デジカメで撮った写真をブログやSNSに掲載したり、プリントを注文したりする前には、用途に合ったファイルを「書き出し」て用意する。撮影時のデータは、ファイル容量が大きすぎたり、公開先に適さない形式やサイズであったりするためである。書き出しでは、元の写真を残したまま、画像サイズ、圧縮品質、色空間、画像形式などを指定して新しいファイルを作る。
初心者が特に迷いやすいのは、「画像サイズ」「ファイル容量」「画質」の関係である。Web掲載では表示速度、SNS投稿では縦横比やサービス側の再圧縮、プリントでは印刷寸法と必要画素数が判断の基準になる。本項では用途別の目安を示し、JPEG品質と色空間の考え方、JPEG以外の形式の特徴も解説する。数値を暗記するのではなく、公開先の仕様を確認し、目的に合わせて選べるようになることが目標である。
目次
書き出しとは何か
「書き出し」とは、カメラで撮影したRAWデータや編集済みの画像を、汎用性の高いJPEG形式などに変換し、用途に応じたサイズ・画質で新しいファイルとして保存する作業を指す。編集ソフトによっては「エクスポート」と表記されることも多い。上書き保存とは異なり、元データはそのまま残しつつ、公開用の複製を作る点が最大の特徴である。
RAWデータは対応する現像・編集ソフトで開く必要があり、そのままでは通常、ブログやSNSに掲載できない。書き出しの際に、サイズを小さくし、JPEGの圧縮率(画質)を調整することで、見た目の劣化を抑えつつファイル容量を小さくできる。この工程を丁寧に行うかどうかで、公開後の写真の見え方や読み込み速度が大きく変わってくる。
画像サイズと解像度
画像サイズとは、写真の横×縦のピクセル数を指す。たとえば「4000×3000ピクセル」であれば、横に4000個、縦に3000個の画素が並んでいることを意味する。一方、ppiは1インチあたりに配置する画素数、dpiはプリンターなどが1インチあたりに出力するドット数を表し、主に印刷時のきめ細かさに関わる。両者は混同されやすいが、本来は異なる単位である。画面で見るだけなら、画像ファイルに記録されたppiの値よりも、実際のピクセル数が重要である。

画面表示用の書き出しではppiの設定値を気にする必要はほとんどなく、ピクセル数を調整すればよい。この違いを理解しておくと、Web用・プリント用のサイズ設定で迷わなくなる。
画面表示用の書き出しではppiの設定値を気にする必要はほとんどなく、ピクセル数を調整すればよい。この違いを理解しておくと、Web用・プリント用のサイズ設定で迷わなくなる。
Web掲載用のサイズ
ブログやホームページに写真を掲載する場合、長辺1200〜2000ピクセル程度に縮小するのが一般的な目安である。撮影時の数千万画素のままアップロードすると表示速度が遅くなるため、あらかじめ書き出し時にサイズを整えておくと、見た目や読み込み速度を自分でコントロールしやすい。
SNS投稿用のサイズ
スマートフォンでSNS投稿用に書き出す(イメージ)
SNSの各サービスは、投稿された画像を独自の仕様に合わせてリサイズ・圧縮する。正方形、縦長、横長など、投稿の種類によって適した縦横比も異なる。仕様は変更されることがあるため、投稿前に各サービスの最新案内を確認し、目的の表示枠に合わせてトリミングしておくと、意図しない切り抜きや画質低下を避けやすい。
SNSでは投稿時に再圧縮されることが多いため、書き出し時にファイル容量を極端に小さくする必要はない。推奨サイズと縦横比を優先し、JPEG品質は、編集ソフトのプレビューで劣化を確認しながら80〜90%程度を出発点に調整するとよい。ただし、品質の数値尺度はソフトによって異なる。
プリント用のサイズ
写真店やネットプリントでは、一般に300〜350ppi程度の画像解像度が仕上がりの目安とされている。プリントサイズに必要なピクセル数は「印刷サイズ(インチ)×ppi」で求められ、L判なら長辺1500ピクセル程度、A4サイズでは長辺3500ピクセル前後(約900万画素)が目安になる。撮影時のオリジナルデータであれば、多くのデジカメでA4程度までは十分な画素数を確保できる。
| サイズ | 目安寸法 | 必要ピクセル数 |
|---|---|---|
| L判 | 89×127mm | 約1050×1500px |
| 2L判 | 127×178mm | 約1500×2100px |
| A4 | 210×297mm | 約2480×3500px |
JPEG品質とファイル容量
JPEG形式は、画質をどこまで保つかを選べる非可逆の圧縮方式を採用している。品質を100%に近づけるほど元の写真に近い仕上がりになるがファイル容量は大きくなり、品質を下げるほど容量は小さくなるものの、ブロックノイズなどの劣化が目立つようになる。品質を100%にしても可逆圧縮になるわけではない。また、品質を表す数値の意味は編集ソフトごとに異なる。

