Windows 10 Insider Previewには新機能がてんこ盛り

2014年10月 入手
Windows 10 Insider Preview
Windows 10 Insider Preview
大きな写真大きな写真
(1542×1038 ピクセル, 499 Kbyte)
次期OSとなる「Windows 10 Insider Preview」(旧Windows 10 Technical Preview)をダウンロードし、iMac + Windows 7 Pro (64bit) + VMware Player上にゲストOSとしてインストールしてみた。この環境でメモリを8Gバイトほど消費する。
第一印象としては、Windows 7と8.1のいいとこ取りをしたうえ、コマンドプロンプトが使いやすくなっている。

Windows 10は、2015年(平成27年)7月29日に正式リリースされた。現在Windows 7/8/8.1を利用している数億人のユーザーは、無償でアップグレードできるほか、Insider Preview参加者もアップグレード対象である。
ただし、非正規版を使用する消費者に対しては、Windows 10への無償アップグレードを提供しないとしている。

Windows 10に要求されるメモリは、32ビットは1Gバイト、64ビットは2Gバイト。ストレージの空き容量は32ビットが16Gバイト、64ビットは20Gバイト必要だ。ディスプレイは8インチ(解像度は800×600ピクセル)以上をサポートする。

.NET Frameworkは新しくなると見られているが、1998年(平成10年)にリリースされたVisual Basic 6(VB6)のランタイムは引き続きサポートされる。
ダウンロードは無料で行えるが、Microsoftアカウント(無料取得可能)が必要だ。
Windows 10 Technical Preview」から英語版ISOイメージをダウンロードする。約3.8Gバイトある。

VMware Playerでは、ダウンロードしたISOイメージを選択し、Windowsを選ぶことで問題なくインストールできた。インストール開始からWindows 10が利用できるようになるまで40分ほどかかった。ログインアカウントは、ダウンロードしたときのMicrosoftアカウントになる。
スタートボタンとスタートメニューが復活した。シャットダウンや再起動もスタートメニューから行えるようになった。
メニューにはWindows 8のライブタイルも格納されており、ここは評価が分かれるところだろう。
地味に進化したのがコマンドプロンプトだ。
マウスで範囲を指定し、CTRL+C, CTRL+Vでコピペできるようになった。その他にも複数のショートカットキーが使えるようになった。

また、ウィンドウ幅を小さくしたときに、スクロールバーではなく表示文字が折り返されるようになった。
バッチ処理を常用するときに助かる機能アップだ。
システムファイルの圧縮アルゴリズムの改善や、リカバリイメージのPCへの保存を不要にしたことにより、最大15.6Gバイトのストレージ容量を減らせるという。Windows 10搭載スマートフォン・ユーザーには朗報になるだろう。

エディション

2015年(平成27年)5月、Windows 10のエディションが発表された。
Windows 10 Home
個人向けのPC、タブレット、2in1が対象のエディション。Windows 8.1の後継に相当する。サブパターン。
Windows 10 Mobile
個人向けのスマートフォン、小型タブレットが対象のエディション。Windows Mobile 8.1の後継に相当する。
Windows 10 Pro
スモールビジネス向けPC、タブレット、2in1が対象のエディション。Windows 8.1 Proの後継に相当する。
Windows 10 Enterprise
企業向けPC、タブレット、2in1が対象のエディション。Windows 8.1 Enterpriseの後継に相当する。
Windows 10 Education
教育機関のPC、タブレット、2in1が対象のエディション。
Windows 10 Mobile Enterprise
企業向けのスマートフォン、小型タブレットが対象のエディション。
Windows 10 IoT Core
小さなフットプリント、ゲートウェイのような低コストデバイス、IoT(モノのインターネット)が対象の組み込み用エディション。
無償アップグレード対象OSのエディション対応は下記の通りである。
Windows 7 Starter Windows 10 Home
Windows 7 Home Basic Windows 10 Home
Windows 7 Home Premium Windows 10 home
Windows 7 Professional Windows 10 Pro
Windows 7 Ultimate Windows 10 Pro
Windows 8.1 Windows 10 Home
Windows 8.1 Pro Windows 10 Pro
Windows 8.1 Pro Student Windows 10 Pro
Windows 8.1 Pro WMC Windows 10 Pro
Windows 10では、ソリティアやマインスイーパー、ハーツなどのゲームが復活し、英Kingの人気ゲーム「キャンディークラッシュ」もインストールされる。

Windows 7からWindows 10へアップグレードすると、DVD-Video再生機能やUSBフロッピーディスクドライブのドライバがが削除される。別途再生ソフトをインストールすれば問題ない。Microsoftによれば、Windows 10用のDVD再生機能オプションを提供する予定もあるという。

変わる Windows Update

Windows 10ではWindows Updateの周期が大きく変わる。
Microsoftは、セキュリティ対策やバグフィックスだけでなく、最新テクノロジーの追加投入を行うため、OSそのものを強化し続ける計画だ。これを「Windows as a Service」と表現しており、「Windows 10が最後のOSリリースになる」と説明している。
具体的にはWindows Updateの周期を4つのグループに分ける。

