個人情報をネットに晒される

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WinnyやShareなどのファイル共有ソフトで入手したソフトに仕込まれていたにウイルス「Kenzero」によって個人情報やパソコンの利用履歴を盗まれ、これを公開、削除してほしければ金を払えと脅してくる「ロマンシング詐欺」と呼ばれる金銭詐欺が横行しています。

ロマンシング詐欺

2010年(平成22年)3月に起きた事件では、犯人が株式会社ロマンシングなる会社名を名乗っていることから「ロマンシング詐欺」とも呼ばれています。

原因は、WinnyやShareなどのファイル共有ソフト上に流れていたファイルです。
WindowsなどのOS、セキュリティー対策ソフト、ホームページ作成などの実用系ソフト、アダルトゲームなどに、トロイの木馬の一種である Infostealer.Kenzero が仕込まれていました。
これらのソフトを導入しようとすると、本来はない個人情報の入力画面が現れます。その画面に住所・氏名・電話番号・携帯メールアドレス・家族構成などを入力すると、犯人が用意したサイトに勝手に送信されます。さらに、自動的にインターネットに公開される仕組みになっていました。
公開されていたのは「ICO・国際著作権機構」なるサイトで、同時にパソコンのデスクトップ画面の画像、最近利用したファイルの履歴、ブラウザーのお気に入りなども公開されていました。
このサイトはすでに閉鎖されていますが、3月24日時点で約5500人の個人情報が晒されていたといいます。

長崎市立江平中学校(長崎県)の校長は、自宅PCでShareを使いセキュリティ対策ソフトをダウンロードし、生徒の個人情報を流出させたことに加え、このサイトに個人情報を晒されてしまいました。中には猥褻画像を表示した履歴や児童ポルノと思われる画像のファイル名もあったことから問題になっています。
ロマンシング詐欺
そして、「ICO・国際著作権機構」のサイトには、晒された個人情報を消すための「削除申請フォーム」がありました(上図参照)。ここに氏名やメールアドレスなどを入力すると、株式会社ロマンシングなる会社からメールが届き、著作権侵害に対する「和解案」として金を払えというメールが送られてきます。
不正コピーをしたのだから金を払えという理屈ですが、犯人は著作権者ではありませんから法的に支払う義務はありません。完全な詐欺なのです。

ロマンシング詐欺の首謀者は、2010年(平成22年)5月26日に逮捕されました。
ウイルス作成者の摘発は全国2例目で、詐欺容疑では初めだということです。

対策

まず、WinnyやShareなどのファイル共有ソフトで流れているウイルスへの対策ですが、これは「ファイル交換ソフトから個人情報が漏れる」でも述べたように、怪しげなファイルをオープンしないように注意するしかありません。いったんネット上に個人情報が流出してしまうと、回収はほぼ不可能です。

不幸にして流出してしまった場合、その後ろめたさから前述のような金銭詐欺にかかりやすいと思います。
しかしここは冷静に考えて下さい。著作権者であるソフトウェア・メーカーから訴えられているわけではないので、損害賠償を支払う法的根拠はありません。無視して下さい。

参考サイト

(この項おわり)
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