Web掲載やSNS投稿であれば、品質80〜90%程度を出発点にすると、見た目の劣化を抑えながら、ファイル容量を小さくできることが多い。プリント用JPEGは高めの品質で書き出すとよいが、長期保存には書き出したJPEGだけでなく、RAWや編集内容を保持できる元データも残しておくべきである。
Web掲載やSNS投稿であれば、品質80〜90%程度を出発点にすると、見た目の劣化を抑えながら、ファイル容量を小さくできることが多い。プリント用JPEGは高めの品質で書き出すとよいが、長期保存には書き出したJPEGだけでなく、RAWや編集内容を保持できる元データも残しておくべきである。
| 用途 | JPEG品質の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| Web・SNS用 | 80〜90% | 容量小、劣化ほぼ目立たない |
| プリント用 | 95〜100% | 容量大、劣化を抑えやすい |
sRGBを基本にする
デジタル画像には、色の再現範囲を定めた「色空間」という設定がある。代表的なものがsRGBとAdobe RGBで、Adobe RGBの方が広い色域を再現できるものの、対応していないディスプレイやブラウザで見ると、色がくすんで見えてしまう場合がある。一般的なパソコン・スマートフォンの画面やWebブラウザはsRGBを前提に作られているため、公開用に書き出す際はsRGBを基本にしておくのが安全である。

カメラ内の設定をAdobe RGBにして撮影している場合でも、Web・SNS用に書き出す段階でsRGBに変換しておけば、多くの環境で色のズレなく表示できる。印刷を依頼する場合も、事前に印刷所の対応色空間を確認しておくと安心である。
カメラ内の設定をAdobe RGBにして撮影している場合でも、Web・SNS用に書き出す段階でsRGBに変換しておけば、多くの環境で色のズレなく表示できる。印刷を依頼する場合も、事前に印刷所の対応色空間を確認しておくと安心である。
JPEG以外の公開用画像形式
JPEGは長年にわたり写真の標準形式として使われてきたが、その後により高い圧縮率や新しい機能を備えた画像形式が次々と登場している。ここではPNG・JPEG 2000・WebP・BPG・HEIF/HEIC・AVIF・JPEG XLという7つの形式を取り上げ、JPEGと比べたメリット・デメリットを整理する。

PNGは可逆圧縮に対応し、画質を劣化させずに保存できる画像形式である。半透明を含む透過(アルファチャンネル)に対応しており、ロゴやイラスト、スクリーンショットに向いている。一方、写真のような色数の多い画像ではファイル容量がJPEGより大きくなりやすく、写真の書き出し用途にはあまり向かない。

JPEG 2000は、JPEGの後継として2000年(平成12年)に登場した規格で、同程度の画質ならJPEGより高い圧縮率を実現できる。ハイダイナミックレンジや高解像度画像にも強いが、対応ソフト・ブラウザが少なく処理にも時間がかかることから、一般向けにはほとんど普及しなかった。

WebPはGoogleが開発した形式で、同程度の画質ならJPEGより小さいファイル容量に収められる。可逆・非可逆圧縮の両方、透過、簡易的なアニメーションにも対応する。主要なブラウザでの対応が進んでおり、Webサイトの表示速度を上げたい場合の実用的な選択肢である。

BPGは動画圧縮技術HEVCを応用した形式で、JPEGと同程度の画質を大幅に小さいファイル容量で実現できる。透過や可逆圧縮にも対応するが、主要ブラウザがネイティブに対応しておらず、閲覧にはJavaScriptによる特殊な処理が必要になるなど、実用面での普及は進んでいない。

HEIF/HEICは、高効率な圧縮を目的とする画像ファイル形式で、AppleがiPhoneに採用したことで広く知られるようになった。HEIFはファイル形式、HEICはHEVCで圧縮した画像を収める際によく使われる拡張子である。JPEGより小さいファイル容量で同等の画質を保ちやすく、1つのファイルに複数の画像を格納できるが、閲覧・編集環境によっては対応状況の確認が必要である。

