2.4 大きな数と概数(小学3〜4年)

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位取り表と数直線を使って大きな数と概数を学ぶ教室
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新聞の人口、競技場の入場者数、宇宙の距離などには、桁の多い数が現れる。例えば123456789は、位ごとに読めば「一億二千三百四十五万六千七百八十九」である。一方、細かな値が不要なら「約1億2千万」と表す方が大きさを素早く捉えられる。
この項では、万・億・兆までの位取りと、四捨五入で概数を作る方法を学ぶ。さらに、大きな数を読みやすく整え、等号とおよその等しさを区別する\( \TeX \)表記を確認する。

目次

本項で扱う範囲

本項の要点
小学3年一万、十万、百万、千万、一億までの数を読み、十進位取り記数法を理解する
小学4年億・兆までの数を読み、10倍、100倍、10分の1の大きさを考える
小学4年四捨五入で概数を作り、概数の範囲や計算結果の見積もりを考える
\( \TeX \)桁の区切りは \,、およその等しさは \approx で表す

教科書で見かける式

内容表示\( \TeX \)表記
大きな数\(123\,456\,789\)123\,456\,789
一億\(100\,000\,000=10^8\)100\,000\,000 = 10^8
一兆\(1\,000\,000\,000\,000=10^{12}\)1\,000\,000\,000\,000 = 10^{12}
千の位までの概数\(42\,948\approx43\,000\)42\,948 \approx 43\,000
概数の範囲\(42\,500\leq x<43\,500\)42\,500 \leq x < 43\,500
和の見積もり\(31\,782+18\,436\approx32\,000+18\,000=50\,000\)31\,782 + 18\,436 \approx 32\,000 + 18\,000 = 50\,000

\( \TeX \)表記

桁の多い数は、3桁ごとに薄い空きを入れると読みやすい。123\,456\,789\, は、表示だけに小さな間隔を加える命令であり、数の値は変えない。日本語では万・億・兆の4桁ごとに名前が変わるため、区切りを入れた後も位を確かめることが大切である。
四捨五入とは、概数として残す最も下の位の一つ下の位を見て、0、1、2、3、4なら切り捨て、5、6、7、8、9なら切り上げる方法である。四捨五入した値は元の数と厳密には等しくないので、等号 \(=\) ではなく、およそ等しいことを表す \(\approx\) を使う。例えば42,948を千の位までの概数にすると \(42\,948\approx43\,000\) である。百の位が9なので切り上げる。 \[ 42\,948 \approx 43\,000 \]

\( \TeX \)命令の読み方と意味

\, は「シン・スペース」と読み、文字間へ小さな空きを入れる。\approx は「アプロックス」と読み、\(\approx\) を表示する。\leq は「レス・ザン・オア・イコール」と読み、左辺が右辺以下であることを表す。\lt は「レス・ザン」と読み、左辺が右辺未満であることを表す。HTMLを含む場所では、\(<\) を表示するために &lt; と記述する。
累乗の右上の数字は ^ で指定する。指数が2桁以上なら 10^{12} のように波括弧でまとめる。\(10^8\) は1の後ろに0が8個並ぶ一億、\(10^{12}\) は一兆である。
\( \TeX \)表記読み方意味
\,シン・スペース小さな空きを入れる
\approxアプロックスおよそ等しい \(\approx\)
\leqレス・ザン・オア・イコール以下 \(\leq\)
\ltレス・ザン未満 \(<\)
^{12}トゥ・ザ・トゥエルフス12乗を右上に置く

よくある間違い

万・億・兆を3桁ごとの単位だと思う
日本語の万・億・兆は4桁ごとに変わる。一億は \(100\,000\,000\)、一兆は \(1\,000\,000\,000\,000\) である。
残す位の数字を見て四捨五入する
千の位までの概数なら、判断するのは一つ下の百の位である。\(42\,948\) は百の位が9なので \(43\,000\) になる。
上から2桁を残すことと百の位までを混同する
\(4\,321\) の上から2桁の概数は \(4\,300\) である。数の先頭から2桁を残し、その一つ下の位で判断する。
概数を等号で結ぶ
\(42\,948=43\,000\) は成り立たない。およその等しさを示すなら \(42\,948\approx43\,000\) とする。
「以下」と「未満」を取り違える
千の位までの概数が \(43\,000\) となる整数の範囲は \(42\,500\leq x<43\,500\) である。42,500は含み、43,500は含まない。
カンマを数式へ直接入れる
\(\TeX\)ではカンマが句読点として扱われ、後ろの空きが不揃いになる場合がある。桁の区切りには \, を使う。

