個人情報保護委員会が注意喚起(2026年10月7日)

2026年10月8日 作成
個人情報保護委員会の2026年10月7日の注意喚起を6項目にまとめた紺乃のインフォグラフィック
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個人情報を守るには、攻撃を防ぐだけでなく、異常を早く見つけ、被害を広げない備えも必要です。個人情報保護委員会の注意喚起を、事業者が点検すべき6つの観点に整理します。難しい用語は身近な例で説明し、対策の優先順位は本記事の提案として示します。

目次

背景――なぜ注意喚起が出されたのか

大規模な個人情報漏洩の発生を確認する紺乃
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2026年(令和8年)10月7日、個人情報保護委員会は、大規模な漏洩事案を受けて注意喚起を公表しました。多くの人が使うサービスを運営する事業者が不正アクセスを受け、大量の個人データが漏れた、または漏れたおそれのある事案が背景にあります。
個人情報は、氏名や住所など、誰の情報なのか分かる情報です。そのうち、顧客名簿のように検索しやすく整理されたものに含まれる情報を、法律では「個人データ」と呼びます。漏れると、本人を装った契約や詐欺などに使われるおそれがあります。
今回の注意喚起は、特定の企業の事件だけを説明するものではありません。委員会は、事業者が安全管理の方法を見直せるよう、ガイドラインの改訂予定の内容を先に示しました。同時に、実際の漏洩事案から学ぶ資料「WARNING」も改訂し、典型事例を9つに整理しています。

対象――特に注意が必要な事業者

多数の利用者の情報や被害につながりやすい情報を守る紺乃
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注意喚起は、個人情報を事業で扱う事業者に向けたものです。特に重視されるのは、多くの人の情報を保有する事業者や、漏洩によって本人が大きな被害を受けやすい情報を持つ事業者です。「大企業だけの問題」と考えず、情報の内容と量、漏れた場合の影響を確かめます。
委員会が特に注意を求めているのは、次のような事業者です。
  • 多くの人が利用する分野で高いシェアを持つサービスを提供し、大量の個人情報を保有する事業者
  • 利用者が取扱事業者を選びにくいサービスを提供し、大量の個人情報を保有する事業者
  • 人に知られたくない情報、金銭被害につながる情報、詐欺に悪用される情報などを保有する事業者
例えば、病歴のような慎重な扱いが必要な情報と、公開されている連絡先とでは、漏れたときの影響が違います。対策は、会社の規模だけで決めるのではなく、扱う情報と想定される被害に合わせて選びます。

優先して進める技術対策

更新、認証、監視、隔離を組み合わせて点検する紺乃
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技術対策は、入口を守る・情報に触れる範囲を絞る・異常を見つける・被害の広がりを止めるという流れで考えると分かりやすくなります。以下は、委員会の資料を基にした本記事の優先順位の提案です。公式の順位や期限ではなく、実際の緊急度に応じて並行して進めます。
優先1:守る対象と担当者を把握し、危険な弱点をふさぐ
パソコン、サーバー、インターネットにつながる機器、クラウドを一覧にし、管理担当者を決めます。特に外部から接続する入口の弱点を確認し、修正プログラムを速やかに適用します。脆弱性とは、攻撃に悪用されるソフトウェアなどの弱点です。OSだけでなく、アプリや、その動作を支えるミドルウェアも更新対象にします。

優先2:認証を強め、アクセス権限を必要最小限にする
本人を確かめる「認証」と、その人が見たり変更したりできる範囲を決める「アクセス制御」を点検します。退職者の権限を残さず、管理者の強い権限も必要な人・端末・場面に絞ります。外部からの接続、管理者権限での操作、重要な個人データへのアクセスでは、多要素認証が例示されています。

多要素認証は、パスワードのような「知っているもの」と、手元の機器や本人の身体的特徴など、種類の違う要素を組み合わせて確認する方法です。見直し案は、偽サイトにだまされにくい方式も含めて検討する考え方を示しています。パスワードの使い回しを避けることや、ログイン失敗が続いたときの制限も大切です。

優先3:記録を分析し、異常時に隔離できるようにする
ログは、誰がいつ接続し、何をしたかなどの記録です。保存期間を決め、改ざんや消去から守り、定期的に分析します。端末の不審な動きを検知するEDRや、通信を監視・遮断するIDS/IPSなども対策例です。異常が起きたときに端末をネットワークから切り離し、アカウントを止める担当者と手順を用意します。