AVIFは動画圧縮規格AV1をベースにした形式で、同程度の画質ならJPEGより大幅に、WebPよりも小さいファイル容量を実現しやすい。主要ブラウザで利用できるが、書き出し(エンコード)に時間がかかる場合がある点には注意したい。
PNGは可逆圧縮に対応し、画質を劣化させずに保存できる画像形式である。半透明を含む透過(アルファチャンネル)に対応しており、ロゴやイラスト、スクリーンショットに向いている。一方、写真のような色数の多い画像ではファイル容量がJPEGより大きくなりやすく、写真の書き出し用途にはあまり向かない。
JPEG 2000は、JPEGの後継として2000年(平成12年)に登場した規格で、同程度の画質ならJPEGより高い圧縮率を実現できる。ハイダイナミックレンジや高解像度画像にも強いが、対応ソフト・ブラウザが少なく処理にも時間がかかることから、一般向けにはほとんど普及しなかった。
WebPはGoogleが開発した形式で、同程度の画質ならJPEGより小さいファイル容量に収められる。可逆・非可逆圧縮の両方、透過、簡易的なアニメーションにも対応する。主要なブラウザでの対応が進んでおり、Webサイトの表示速度を上げたい場合の実用的な選択肢である。
BPGは動画圧縮技術HEVCを応用した形式で、JPEGと同程度の画質を大幅に小さいファイル容量で実現できる。透過や可逆圧縮にも対応するが、主要ブラウザがネイティブに対応しておらず、閲覧にはJavaScriptによる特殊な処理が必要になるなど、実用面での普及は進んでいない。
HEIF/HEICは、高効率な圧縮を目的とする画像ファイル形式で、AppleがiPhoneに採用したことで広く知られるようになった。HEIFはファイル形式、HEICはHEVCで圧縮した画像を収める際によく使われる拡張子である。JPEGより小さいファイル容量で同等の画質を保ちやすく、1つのファイルに複数の画像を格納できるが、閲覧・編集環境によっては対応状況の確認が必要である。
AVIFは動画圧縮規格AV1をベースにした形式で、同程度の画質ならJPEGより大幅に、WebPよりも小さいファイル容量を実現しやすい。主要ブラウザで利用できるが、書き出し(エンコード)に時間がかかる場合がある点には注意したい。
JPEG XLは、既存のJPEG画像を画質を変えずに再構成でき、可逆圧縮や高いダイナミックレンジにも対応するなど、多くの機能を備えた形式である。しかし、対応するブラウザやソフトが限られているため、不特定多数に向けた公開用形式として使う際は対応状況の確認が必要である。
| 形式 | 写真での容量傾向 | 透過 | 普及状況 |
|---|---|---|---|
| PNG | 可逆(容量は大きい) | 対応 | 広く対応 |
| JPEG 2000 | JPEGより小さくしやすい | 対応 | 限定的 |
| WebP | JPEGより小さくしやすい | 対応 | 広く対応 |
| BPG | JPEGより大幅に小さくしやすい | 対応 | 主要ブラウザは非対応 |
| HEIF/HEIC | JPEGより小さくしやすい | 対応 | 環境により異なる |
| AVIF | JPEGやWebPより小さくしやすい | 対応 | 主要ブラウザで対応 |
| JPEG XL | JPEGより小さくしやすい | 対応 | ブラウザ対応は限定的 |
現状では、Web公開用にJPEGを基本としつつ、対応環境が整っている場合にWebPやAVIFを併用するのが現実的な選択となる。新しい形式は今後も対応状況が変わっていくため、公開先(ブログ・SNS・写真共有サービスなど)が対応しているかどうかを事前に確認しておくとよい。
オリジナルデータと公開用データを分ける
書き出しを行うときに気をつけたいのは、撮影時のオリジナルデータを直接上書きしないことである。書き出しは「別名で保存」する作業であり、RAWデータや撮影直後の高画素なJPEGはそのまま残し、Web・SNS・プリントそれぞれの用途に応じて縮小・圧縮した複製を新たに作るという手順を徹底したい。オリジナルを残しておけば、後から別サイズで書き出し直したり、より良いソフトで現像し直したりすることもできる。

公開用データとオリジナルデータをフォルダーで分けて管理しておくと、間違って公開用の小さいデータを「最終版」として保存してしまう事故を防げる。具体的な整理方法は、後の項で扱う「写真データの整理方法」を参照してほしい。
公開用データとオリジナルデータをフォルダーで分けて管理しておくと、間違って公開用の小さいデータを「最終版」として保存してしまう事故を防げる。具体的な整理方法は、後の項で扱う「写真データの整理方法」を参照してほしい。
参考サイト
- SNS投稿に最適な画像サイズ一覧:コムニコ
- 「sRGB」と「Adobe RGB」の違いは何ですか?:ソニー
- あなたの写真が変わるプリント講座:キヤノン
(この項おわり)
大きな写真