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100歳以上まで生きた人を百寿者、英語でセンテナリアンと呼びます。その子どもたちも長生きし、病気になる年齢が遅いのでしょうか。米国のアルベルト・アインシュタイン医科大学などの研究チームは、3つの長期追跡調査のデータを合わせ、主な解析でセンテナリアンの子ども2,319人と比較群1,711人の計4,030人を比べました。結果は2026年(令和8年)8月26日、医学誌『JAMA Network Open』に掲載されました。
目次
センテナリアンとはどんな人か
センテナリアンとは、100歳の誕生日を迎えた人のことです。厚生労働省によると、日本の100歳以上の高齢者は2026年(令和8年)9月1日時点で10万7,677人となり、1963年(昭和38年)の統計開始以来初めて10万人を超えました。前年より7,914人多く、56年連続で過去最多を更新しています。女性は9万4,298人で全体の87.6%を占め、国内最高齢は京都市に住む114歳の女性です。

研究者がセンテナリアンに注目するのは、多くの人が病気で亡くなる年齢を大きく越えて、比較的元気に暮らしている人が多いためです。もし長寿の理由が家族に受け継がれているなら、その子どもを調べることで、老化を遅くするしくみに近づけると考えられます。
研究者がセンテナリアンに注目するのは、多くの人が病気で亡くなる年齢を大きく越えて、比較的元気に暮らしている人が多いためです。もし長寿の理由が家族に受け継がれているなら、その子どもを調べることで、老化を遅くするしくみに近づけると考えられます。
3つの追跡調査を合わせて比べた
研究チームが使ったのは、次の3つの追跡調査です。

センテナリアンの子どもの群は、両親の少なくとも一方が100歳に達した人です。LonGenityとUK Biobankの主な比較群は、両親とも85歳以下で亡くなった人です。New England Centenarian Studyでは、子どもの配偶者や、親の一方が73歳で亡くなった血縁関係のない人を比較群にしています。

大学発表の比較群は計2,703人ですが、これは英国で用意した別々の比較群992人ずつを両方数えた人数に相当します。解析では英国の比較群を一組ずつ使うため、原著論文の主な集計は、子ども2,319人と比較群1,711人の計4,030人です。
- LonGenity(ロンジェニティ)
- アルベルト・アインシュタイン医科大学が、米国ニューヨーク市ブロンクス区を拠点に進めている調査。
- New England Centenarian Study
- ボストン大学が1995年(平成7年)から続けている、世界最大級のセンテナリアンとその家族の研究。
- UK Biobank
- 英国の成人約50万人の健康状態を長期に追跡している大規模データベース。
センテナリアンの子どもの群は、両親の少なくとも一方が100歳に達した人です。LonGenityとUK Biobankの主な比較群は、両親とも85歳以下で亡くなった人です。New England Centenarian Studyでは、子どもの配偶者や、親の一方が73歳で亡くなった血縁関係のない人を比較群にしています。
大学発表の比較群は計2,703人ですが、これは英国で用意した別々の比較群992人ずつを両方数えた人数に相当します。解析では英国の比較群を一組ずつ使うため、原著論文の主な集計は、子ども2,319人と比較群1,711人の計4,030人です。
死亡リスクが42%低い
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主な解析では、同じ年齢どうしで比べたとき、センテナリアンの子どもは亡くなるリスクが42%低いという結果でした。これは、その年齢での死亡の起こりやすさを比べた値です。

心筋梗塞や心不全などの心血管疾患は33%、高血圧は32%リスクが低いと推定されました。死亡する人の割合が一定に達する年齢は約3年、高血圧では約5年遅いという推定も得られました。
心筋梗塞や心不全などの心血管疾患は33%、高血圧は32%リスクが低いと推定されました。死亡する人の割合が一定に達する年齢は約3年、高血圧では約5年遅いという推定も得られました。
「約3年」「約5年」は、統計モデル上で死亡の累積確率が15%、高血圧が40%になる年齢を比べた値です。参加者全員の平均寿命や平均発症年齢を直接比べたものではありません。

3つの調査は、対象となる国も、参加者の集め方も異なります。それでも、死亡、心血管疾患、高血圧の3つについては同じ方向の結果が出ました。筆頭著者のエリック・リード博士は、これほど性質の異なる研究で結果が一致したことは注目に値し、並外れた長寿が家系に受け継がれるという考えを裏づけると述べています。
3つの調査は、対象となる国も、参加者の集め方も異なります。それでも、死亡、心血管疾患、高血圧の3つについては同じ方向の結果が出ました。筆頭著者のエリック・リード博士は、これほど性質の異なる研究で結果が一致したことは注目に値し、並外れた長寿が家系に受け継がれるという考えを裏づけると述べています。
がんでは明確な差がなく、脳卒中は結果が分かれた
生活習慣を考えても差は残った
研究チームは、性別や学歴に加え、各調査で利用できる生活習慣などの情報を使い、条件の違いの影響をできるだけ取り除いて比べました。それでも、子どもの群が有利な傾向はおおむね残りました。

