4.9 写真のプリントとフォトブック

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プリントした写真を手に取って眺める(イメージ)
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スマートフォンやパソコンで写真を見るのが当たり前になり、プリントしたことがないという人は珍しくない。しかし、紙にした写真には画面とは違う良さがある。電源を入れなくても目に入り、家族や友人と同じ1枚を囲んで見られ、10年後も同じ姿で残る。
一方で、初めてプリントすると戸惑うことがある。「画面ではきれいなのに、印刷すると暗い」「写真の端が切れてしまった」という2つは、ほとんどの人がつまずく。どちらも原因がはっきりしており、知っていれば避けられる。本項では、家庭用プリンターと写真店・ネットプリントの使い分け、用紙サイズと縦横比、色が変わる理由、そしてフォトブックの作り方を解説する。

目次

写真は画面で見るだけではない

撮った写真の大半は、撮影した直後に一度見られるだけで、その後は開かれない。データは探さなければ存在しないのと同じである。紙にしておけば、机の上やアルバムの中で自然と目に入る。

プリントすると、写真の見え方そのものも変わる。画面では気づかなかったピントの甘さやブレが、紙の上でははっきり分かる。自分の写真を見直す機会にもなる。

全部を出す必要はない。「4.7 写真データの整理方法」で付けた星5の写真だけを、年に一度まとめてプリントすればよい。

家庭用プリンター

家庭用プリンターで写真をプリントしている
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家庭用プリンターの主流はインクジェット方式である。インクには染料顔料があり、染料は用紙に染み込んで光沢紙での発色がよく、顔料は表面に定着して退色に強い。写真中心なら染料インクの機種を選ぶ。

必ず写真用紙を使う。普通紙ではインクがにじみ、色が沈む。写真用紙には、つやのある光沢紙、反射を抑えた絹目調、つやのないマット紙があり、人物や記録には絹目調が扱いやすい。
印刷設定でいちばん大事なのは、用紙の種類を正しく選ぶことである。プリンターは用紙に合わせてインク量を変えるため、ここを間違えると色が濃すぎたり薄すぎたりする。

弱点は使わないと不調になることである。数か月放置するとノズルが詰まり、クリーニングでインクを大量に消費する。月に一度は数枚出すくらいの使い方が、結局いちばん安く済む。

写真店・ネットプリント

写真店のプリントは、印画紙に光を当てて現像する銀塩方式が中心である。インクジェットより階調がなめらかで、表面が均一に仕上がる。1枚あたりの単価も安く、L判なら数十円からある。

店頭のセルフ端末なら最短10分程度で受け取れる。ネットプリントは自宅から注文して2〜3日で届き、まとめて出すほど安い。コンビニのマルチコピー機は、少ない枚数を急いで出したいときに向く。

どれか1つに決める必要はない。急ぎと1枚だけは自宅か店頭、まとまった枚数はネットプリントと使い分ければよい。大きく引き伸ばすときや贈り物にするときは、店頭で相談するのが確実である。
プリント方法の比較
方法仕上がりまで1枚あたりの手間・費用向いている場面
家庭用プリンターすぐ用紙とインクが必要。少量だと割高1枚だけ、試し刷り、はがき
店頭プリント最短10分程度安い。その場で受け取れる急ぎ、大きいサイズ、相談したいとき
ネットプリント2〜3日いちばん安い。まとめ出しに向く1年分、旅行1回分などの大量注文
コンビニプリントその場やや高め。24時間使える外出先、数枚だけすぐ欲しいとき

用紙サイズと縦横比

写真の縦横比と用紙の縦横比の違いで端が切れることを示す図解
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大きな写真大きな写真
(1672×941 ピクセル, 213 Kbyte)
いちばん身近なのがL判で、寸法は89×127mmである。この縦横比は約1対1.43になる。ところが、一眼レフやミラーレスの写真は3対2(1対1.5)、コンパクトデジカメやスマートフォンの多くは4対3(1対1.33)である。つまり、L判はどちらとも一致しない。

