OCRアプリ「NDLOCR-Lite」は国立国会図書館謹製

2026年6月 入手
NDLOCR-Lite
NDLOCR-Lite
NDLOCR-Liteは、国立国会図書館(NDL)のNDLラボが2026年(令和8年)2月24日に公開したOCR(光学的文字認識)ソフトウェアである。図書や雑誌といった資料のデジタル化画像から、文字部分をテキストデータに変換(文字起し)することができる。

従来、NDLが公開していた NDLOCR は実行環境にGPU(Graphics Processing Unit)を必須としていたが、NDLOCR-LiteはGPUを必要とせず、ノートパソコンなど一般的な家庭用コンピュータで高速に動作する。デスクトップアプリケーションが用意されており、マウス操作のみで簡単に利用できる。
種別 ユーティリティ
主な機能 図書・雑誌等の画像及びPDFのOCRテキスト化(レイアウト認識・文字列認識・読み順整序)、Crop&OCR機能、画面キャプチャOCR機能
価格 無償(CC BY 4.0ライセンス)
動作環境 Windows 11 / macOS Sequoia(Apple M4) / Ubuntu 22.04
コマンドライン版の利用にはPython 3.10以上が必要
製作者 国立国会図書館(NDLラボ 次世代システム開発研究室)
公式サイト https://github.com/ndl-lab/ndlocr-lite
最新バージョン v1.2.1(2026年4月22日)

目次

インストール手順

インストールは、まず GitHubのリリースページから、利用するOS(Windows・Mac・Linux)に対応したzipファイルをダウンロードすることから始まる。ファイルサイズは 200MB程度あるため、ダウンロードには少々時間がかかる。

ダウンロードした zipファイルは、実行ファイル等をまとめた圧縮ファイルである。右クリックメニューの「すべてを展開…」等を使い、内容を完全に展開する。この際、配置するフォルダの名称は半角の英数字または記号とし、日本語等の全角文字を含めないようにする。全角文字が含まれていると起動しないことがあるためである。

展開後に現れる "ndlocr_lite_gui.exe"(Windowsの場合)をダブルクリックすると起動する。起動時にセキュリティの警告画面が表示されることがあるが、そのまま進めればよい。PCのメモリに1GB以上の空きがないと起動しない場合があるため、なかなか立ち上がらないときは、Webブラウザ等メモリを大きく消費するアプリケーションを終了してから再度起動するとよい。

開発経緯

デジタル化資料のテキスト化
デジタル化資料のテキスト化
NDLOCR は、国立国会図書館が令和2年度補正予算(第3号)により、株式会社モルフォAIソリューションズに委託して研究開発したOCR処理プログラムである。国立国会図書館デジタルコレクションが持つ画像データのみのデジタル化資料に対して、機械学習で改善・カスタマイズが可能なOCRを整備することを目的として開発され、2022年(令和4年)4月25日に国立国会図書館のGitHubでオープンソースとして公開された。

NDLOCR-Liteは、このNDLOCRの軽量版を目指して開発されたOCRである。NDLOCRは高精度な認識が可能な一方、実行にGPUを必要とするため、一般家庭用のパソコンでは扱いにくいという課題があった。NDLOCR-Liteは、この課題を解消し、ノートパソコン等の一般的な家庭用コンピュータやOS環境でも高速に動作するOCRとして開発された。

開発にあたっては、NDLラボにおけるこれまでの調査研究活動、特に NDL古典籍OCR-Lite の開発経験が活かされている。NDLOCRが外部委託による開発だったのに対し、NDLOCR-Liteは国立国会図書館の職員が内製で開発した点も特徴である。2026年(令和8年)2月24日に、NDLラボ公式GitHubから公開された。

コンセプト

NDLOCR-Liteのコンセプトは、GPUを必要とせず、ノートパソコン等の一般的な家庭用コンピュータやOS環境で動作する軽量なOCRである。Windows 11、macOS Sequoia(Apple M4)、Ubuntu 22.04の各環境で動作を確認しており、デスクトップアプリケーションを用いればマウス操作のみで利用できる。

また、これまでのNDLOCRが不得意としていた英文や手書き文字についても、実験的に対応している点が特徴である。画像ファイル上の任意の範囲だけをOCRする「Crop&OCR」機能や、画像ファイルを介さずにPC画面の任意の範囲をOCRする「キャプチャモード」も備えている。

OCR性能

NDLOCR-Liteは、「レイアウト認識」「文字列認識」「読み順整序」の3つの機能(モジュール)を組み合わせて実現している。レイアウト認識にはDEIMv2、文字列認識にはPARSeqをそれぞれ用いており、読み順整序についてはNDLOCRと同様のモジュールを使用している。両モデルとも、PyTorchで学習した後にONNX形式に変換して利用している。

日本語活字の図書及び雑誌に対するF値による評価結果が、GitHubリポジトリで公表されている。また、手書き文字に対する評価(v1.2.1)では、JaWildTextデータセットの手書き文字データ1,065画像を用いた検証において、全体平均CER(Character Error Rate、文字誤り率)が0.268、縦書き平均CERが0.279、横書き平均CERが0.264という結果が示されている(CERは0から1までの範囲を取り、0に近いほど高い性能を表す)。

出力データ

NDLOCR-Liteは、出力ファイルの形式を5種類の中から選択できる。TXT形式は構造情報を持たない文字列情報のみのテキストデータ、JSON形式は1行の文字列ごとに座標情報とテキストデータをJSON形式で格納したもの、XML形式はレイアウト情報・座標情報・テキストデータ等をXML形式で格納したものである。

このうちXML形式は、レイアウト情報や座標情報を構造化して保持しているため、AIエージェントへの入力データとして有用である。単なる文字列情報だけのTXT形式と異なり、見出しや段落、表といった文書構造を機械的に解釈できる形で保持しているため、RAG(検索拡張生成)システムへの取り込みや、後続処理での要約・分類といったAIエージェントによる自動処理に適している。

このほか、TEI(Text Encoding Initiative)に準拠したTEI形式、及びPDFにテキストデータを透明テキストとして埋め込み、内部の検索やコピー&ペーストができる「透明テキスト付PDF形式」にも対応している。

参考サイト

(この項おわり)
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