ただし、調整した項目は同じではありません。New England Centenarian Studyでは主に喫煙を追加し、ほかの2調査では飲酒、運動、社会経済的な状況なども考慮しています。食事をリスクの計算に組み入れたのはUK Biobankで、LonGenityでは情報が少ないため、群の食事の違いを別に調べました。研究チームは、生活習慣だけでは説明できない生物学的な要因が関わっていると考えています。

研究をまとめたソフィヤ・ミルマン教授は、センテナリアンが健康と長寿を子どもへ受け渡すのか、その有利さが健康的な習慣によるものか、遺伝のようなもっと根本的なものによるのかを知りたかったと説明しています。リード博士も、健康的な行動は依然として重要だが、並外れた長寿の家系の人の一部は生物学的な有利さを持っているようだと述べました。
ただし、調整した項目は同じではありません。New England Centenarian Studyでは主に喫煙を追加し、ほかの2調査では飲酒、運動、社会経済的な状況なども考慮しています。食事をリスクの計算に組み入れたのはUK Biobankで、LonGenityでは情報が少ないため、群の食事の違いを別に調べました。研究チームは、生活習慣だけでは説明できない生物学的な要因が関わっていると考えています。
研究をまとめたソフィヤ・ミルマン教授は、センテナリアンが健康と長寿を子どもへ受け渡すのか、その有利さが健康的な習慣によるものか、遺伝のようなもっと根本的なものによるのかを知りたかったと説明しています。リード博士も、健康的な行動は依然として重要だが、並外れた長寿の家系の人の一部は生物学的な有利さを持っているようだと述べました。
「親が長寿なら安心」ではない
気をつけたいのは、この研究が示したのが集団としての平均の差だという点です。親が100歳まで生きたからといって、その子が必ず長生きするわけではありません。親が早く亡くなった人が長生きできない、という意味でもありません。

また、生活習慣を調整しても差が残ったことは、生活習慣に意味がないという話ではありません。研究チームも健康的な習慣は重要だと述べています。禁煙や、運動・食事・睡眠の習慣を整えること、必要な血圧の管理など、家系にかかわらず取り組めることがあります。とくに差が出た高血圧は、日本でも健康診断で早く見つけられる項目です。
また、生活習慣を調整しても差が残ったことは、生活習慣に意味がないという話ではありません。研究チームも健康的な習慣は重要だと述べています。禁煙や、運動・食事・睡眠の習慣を整えること、必要な血圧の管理など、家系にかかわらず取り組めることがあります。とくに差が出た高血圧は、日本でも健康診断で早く見つけられる項目です。
研究結果を読む際の注意
この研究は、参加者を条件ごとに割り振って比べる試験ではなく、すでに集められた記録を後から比較したコホート研究です。そのため、親の長寿が子の健康の原因だと確定させるものではありません。遺伝と家族で共有する環境の影響を完全に分けたわけでもなく、特定の長寿遺伝子を見つけた研究でもありません。

複数の病気を同時に調べると、偶然の差を拾うことも増えます。その点を補正すると、心血管疾患のリスク差などは統計的に明確とはいえなくなりました。高血圧のリスク差は補正後も残りましたが、すべての結果が同じ強さで裏づけられているわけではありません。

対象は米国と英国の人たちで、白人が中心であり、日本人を含む他の集団に同じ数値がそのまま当てはまるとは限りません。参加者は自分の意思で研究に加わった人が多く、健康への関心が高い人に偏っている可能性もあります。病気の記録の取り方も調査ごとに異なり、米国の2調査では自己申告を用いています。子どものころの栄養状態など、考慮しきれない影響も残ります。今後、長寿に関わる遺伝子とそのはたらきが特定されれば、より詳しいことが分かると期待されます。
複数の病気を同時に調べると、偶然の差を拾うことも増えます。その点を補正すると、心血管疾患のリスク差などは統計的に明確とはいえなくなりました。高血圧のリスク差は補正後も残りましたが、すべての結果が同じ強さで裏づけられているわけではありません。
対象は米国と英国の人たちで、白人が中心であり、日本人を含む他の集団に同じ数値がそのまま当てはまるとは限りません。参加者は自分の意思で研究に加わった人が多く、健康への関心が高い人に偏っている可能性もあります。病気の記録の取り方も調査ごとに異なり、米国の2調査では自己申告を用いています。子どものころの栄養状態など、考慮しきれない影響も残ります。今後、長寿に関わる遺伝子とそのはたらきが特定されれば、より詳しいことが分かると期待されます。
参考サイト
- Children of Centenarians Often Live Longer, Develop Some Age-Related Diseases Later:Montefiore Einstein
- Exceptional Parental Longevity and Onset of Morbidity and Mortality Across Cohorts:JAMA Network Open
- New England Centenarian Study:Boston University
- UK Biobank
- 令和7年度百歳の高齢者へのお祝い状及び記念品の贈呈について:厚生労働省
- Children of Centenarians Often Live Longer, Develop Some Age-Related Diseases Later:アルベルト・アインシュタイン医科大学発表(PR Newswire配信)
- 100歳以上の高齢者が初の10万人超え…9割近くは女性、最高齢は京都市の114歳:読売新聞
- 100歳以上の高齢者、初の10万人超え 女性が約9割:AFPBB News
- 100歳以上の高齢者が10万7677人に 初の10万人突破、女性は全体の87.6%に:NOVAIST
(この項おわり)
