3.2 子ども・家族

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公園の滑り台で遊ぶ姉と弟
子どもや家族を撮った写真は、成長の記録であり、かけがえのない思い出になる。しかし、子どもは動きが速く、表情が次々と変わるため、大人を撮るときとは違うアプローチが必要である。
うまく撮るためのポイントは4つある。連写を使って決定的瞬間を逃さないことカメラの高さを子どもの目線に合わせること演出せず遊んでいる様子をそのまま捉えること、そして運動会などの動きの激しいシーンには望遠レンズと動体AFを活用することである。これらを意識するだけで、写真の質は大きく変わる。

目次

人物撮影との違い

子ども撮影と人物撮影の違い(イメージ)
子どもは予測できない動きをする(イメージ)
大人のポートレートは、被写体に「少し動かないでいてください」「こちらを向いてください」とお願いすることができる。しかし子どもにはそれが通じない。興味のある方向へ走り出し、振り返ったと思えばすぐにしゃがみ込み、笑ったかと思えば泣き出す。子ども撮影の最大の特徴は、被写体をコントロールできないことにある
このため、撮影者側が子どもの動きに合わせる必要がある。カメラの設定は事前に整え、いつでもシャッターを切れる状態で待ち構えることが基本になる。シャッタースピードが遅いと動きがブレるため、1/250秒以上を目安にするとよい。屋外の昼間なら十分なシャッタースピードを確保しやすいが、室内や曇りの日はISO感度を上げてブレを防ぐ。

また、子どもの行動にはある程度のパターンがある。公園の滑り台を何度も繰り返す、好きなおもちゃを手放さない、といった習慣を把握しておくと、次の動きを予測してカメラを向けやすくなる。「撮ろうとして撮る」のではなく、「来るとわかって待って撮る」という発想に切り替えることが、子ども撮影の基本的な構えである。

連写を活用する

連写で決定的瞬間を捉える(イメージ)
連写で決定的瞬間を捉える(イメージ)
子どもの最高の表情や動きは、ほんの一瞬に訪れる。1枚ずつ撮っていると、シャッターを切った瞬間に笑顔が消えていたり、ジャンプの頂点より少し手前で切れていたりする。こうした「惜しい1枚」を減らすのが連写(連続撮影)である。
多くのカメラには、シャッターボタンを押し続けると連続してシャッターが切れる連写モード(カメラによって「連続撮影」「Hモード」などと表記される)が搭載されている。秒間5〜10枚以上撮れる機種が多く、ミラーレス一眼では秒間20枚を超えるものもある。撮影後に一番よい1枚を選べばよいので、「決定的瞬間を逃した」という失敗が格段に減る。

注意点は、ピントの追従設定を合わせることである。連写中に動く被写体を追い続けるには、AFモードをコンティニュアスAF(AF-C、AIサーボAF)に設定する。ワンショットAF(AF-S)のままだと最初の1枚にしかピントが合わず、以降はぼけた写真が続く。また、大量の画像データが一気に書き込まれるため、書き込み速度の速いSDカードを使うと、バッファが詰まって撮影が止まるリスクを減らせる。

目線を子どもの高さに合わせる

子どもの目線の高さで撮る(イメージ)
しゃがんで目線を合わせる(イメージ)
大人が立ったまま子どもを撮ると、カメラは必ず上から見下ろす角度になる。この「俯瞰アングル」は、子どもの頭が大きく顔が小さく写りやすく、子どもの目線や表情が正面から伝わってこない。無意識に撮ると多くの写真がこのアングルになってしまう。
解決策はシンプルで、撮影者自身がしゃがむ、またはひざをつくことである。カメラを子どもの目の高さに合わせると、表情が正面から捉えられ、子どもの視点から見た世界が写真に映り込む。砂場の砂の質感、公園の芝生の広がりなど、大人の目線では気づかなかった景色が画面に入り、生き生きとした写真になる。

