『僕が医者として出来ること』――最期まで医療を放棄しない

山崎章郎=著
表紙 僕が医者として出来ること
著者 山崎章郎
出版社 講談社
サイズ 文庫
発売日 2001年05月
価格 594円(税込)
ISBN 9784062565196
誤解してはならないのは、現在行われている医療の進歩とはあくまでも技術の進歩であって、医者自身の進歩ではないということだ。(129ページ)

概要

危篤・ご臨終のイラスト
病院で死ぬということ』の続編である。著者の山崎章郎医師は、最近、射水市民病院で患者7人が延命措置の中止で死亡した問題に絡んでテレビのニュース番組に少しだけ登場したのを目にした。痛みは薬などでコントロールできるのだから、最期まで医療を放棄してはならない、というのが山崎さんの持論だ。
だが、「存在する意味を見失ったときに感じる心の痛み」(226ページ)は医療ではどうにもならないという。この痛みを少しでも和らげ、患者に安らかさを取り戻させるのを助けるのがホスピスであり、その主役は家族であるという。

山崎さんは、「現在行われている医療の進歩とはあくまでも技術の進歩であって、医者自身の進歩ではない」(129ページ)と鋭く指摘する。これは、われわれ技術分野にも言えることだ。この半世紀、コンピュータ技術は飛躍的な進歩を遂げた。しかし、それを使う人間のモラルはどうだろうか。ITを悪用した事件が後を絶たない今、われわれは何をすべきだろうか。
(2006年4月11日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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