2050年、食費が収入の半分に?――食料・水・エネルギーの格差

2026年09月13日 作成
食料や水を前に家計ノートを広げ、生活費について考える桃花
暮らしを支える資源と家計を考える桃花(AI生成のイメージ)
AI生成コンテンツ / AI-generated content
2050年(令和32年)、食費だけで収入の半分近くが必要になるかもしれません。MITなどの研究チームは、アフリカの一部地域の低所得層で、こうした負担が生じる可能性を示しました。

食料だけでなく、水や家庭で使うエネルギーにも目を向けた研究です。住む地域と所得によって、暮らしへの負担は大きく違うことが分かりました。ただし、これは条件を変えて調べた将来の試算であり、必ず起きるという予言ではありません。

目次

3,735通りの将来を調べる

研究論文は2026年(令和8年)7月30日に学術誌Earth’s Futureで公開され、MITが9月8日に紹介しました。食料・水・エネルギーを、必要な人が安定して利用できるかを検討しています。

研究チームはGCAMというコンピューターモデルを使い、人口や経済成長、土地利用などの条件を変えた3,735通りの将来像を分析しました。世界を32地域に分け、食費と家庭のエネルギー費は、各地域の人口を所得順に10等分して比べています。

食費の負担は同じ地域でも大きく違う

2050年(令和32年)の試算では、南部アフリカの所得が最も低い10%の人々は、食費に収入の49.6%を使う一方、最も高い10%では5.5%でした。下表は、各地域の低所得層について、シナリオの結果を小さい順に並べた中央の値、中央値を示します。
2050年の食費負担(各地域の所得下位10%・シナリオの中央値)
地域収入に占める食費
西部アフリカ48.4%
東部アフリカ42.5%
南部アフリカ49.6%

出典:Kimほか(2026)、図1・第3.1節。南部アフリカはモデル上の地域名です。

食費が収入の半分なら、残りで住まいや教育などの費用をまかなう必要があります。同じ地域でも、平均値だけではこうした家計の厳しさが見えにくくなります。なお、この研究の「食費負担」は収入に対する割合であり、消費支出に対する食費の割合を表すエンゲル係数とは分母が違います。

エネルギーと水にも地域差

中東では、家庭のエネルギー費が収入に占める割合の中央値は、所得下位10%で18.9%、上位10%で1.7%でした。冷房の需要など、地域の条件も負担を左右します。食費の厳しい地域と、エネルギー費の厳しい地域が必ず一致するわけではありません。

水については、インドやパキスタンなどの流域で不足のリスクが示されました。ただし、ここで調べたのは利用する水量と、再び補われる水の供給量の関係です。所得別の水道料金や、各家庭で断水する確率を計算したものではありません。

予測の数字をどう読むか

「49.6%」は、世界中の人や日本の家計が同じ負担になるという意味ではありません。研究は、どの条件で負担が重くなるかを探るためのものです。各シナリオが実現する確率は評価していないため、中央値を「最も起こりやすい未来」と読むこともできません。

生活費を考える際には、価格と一緒に、所得や利用できる量を見ることが大切です。例えば、冷暖房を十分に使えず支出が少ない家計を、負担率が低いから安心とは言えません。地域の平均に加えて、暮らしに必要なものが届きにくい人々に目を向けることが、この研究を読むうえでのポイントです。

参考サイト

(この項おわり)
header