継続して行うこと:開発・変更・送信の安全性を確かめる
システムを作るときだけでなく、設定を変えたときも安全性を確認します。動作確認に本物の個人データを使う場合は必要最小限にし、通信は暗号化します。対策は導入して終わりではなく、更新や点検を続けます。

不要な情報を減らし、組織全体で守る

保存が必要な情報と不要な情報を分け、委託先も点検する紺乃
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強い鍵を付けても、不要な情報を大量に保管していれば、漏れたときの被害は大きくなります。保存する目的と期間を確かめ、不要になった個人データは削除することも対策です。個人情報保護法第22条は、利用する必要がなくなった個人データを遅滞なく消去するよう努めることを求めています。
ただし、法令で保存期間が決められている情報は、その定めを踏まえて扱います。退会者の情報や終了した事業のデータなどについて、保存を続ける合理的な理由があるか確認します。
共有フォルダだけでなく、従業員の個別フォルダやテスト用の複製も確認対象にすることを、本記事では提案します。

経営層は、担当者、予算、対策の優先順位を決め、作業が完了したか確認する必要があります。情報システム部門だけに任せず、国内外の拠点やグループ会社を含めて、管理責任と役割分担を明確にします。従業員への教育や、端末・書類の物理的な管理も含めて考えます。

クラウドを使う場合も、安全性をサービス利用規約や評価資料などで確認します。個人データの取扱いを委託している場合は、委託先への必要かつ適切な監督が必要です。委託先が親会社やグループ会社であっても、その関係だけを理由に監督を省くことはできません。

追加された注意点――APIの悪用

APIで本人確認とデータへのアクセス権限の確認を行う仕組みを説明する紺乃
ログインできることと、他人の情報を見る権限があることは別です。
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APIは、アプリやシステム同士で情報や機能をやり取りする仕組みです。例えば、スマートフォンのアプリがサーバーから会員情報を受け取るときに使います。改訂された「WARNING」は、ログイン後に送る会員IDなどを書き換えると、他の利用者の情報まで取得できてしまう事例を新たに加えました。
対策の中心は、認証に加えて、情報へのアクセス権限を毎回確認する「認可」を行うことです。受付で会員証を確認するだけで、すべての人の書類を渡してはいけないのと同じです。サーバー側で、その利用者に渡してよい情報かを確かめます。

委員会の対策例には、APIの定期的な一覧確認、返す情報を必要なものに絞ること、推測しにくい識別番号の採用、短時間の大量アクセスを制限する仕組みがあります。ただし、番号を推測しにくくするだけで権限確認の代わりにはなりません。これは、対策を組み合わせて考えるうえでの本記事の補足です。

今後の予定――ガイドラインの見直し

ガイドラインの改訂と2027年4月の内容確定予定を確認する紺乃
見直し予定の内容を先行提示しています。予定は今後変更される可能性があります。
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委員会は、ガイドラインの安全管理措置について、現在の技術や攻撃に合うよう見直しを進めています。10月7日の注意喚起では、2027年4月(令和9年4月)に内容を確定する予定と説明し、技術対策の見直し予定内容を先に示しました。この記事は2026年(令和8年)10月8日時点の資料に基づいています。
9月16日の検討資料が示したスケジュール案は、次のとおりです。
  • 2026年11月(令和8年11月)頃:見直し案を委員会で審議
  • 2026年12月(令和8年12月)頃:パブリックコメントを開始
  • 2027年2月(令和9年2月)頃:寄せられた意見の結果を報告し、改正事項を決定
  • 2027年4月(令和9年4月):改正事項を施行
パブリックコメントは、案について広く意見を募る手続きです。これは9月時点の案であり、10月7日の資料は内容確定を2027年4月(令和9年4月)予定としています。細かな日程は、今後の公式発表で確認する必要があります。

義務と対策例を区別して読むことが大切です。法律第23条は、安全管理のために必要かつ適切な措置を求めています。一方、ガイドラインの「手法の例示」は、その実現方法の例です。MFAやEDRなどが載っているからといって、全事業者が同じ製品を導入しなければ直ちに法違反になるわけではありません。

今回示された別紙は見直し予定の内容です。そのすべてが10月7日から新たな義務として施行されたという意味ではありません。ただし、現行の安全管理義務は続いているため、改訂を待たずに、自分たちが持つ情報と被害の大きさに合った対策を点検します。

参考サイト

(この項おわり)
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