Windows Insider Preview Branchは、一番早いタイミングで最新アップデートが受けられる。Windows Insider Program参加者が利用してきたものだ。
Current Branch(CB)は、Windows 10 Homeにおける初期設定で、年2~3回の大規模アップデートが行われる。
Current Branch for Business(CBB)は、企業向けの設定で、CBから約4カ月後にリリースされ、最大約8カ月間の社内テストが可能というもの。対象エディションはWindows 10 Pro/Enterpriseの2つであり、Homeは対象外だ。
Long Term Servicing Branch(LTSB)は、2~3年に1回程度のリリース、最大10年間のサポート、新機能や機能拡張のリリースはなしと、固定された環境で長期間利用し続けたい法人ニーズに応えたものだ。サブスクリプション契約が必要なWindows SA(Software Assurance)またはEnterprise Upgradeで利用可能だ。

Build 10240

2015年(平成27年)7月15日、Build 10240の配信が始まった。今回のBuildは、すでにWindows 10 Insider PreviewをインストールしたPCのユーザー向けにWindows Update経由で提供されるものだ。
実質的な RTM版(製造工程向けリリース版)と言われており、アップデート後に利用規約などを問いかけてきた。

新標準ブラウザ「Microsoft Edge」は、JavaScriptテストでChromeとSafariより高速な結果が得られたという。
いつの間にかコントロールパネルも復活している。

「設定」が使えなくなってしまったが、「[設定]が起動しない、または、かわりに ストア が起動してしまう」(MS公式)の手順に従って、復旧することができた。

Build 10158

Windows 10 Technical Preview
2015年(平成27年)6月29日、Build 10158の配信が始まった。
Webブラウザの名称が正式に「Microsoft Edge」となり、ロゴも新しくなった。
なお、最新Buildにアップデートすると、これまで使用していたお気に入りやクッキー、履歴、リーディングリストは消失するため、それらを継続して使いたい場合はアップデート前に保存しておく必要がある。
Edgeでは、Silverlightがサポートされないことになった。
この他、タスクバー上のアプリアイコンの通知マークの表示やファイルダウンロードのアニメーションの変更、Cortanaの強化、写真編集アプリ「Photosアプリ」でのアニメーションGIFのサポートなどが追加された。

Build 10130

Windows 10 Technical Preview
2015年(平成27年)5月29日、Build 10130の配信が始まった。Windows 10ではアイコンのデザインがフラットになったが、Build 9860と比べて大分洗練されてきた。

「設定」アプリから「パーソナル設定」→「スタート」と進むことで、スタートメニューのカスタマイズが可能になった。
Microsoft Edgeが改善され、お気に入り、リーディングリスト、そしてほかの枠もピン止めが行えるようになった。
アプリから「印刷」メニューを選択し、プリンタとして「Microsoft Print to PDF」を指定することで、PDFファイルが作成できるようになった。

その他、多くの改善がなされている。

開発者会議「Build 2015」とユニバーサルアプリ開発

2015年(平成27年)4月29日にはじまったMicrosoftの年次開発者会議「Build 2015」では、Windows 10に関する新たな情報ととも、Build 10074が公開された。名称は「Technical Preview」から「Insider Preview」に変わった

開発コード名「Project Spartan」と呼ばれてきたブラウザの正式名称が「Microsoft Edge」と発表された。
Edgeでは描画エンジンが一新され、Google ChromeとFirefoxの拡張機能やアドオンを流用できる予定だ。
また、1996年(平成8年)に発表したインターネット関連技術「ActiveX」をはじめ、「VML(Vector Markup Language)」「BHO(Browser Helper Objects)」「VBScript」などの古い技術は脆弱性の原因になるため、サポートしないことが明らかにされた。
なお、従来のIEと描画エンジンも引き続きWindows 10に搭載され、Microsoft Edgeとどちらを使うか選択できる。またIE8との互換性を維持するための「エンタープライズモード」も残る。

スマホやタブレットへの対応にも力を入れている。Windowsランタイムを再構成し、AndroidやMac用アプリも動かしてしまおうというプロジェクトが進行中だ。
Project Astoria
Android用のコードを、わずかな手直しだけでWindows 10 for phones用にできる。
Project Islandwood
XcodeプロジェクトをVS 2015用にコンバートし、そのObjective-Cのコードを編集/デバッグできる。
Project Centennial
WPFやWindowsフォームなど、従来のWin32アプリを再パッケージしてWindows 10のユニバーサルWindowsプラットフォームで動かす。
Windows 10 Enterprise
Webサイトをストアアプリに変換する。JavaScriptからWindowsランタイムを利用できる。

Build 10061

2015年(平成27年)4月22日、Build 10061の配信が始まった。
新しいメールとカレンダーのアプリが追加され、スタート、タスクバー、アクションセンターが半透明になり、スタートメニューはサイズを変更できるようになった。
Windows 10の正式版は、7月末にリリースされるとみられている。

新Webブラウザ「Spartan」

Office for Windows 10 テクニカルプレビュー
「Windows 10 Technical Preview」のビルド10049がリリースされ、2015年(平成27年)3月30日、新Webブラウザ「Project Spartan」(開発コード名)が加わった。