3対2の写真をそのまま出したいなら、KG判(102×152mm、約1対1.49)がいちばん近い。ハガキとほぼ同じ大きさで、店頭でもネットプリントでも扱いがある。A4は約1対1.41で、L判に近い比率である。

必要な画素数は、心配するほど多くない。一般的な印刷解像度である300dpiで計算すると、L判は約1050×1500ピクセル、およそ160万画素で足りる。A4でも約2480×3510ピクセル、およそ870万画素である。いま売られているデジカメなら、四つ切りでも余裕がある。
主な用紙サイズと縦横比(300dpi換算)
サイズ寸法縦横比必要画素数の目安用途
L判89×127mm約1:1.431050×1500(約160万画素)いちばん一般的。アルバム用
KG判102×152mm約1:1.491205×1795(約220万画素)3:2の写真が切れにくい
はがき判100×148mm約1:1.481181×1748(約210万画素)年賀状、暑中見舞い
2L判127×178mm約1:1.401500×2100(約320万画素)L判の2倍。人に見せる用
六切203×254mm約1:1.252400×3000(約720万画素)額装、記念写真
四切254×305mm約1:1.203000×3600(約1080万画素)展示、大きく飾る
A4210×297mm約1:1.412480×3510(約870万画素)家庭用プリンターの最大級

トリミングされることがある

写真の縦横比と用紙の縦横比が違うため、そのまま用紙いっぱいにプリントすると、はみ出した部分が切り落とされる。これが「端が切れた」の正体である。写真店やプリンターが勝手に失敗したわけではない。

3対2の写真をL判に出すと、長辺の端が合計で約5パーセント切られる。4対3の写真なら、今度は短辺の側が約7パーセント切られる。スマートフォンの縦長写真では、切られる量はさらに大きくなる。

さらにフチなしプリントでは、用紙の端まで確実に色を乗せるため画像をわずかに拡大して印刷する。そのぶん外周が数mm余分に切れる。頭の先や足元ぎりぎりで撮った写真は、この数mmで印象が変わる。

対策は3つある。1つ目は、撮影時に周囲を少し広めに写しておくこと。特に集合写真は、端の人と画面の縁の間を空けておく。2つ目は、注文画面でトリミング位置を自分で決めること。多くのサービスに、切り取り範囲を動かす機能がある。3つ目は、フチありを選ぶことである。フチありなら画像全体が入り、白い余白ができる。
写真の縦横比とL判プリントの関係
写真の縦横比主な機種L判に出したときおすすめの対処
3:2(1:1.50)一眼レフ、ミラーレス長辺の端が約5%切れるKG判にする、またはフチありにする
4:3(1:1.33)コンパクト機、スマホ短辺の側が約7%切れるトリミング位置を自分で決める
16:9(1:1.78)パノラマ設定、動画切り出し両端が大きく切れるハイビジョンサイズの用紙を選ぶ
1:1(ましかく)正方形設定上下または左右が切れるましかくプリントを選ぶ

色が画面と印刷で違う理由

モニターの発光とプリントの反射光の違いを示す図解
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大きな写真大きな写真
(1672×941 ピクセル, 251 Kbyte)
モニターは自分で光を出している。赤・緑・青の光を足し合わせて色を作る(加法混色)。これに対してプリントは、部屋の光を紙が反射しているだけである。インクは光を吸収して色を作る(減法混色)。仕組みが違う以上、完全に同じにはならない。

「印刷すると暗い」の原因で最も多いのは、モニターが明るすぎることである。初期設定は室内で見るには明るすぎることが多く、その画面に合わせて写真を暗めに仕上げてしまう。プリントを前提にするなら、白い紙と同じくらいの明るさまで輝度を下げてから調整する。

