界と共同でつくられた「AI生成コンテンツの透明性に関する実践規範」の最終版が2026年(令和8年)6月10日に公表され、委員会がこれを「適切」と確認しています。署名した企業・団体は2026年(令和8年)7月末時点で約190。署名すると、遵守を証明する際の事務負担が軽くなります。この規範は提供者向けと利用者向けの2部構成で、片方だけの署名もできます。

【猶予期間があるもの】
2026年(令和8年)8月2日より前に市場に出ていたシステムの機械可読な印付けは、2026年(令和8年)12月2日までの猶予があります。また、透かしを検出するための相互運用の仕組みは2027年(令和9年)2月2日が期限とされています。

【第4条のAIリテラシー義務は緩和されました】
もともとは提供者と利用者が「職員の十分なAIリテラシーを確保する」義務でしたが、デジタル・オムニバスにより「その育成を支援する措置をとる」という書きぶりに変わりました。欧州委員会と加盟国が支援する構造になり、職員個人の知識不足が直ちに企業の責任とされない形になっています。適用開始日は2025年(令和7年)2月2日のままです。

【EU AI法は「AIを使うな」という法律ではありません】
第50条が求めているのは、禁止でも許可制でもなく、相手に分かるようにすることです。AIと話しているのか人と話しているのか、見ているものが撮られたものかつくられたものか。それを受け取る側が判断できる状態を保つ、という一点に絞られています。日本に住んでいて直接の義務がかからない場合でも、この考え方は、AIを使って何かを公表するときの実践的な目安になります。

参考サイト

(この項おわり)
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