Spartanの目玉機能の1つ目は、表示したWebページにスタイラスで書き込みができ、それをOneDriveに保存してユーザー同士で共有できる「アノテーション機能」だ。タッチ対応ディスプレイではない場合は、Webページの任意の場所をクリックすることでメモを入力できる。

2つ目は、Safariの「Reading List」のようなマルチ端末対応の“あとで読む”機能としても使える「Reading Mode」だ。
Webページを「本のように」シンプルな表示にして読むことができ、端末に保存すればオフラインでも読める。
3つ目は、昨年4月にWindows Phone向けのパーソナルアシスタント機能として登場し、Windows Phone 8.1に搭載された「Cortana」の統合だ。
アドレスバーから地域の天気予報をチェックしたり、アドレスバーに「Delta」と入力するだけでユーザーが予約したフライトのスケジュールが表示される。

Wordは左図のように、大変シンプルな画面になった。リボンの跡形もない。
デフォルトではOneDriveに保存される。

Office for Windows 10 テクニカルプレビュー

Office for Windows 10 テクニカルプレビュー
2015年(平成27年)2月4日(米国時間)、「Office for Windows 10 テクニカルプレビュー」が公開された。Windows 10 Technical Previewの「ストア(ベータ)」から無料でWord, Excel, PowerPoint がダウンロードできる。
ただひ、Build 9879からアップデートしたBuild 9926では動作せず、Build 9926を新規インストールする必要がある。

Wordは左図のように、大変シンプルな画面になった。リボンの跡形もない。
デフォルトではOneDriveに保存される。
Office for Windows 10 テクニカルプレビューの大きな写真大きな写真
(937×1001 ピクセル, 251 Kbyte)

新しくなったコマンド・プロンプト

Windows 10 新しくなったコマンド・プロンプト
コマンドプロンプトの新機能は、テクニカルプレビュー版では実験用という扱いであり、デフォルトでは無効になっている。これをオンにするには、コマンドプロンプトを開いてプロパティ画面を表示させ、[実験用]タブで利用したい機能のチェックボックスをオンにする必要がある。
「新しい Ctrl キー ショートカットを有効にする」と、以下のショートカットが利用できるようになる。コピペができるのは便利だ。
[Ctrl]+[↑][↓][Page Up][Page Down]コンソール画面のスクロール
[Ctrl]+[M]選択モードの開始([↑][↓][←][→]などでカーソルを移動させ、[Shift]を押しながら選択する)
[Ctrl]+[A]コンソールウィンドウ内の全テキスト選択
[Ctrl]+[C]選択範囲をコピー
[Ctrl]+[V]貼り付け
[Ctrl]+[F]検索

Build 9926

Windows 10 Technical Preview
2015年(平成27年)1月23日(米国時間)、Build 9926の配信が始まった。
Build 9879からアップデートできるが、ダウンロードに30分、インストールに1時間もかかってしまった。インストールの最終段階でBluetoothキーボードやマウスが反応しなくなるという事象が発生した。

Windows 10では、新しいブラウザ「Spartan」(開発コード名)と従来のInternet Explorer(IE)の両方が搭載されるとアナウンスされたが、残念ながらBuild 9926に入っているのはIEのみである。

画面表示は英語のままだが、日本語入力が行えるようになった。
音声対応のパーソナルアシスタント機能「Cortana」が実装された。日本語も利用可能で、左図のようにネットとローカルの両方を検索してくれる。

Build 9879

2014年(平成26年)11月24日、Build 9879の配信が始まった。
動画ファイル形式のMKV(Matroska)、HEVC(H.265)をネイティブサポートした。

Build 9860

2014年(平成26年)10月21日、初めてアップデートがあり、Build 9860となった。約7000の改善と修正、そして新機能が追加されている。
手動でアップデートする場合、「PC Settings」→「Update and recovery」→「Preview builds」と進み、「Check Now」ボタンをクリックすることで更新される。
ダウンロードサイズは2~2.74Gバイトというが、ダウンロードから再起動してしてログイン画面に到達するまで1時間以上かかった。

Action Center、マルチディスプレイでアプリを移動するキーボードショートカット、デスクトップ切り替え時のアニメーションなどが主な追加機能だが、実際にアプリをインストールしてみないことには評価できない機能ばかりだ。

2段階認証を導入

Windows 10にはに2段階認証機能を搭載するという。
2段階認証の1つ目は端末自体で、2つ目はPINコード、あるいは指紋になる。例えば1台のスマートフォンを登録しておけば、そのスマートフォンとBluetoothあるいはWi-Fiで接続した端末からログインできる。
また、PINコードあるいは指紋を登録した指と、登録済み端末の両方を盗まれない限り、自分以外がサービスにログインすることはできないことになる。

発売は2015年秋?

2014年(平成26年)12月4日、MicrosoftのKevin Turner COOは、2015年(平成27年)の秋にはWindows 10を披露できるだろうと語った。また、Windows 10に関するイベントを、2015年(平成27年)1月21日に米本社で開催すると発表した。

参考サイト

(この項おわり)
header