2つ目の原因は色域の違いである。モニターが出せる鮮やかな青や緑は、インクや印画紙では再現しきれず、空の青やネオン、蛍光色は紙で必ずくすむ。3つ目は見る場所の光である。同じプリントでも電球色の下では黄色く、青白い蛍光灯の下では冷たく見える。確認は色温度5000K前後の昼白色の光の下で行いたい。

対策は、書き出しの色空間をsRGBに統一すること(「4.5 写真の書き出しとサイズ変更」参照)、用紙の種類を正しく選ぶこと、そしていきなり大量に刷らず、まず1枚テストすることである。厳密に合わせるにはキャリブレーション機能付きモニターとICCプロファイルを使うが、初心者の段階では、モニターを暗くしてテスト印刷するだけで大半の不満は解決する。
画面と印刷で色が合わないときの原因と対策
症状主な原因対策
印刷すると暗いモニターの輝度が高すぎる輝度を下げてから明るさを調整し直す
色が全体に濃い/薄い印刷設定の用紙種類が違う実際に使う用紙を設定で正しく選ぶ
青や緑が沈むインクの色域が狭い再現できない色と割り切る。彩度を上げすぎない
色かぶりして見える見ている場所の照明昼白色(5000K前後)の光の下で確認する
店とプリンターで色が違う色空間の指定違い書き出しをsRGBに統一する

フォトブックを作る

できあがったフォトブックを開いて見る(イメージ)
旅行1回分を1冊にまとめると、見返す機会が増える
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フォトブックは、写真を製本して1冊の本にするサービスである。ネットで注文でき、文庫本ほどの大きさなら1冊数百円から作れる。バラのプリントと違って散らばらず、本棚に立てておける。

仕上げは大きく2つある。印画紙を綴じる銀塩タイプと、印刷機で刷るオンデマンド印刷タイプである。前者は画質が高く、後者は安く早い。見開きが平らに開くフルフラット製本は、風景を大きく使いたいときに向く。
コツは枚数を詰め込みすぎないことである。1ページに1〜2枚が見やすい。似た写真を並べず、引いた写真と寄った写真を交互に置くと流れが出る。並び順は時系列がよい。日付とひとことの説明を入れておくと、数年後に読める記録になる。

表紙は、迷ったら人が写って表情が見えるものを選ぶ。完璧に作ろうとすると1冊も完成しないので、まず1冊作ってしまうことを勧める。
フォトブックの選び方
項目選択肢選び方の目安
印刷方式銀塩プリント/オンデマンド印刷画質を重視するなら銀塩、価格と速さならオンデマンド
表紙ソフトカバー/ハードカバー気軽に作るならソフト、贈り物や記念ならハード
製本通常製本/フルフラット製本見開きで大きく使うならフルフラット
サイズ文庫〜A4程度持ち歩くなら小さめ、飾るなら大きめ
ページ数16〜144ページ程度旅行1回なら24〜36ページが作りやすい

家族写真・旅行写真の残し方

家族の写真をパソコンやクラウドに入れておいても、家族はまず見ない。パスワードを知らず、操作も分からないからである。紙にしておけば、誰でも、いつでも見られる。とくに祖父母世代に見せるなら、プリントが確実である。

続けやすいのは、区切りで作るやり方である。旅行から帰ったら、その旅行分でフォトブックを1冊。1年が終わったら、その年のベストで1冊。子どもがいるなら、1年に1冊と決めておく。区切りがあると、選ぶ枚数も自然に決まる。

保管では直射日光と高温多湿を避ける。窓際に飾りっぱなしにすると数年で色があせるため、飾るなら紫外線を抑えた額を使い、原本は別にアルバムへしまう。アルバムは、粘着シート式よりポケット式のほうが写真を傷めにくい。

プリントはバックアップの一種でもある。ハードディスクが壊れ、クラウドの契約が切れても、紙の写真は残る(「4.8 バックアップの基本」参照)。データと紙の両方で残すのが、いちばん確実である。

参考サイト

(この項おわり)
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