動画データ

さまざまなコーデックがある
ここでは、ビデオ映像で流れるコンテンツのうち、音声や字幕を除き、動画だけを取り出したものを動画データと呼ぶことにする。

動画データは巨大

フレーム
動画を静止画の延長と考えると、静止画データの要素であるピクセル数、色数に加え、1秒間に何枚を表示するかを示すフレームレート(単位:fps)が必要となる。
たとえばフルHD(1920×1080ピクセル、24ビット・カラー)の動画は60fpsであるので、1秒あたり――1920×1080×3×60=373,248,000バイト≒356Mバイト――ものデータ量に達する。わずか2秒でCD-ROMが一杯になってしまう。
そこで、ほとんどの動画データは圧縮されている。
圧縮方式は、静止画や音声と同様、可逆圧縮非可逆圧縮があるが、高効率で圧縮する必要性があることから、ほとんどの動画データは非可逆圧縮である。

インターレースとプログレッシブ

インターレース
テレビ放送では、放送電波の帯域に制約があることから、データ量を増やさずにフレームレートを稼ぐ必要があった。
そこで、フレームを描く際、1枚目は1番目の走査線から始まって1つおきに、つまり奇数の走査線しか描かず、2枚目は2番目の走査線から始まって1つおきに、つまり偶数の走査線しか描かない。つまり、2フレームで1枚の画像になる計算である。
ところが、脳の残像効果によって、30fpsのインターレース動画は、1秒間に15フレームではなく、30フレームあるように見える。これをインターレース方式と呼ぶ。
一方、インターレースを用いず、1フレームですべての走査線を描くものをプログレッシブ方式と呼ぶ。
60fpsのインターレースは60i、プログレッシブは60pと標記する。

旧来のアナログテレビ(SD動画)は、640×480ピクセルの4:3画面で、フレームレートは29.97Hzのインターレース方式であった。

つまり、毎秒――640×480×3×29.97÷2=13,810,176≒13.17Mバイト――のデータ量となる。これをビットに換算した――13,810,176×8≒105.3Mbps――をビットレートと呼ぶ。

データ・コンテナ

データ・コンテナ
動画データは非可逆圧縮されることがほとんどだと書いたが、実際には、これに音声などのデータを含め、音声データで紹介したようなデータ・コンテナと呼ばれるデータ構造になっている。
データ・コンテナ
圧縮された動画データや音声データ、字幕などを1つのデータ構造に収めたもの。
コーデック
動画のデータ・コンテナのこと。
エンコーダ
動画データを指定されたコーデックに変換するプログラムのこと。
デコーダー
コーデックを再生するプログラムのこと。
ビットレート
コーデックのデータ量のこと。単位はbps(bit per secopnd)。

DVフォーマット

1994年、デジタルビデオ(DV)のために開発されたデータ・コンテナ。
SD動画を5分の1程度に圧縮するもので、1フレーム分の動画に、音声(サンプリング周波数32/48kHz、量子化ビット数12/16bit)が非圧縮で記録されている。
2003年、ハイビジョンに対応するHDV規格が発表されるが、民生市場はDVDやメモリーカードに移行しており、普及はしなかった。2015年12月、DV機器の生産は終了した。

MPEG-1フォーマット

SD動画を4分の1ほどのサイズに縮小し(352×240ピクセル)、フレームレートはそのままで、15%ほどに圧縮にする。
映像ビットレートは約1150kbps、音声は224kbpsと規定されている。拡張子は .mpg .mpeg .m1v。メディアはビデオCD と呼ばれた。

MOVフォーマット

1991年、AppleがMacintosh向けに開発したQuickTimeの標準コンテナ。動画や音声のフォーマットは、QuickTimeバージョンによって異なる。
QuickTime 6ではMPEG-4が採用され、6.3では3GPPが追加となり、第三世代携帯電話向けコンテンツの標準配信ツールとなった。また、Quick Time 7ではH.264が追加となった。
拡張子は .mov .qt

AVIフォーマット

マイクロソフトがWindowsのために開発した動画フォーマット。動画や音声のフォーマットは自由に選択できる。拡張子は .avi

WMVフォーマット

Windows Media Videoの略。マイクロソフトがWindowsのために開発した動画フォーマット。音声フォーマットのWMAと組み合わせて使う。拡張子は .wnv .avi

H.261フォーマット

1990年、CCIT(現・ITU-T)によって、ISDN向けテレビ会議の動画フォーマットとして策定された。
ビットレートは64k~1.92Mbpsで、エンコードやデコードが簡単に実装できる代わりに、画質は悪い。

MPEG-2フォーマット

1995年7月にISO/IECによって企画された。元々はSD動画のテレビ放送向けに規格化されたもの(MPEG-2 TS)でMPEG-1の技術を用いている。ただし、MPEG-1の上位互換ではない。
その後、DVDビデオ向けの MPEG-2 PS が制定された。映像ビットレートは最大約9.8Mbps、音声や字幕を含めて10.08Mbps以下と規定されている。拡張子は .m2p

地上デジタルテレビジョン放送も MPEG-2 TS で圧縮されており、音声やデータ放送を含む平均ビットレートは9.0~13.5Mbpsである。

Motion JPEGフォーマット

JPEG圧縮したフレームを単純に並べるだけのもの。
圧縮率はMPEG技術より低いが、動きの激しい動画でも画質が低下しないというメリットがある。また、エンコーダやデコーダを簡素化できるため、当初、デジカメに導入されていた。

DivXフォーマット

DivX (ディビックス)  フォーマットは、DivX Network(現・DivX Inc.)が、H.263とMPEG-4技術を利用して独自開発したもので、一時期は動画配信に多用された。音声データは規定しておらず、MP3やAC3、AACを用いている。

映像ビットレートは最大約Mbps、音声や字幕を含めてMbps以下と規定されている。拡張子は .divx .div

MPEG-4フォーマット

ハイビジョン映像を扱うためにISO/IEC 14496で標準化されたデータ・コンテナで、格納する動画、音声などの形式は自由に選択できる。4K、8Kにも対応している。
現時点では、MPEG-4 AVC(MPEG-4 Part10)が利用されることが多く、これは H.264/AVC と同義である。

フルHD動画では、音声を含めたビットレートは10Mbps前後だと品質が高い。拡張子は .mp4

MKVフォーマット

Matroska (マトリョーシカ) の略。動画や音声、字幕のためのデータ・コンテナである。動画や音声のフォーマットは自由に選択できる。複数の音声格納や高度な字幕機能を備えている。拡張子は .mkv

参考サイト

動画編集ソフト「Premiere Elements」:ぱふぅ家のホームページ
(この項おわり)
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