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はやぶさ、そうまでして君は | ||
著者 | 川口淳一郎 | ||
出版社 | 宝島社 | ||
サイズ | 単行本 |
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発売日 | 2010年12月 | ||
価格 | 1,320円(税込) | ||
ISBN | 9784796678919 |
十分な予算、時間、人員が確保されているプロジェクトに、残念ながら私は出合ったことがありません。(85ページ)
概要

レビュー
「はやぶさ」の原点である小惑星ランデブー計画は、じつはNASAとの共同プロジェクトとしてスタートした。しかし、NASAに比べて数十分の一の予算しかない宇宙科学研究所は、NASAのプロジェクトの進捗について行けなくなり、ついにNASAの単独プロジェクトとなってしまう。
その時、著者は「こんちくしょうッ!」(44ページ)と思ったという。その悔しさをバネに、NASAが絶対に取り組まないはずのハイリスクな小惑星サンプルリターン構想をぶち上げたという。
しかし、イオンエンジンなど日本初の技術の開発は困難を極め、ロケット発射のわずか2ヶ月前にようやく「はやぶさ」は完成した。

打ち上げは順調に行われ、目的の小惑星「イトカワ」に到着するまでは、ほぼ予定通りのスケジュールで進んだ。ところが、それからはトラブル続き。ついに通信が途絶してしまう。
ところが幸運なことに、「プログラムのどこにも書き込まれていなかった」(173ページ)にもかかわらず補充電回路がONになり、46日後に通信が回復する。
著者は「『はやぷさ』が自分の意思で、危機を回避するために補充電回路をONにした? それは、科学の原理としてあり得ない」(173ページ)と言いつつも、地球に帰ってきた「はやぶさ」に対しては「成長した自分の子どもが帰ってきたようで、とても『はやぷさ』を機械とは思えない。特別な存在になっていました」(194ページ)という思いを記している。

7年間を「はやぶさ」に捧げたプロジェクト・リーダーの言葉のひとつひとつには重みがある。
「不可能といわれたミッションを次々達成できたのは、高度なテクノロジーと精確な運用はもちろん、関わった全員が『楽しい』と思えたから」(192ページ)。
通信途絶が起きた時には、「運用室にやってきたJAXAやメーカーの人が、お茶を飲もうとしたとき、ポットからお湯ではなく水が出てきたりすれば、もうプロジェクトの終焉も近いんだな、あとは運用停止を待つだけなんだな、そういう印象をもってしまいかねません。すごく悲しい気持ちになるはず」(158ページ)と気を回し、自身がポッドに水を注いでいたという。
政府の事業仕分けで名言となった「1番でなければダメですか? 2番ではダメなんですか?」に対しては、「そもそも、『2番を狙う』などという、器用な真似はできません」(217ページ)と指摘。「1番にNASAがあり、『その次でいい』と考えていたら、あっという間に他の国に追い抜かれてしまいます。それでいいのでしょうか」と疑問を投げかける。
その時、著者は「こんちくしょうッ!」(44ページ)と思ったという。その悔しさをバネに、NASAが絶対に取り組まないはずのハイリスクな小惑星サンプルリターン構想をぶち上げたという。
しかし、イオンエンジンなど日本初の技術の開発は困難を極め、ロケット発射のわずか2ヶ月前にようやく「はやぶさ」は完成した。

打ち上げは順調に行われ、目的の小惑星「イトカワ」に到着するまでは、ほぼ予定通りのスケジュールで進んだ。ところが、それからはトラブル続き。ついに通信が途絶してしまう。
ところが幸運なことに、「プログラムのどこにも書き込まれていなかった」(173ページ)にもかかわらず補充電回路がONになり、46日後に通信が回復する。
著者は「『はやぷさ』が自分の意思で、危機を回避するために補充電回路をONにした? それは、科学の原理としてあり得ない」(173ページ)と言いつつも、地球に帰ってきた「はやぶさ」に対しては「成長した自分の子どもが帰ってきたようで、とても『はやぷさ』を機械とは思えない。特別な存在になっていました」(194ページ)という思いを記している。

7年間を「はやぶさ」に捧げたプロジェクト・リーダーの言葉のひとつひとつには重みがある。
「不可能といわれたミッションを次々達成できたのは、高度なテクノロジーと精確な運用はもちろん、関わった全員が『楽しい』と思えたから」(192ページ)。
通信途絶が起きた時には、「運用室にやってきたJAXAやメーカーの人が、お茶を飲もうとしたとき、ポットからお湯ではなく水が出てきたりすれば、もうプロジェクトの終焉も近いんだな、あとは運用停止を待つだけなんだな、そういう印象をもってしまいかねません。すごく悲しい気持ちになるはず」(158ページ)と気を回し、自身がポッドに水を注いでいたという。
政府の事業仕分けで名言となった「1番でなければダメですか? 2番ではダメなんですか?」に対しては、「そもそも、『2番を狙う』などという、器用な真似はできません」(217ページ)と指摘。「1番にNASAがあり、『その次でいい』と考えていたら、あっという間に他の国に追い抜かれてしまいます。それでいいのでしょうか」と疑問を投げかける。
(2011年3月22日 読了)
参考サイト
- はやぶさ、そうまでして君は:宝島社
- 小惑星探査機「はやぶさ」:宇宙科学研究所
- 川口淳一郎:JAXA
- 『一番じゃなきゃダメですか?』(蓮舫=著):ぱふぅ家のホームページ
- 『宇宙はどこまで行けるか』:ぱふぅ家のホームページ
(この項おわり)