バリアングル液晶モニター(画面の角度が変えられる機種)があれば、地面すれすれのローアングルでも画面を確認しながら撮影できる。膝をついてモニターを見下ろす形で撮れるため、体への負担も少ない。背面モニターをタッチ操作でピントを合わせられる機種なら、より直感的に撮影できる。カメラの機能を上手に使って、子どもの世界の高さに積極的に入っていくことが、子ども写真をうまく撮る秘訣のひとつである。

遊んでいる様子を撮る

遊んでいる様子を自然に撮る(イメージ)
遊んでいる様子を自然に撮る(イメージ)
「カメラを向けると子どもがポーズを取る」「意識すると固い表情になる」という経験をした方は多いだろう。こうした場合、カメラを意識させないことが自然な写真を撮る近道である。子どもが遊びに夢中になっているとき、こちらに気づいていないときを狙うと、作り笑顔ではない生き生きとした表情が引き出せる。
具体的には、少し離れたところから望遠側で撮る方法が有効である。被写体との距離があるため、子どもが「撮られている」と意識しにくい。また、声をかけて笑顔を作らせるより、呼んで振り向いた瞬間、何かに気づいて目を輝かせた瞬間を待つ方が、自然で印象的な写真になることが多い。

遊びの中には、繰り返しの動作が多い。ブランコをこぐ、砂山を作る、ボールを追いかける、といった動作は何度も繰り返されるため、1回目は練習として観察し、2回目以降で本番を狙うという方法が取れる。撮影者がその場に溶け込み、急いで撮ろうとしないことが、結果としてよい写真につながる。

運動会の撮影

運動会の撮影(イメージ)
望遠レンズと連写で走る姿を捉える(イメージ)
運動会は、子どもの成長を記録できる絶好の機会であると同時に、撮影難易度が高いシーンでもある。競技は広いグラウンドで行われ、子どもは遠くを全力で動き回る。この距離と動きの速さに対応するため、望遠レンズ(35ミリ判換算200mm以上)が非常に有効である。キットレンズの望遠端(多くは135mm)でも活用できるが、焦点距離が長い方が有利である。
AFモードはコンティニュアスAF(AF-C、AIサーボAF)に設定し、連写と組み合わせる。被写体認識を「人物」にしておくと、顔や体を自動追尾してくれる。走っている方向(こちらに向かってくる場合は特に)を予測して、少し手前からシャッターを切り始めると、ゴール前のベストな瞬間を確実に収めやすい。

撮影場所の確保も重要である。運動会は保護者の数が多く、よい場所はすぐに埋まる。開始前にグラウンドの斜め前方(ゴールに向かって斜め45度前後)の位置を取ると、走ってくる子どもの顔と体が両方見え、躍動感のある写真が撮りやすい。真横から撮ると顔が見えにくく、真正面から撮ると奥行きが出にくい。

玉入れ・ダンス・綱引きなど、競技の種目によって撮り方は異なる。ダンスや組体操は全体の隊形が見えるやや引いた構図で、玉入れや綱引きは子どもの表情が見えるアップ気味の構図で撮ると、それぞれの魅力が引き出しやすい。競技が始まる前に「次は何をするか」を把握し、レンズの焦点距離や立ち位置を調整しておく余裕を持つことが大切である。

なお、撮影に際しては学校のルールに従うこと。場所取りや三脚が厳禁なのはもちろん、撮影した写真をSNSやネットにアップするのは御法度だ。他所のお子さんはもちろん、自分の子どものプライバシーにも配慮しなければいけない。事前に撮影許可証を発行している学校もある。
運動会撮影の設定まとめ
項目推奨設定・ポイント
レンズ望遠(換算200mm以上)を推奨
AFモードコンティニュアスAF(AF-C/AIサーボAF)
撮影モード連写(高速連続撮影)
シャッタースピード1/500秒以上を目安に(走る子どもは速い)
被写体認識人物に設定し顔・体を追尾
撮影位置ゴールに向かって斜め前方(45度前後)
SDカード書き込み速度の速いもの(連写のバッファ対策)
(この項おわり)
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