コピーして使える例

大きな数
\( 123\,456\,789 \)
億と兆
\( 10^8 = 100\,000\,000, \qquad 10^{12} = 1\,000\,000\,000\,000 \)
四捨五入
\( 42\,948 \approx 43\,000 \)
概数の範囲
\( 42\,500 \leq x < 43\,500 \)
差の見積もり
\( 78\,216 - 29\,740 \approx 78\,000 - 30\,000 = 48\,000 \)

練習問題

次の問題を解き、式を\( \TeX \)表記で記述する。
  1. 30506000を漢数字で読む。また、3桁ごとに空きを入れて表す。
  2. 一億と一兆を10の累乗で表す。
  3. 67,382を千の位までの概数にする。
  4. 8,746,219を上から2桁の概数にする。
  5. 千の位までの概数が25,000になる整数 \(x\) の範囲を、不等号を使って表す。
  6. 48,721円と21,396円の品物を一つずつ買うとき、代金を千円単位で見積もる。
解答例
  1. 「三千五十万六千」と読み、\(30\,506\,000\) と表す。

    解答1の\( \TeX \)表記
    \( 30\,506\,000 \)
  2. 一億は \(10^8\)、一兆は \(10^{12}\) である。

    解答2の\( \TeX \)表記
    \( 10^8, \qquad 10^{12} \)
  3. 百の位が3なので切り捨て、\(67\,382\approx67\,000\) となる。

    解答3の\( \TeX \)表記
    \( 67\,382 \approx 67\,000 \)
  4. 上から3桁目は4なので切り捨て、\(8\,746\,219\approx8\,700\,000\) となる。

    解答4の\( \TeX \)表記
    \( 8\,746\,219 \approx 8\,700\,000 \)
  5. 24,500以上25,500未満である。

    解答5の\( \TeX \)表記
    \( 24\,500 \leq x < 25\,500 \)
  6. それぞれ千の位までの概数にして足すと、約70,000円である。

    解答6の\( \TeX \)表記
    \( 48\,721 + 21\,396 \approx 49\,000 + 21\,000 = 70\,000 \)

学習指導要領上の位置づけ

小学校第3学年の算数「A 数と計算」では、万の単位と、1億までの整数の表し方を扱う。整数を10倍、100倍、1000倍、10分の1にした数を考え、数の相対的な大きさについて理解を深める。第4学年では、億・兆の単位と十進位取り記数法を扱い、整数を10倍、100倍、1000倍、10分の1などにした大きさを考える。
第4学年ではさらに、概数が使われる場合、四捨五入、四則計算の結果の見積もりを学ぶ。目的に応じて概数を用い、数の大きさを捉えやすくしたり、判断や処理の見通しを立てたりする。本項の\( \TeX \)表記は学習指導要領の学習内容ではなく、そこで学ぶ数や関係をコンピュータ上で読みやすく正確に表示する技術として扱う。

次項:小数(小学3~6年)

次項では、小学3~6年で学ぶ小数を取り上げる。\(0.1\) のような小数の意味から、位取り、大小比較、四則計算までをたどり、小数点や筆算を\( \TeX \)表記で読みやすく記述する方法を紹介する。

コラム:以上・以下・未満

「以上」と「以下」は境目の数を含み、「未満」は境目の数を含まない。例えば \( x\ge100 \) は100以上、\( x\le100 \) は100以下、\( x<100 \) は100未満である。「100より大きい」は \( x>100 \) であり、100を含まない。言葉だけで迷うときは、境目の数そのものを入れてよいか確かめると判断しやすい。

四捨五入して千の位までの概数が43,000になる整数 \( x \) の範囲は、\( 42\,500\le x<43\,500 \) である。42,500は切り上げて43,000になるので含み、43,500は44,000になるので含まない。このため、下の端には「以上」、上の端には「未満」を使う。
言葉範囲境目を含むか
100以上\( x\ge100 \)含む
100以下\( x\le100 \)含む
100未満\( x<100 \)含まない
100より大きい\( x>100 \)含まない

コラム:正確な数より役立つ概数

コンビニで買い物をする少女
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いつでも細かい数を使えばよいとは限らない。買い物の前に予算が足りるか考えるとき、商品の価格を百円や千円単位に丸めれば、暗算で合計の見当を付けられる。会場に必要な椅子や輸送用の箱を用意するときは、不足を避けるために多めに見積もることもある。目的によって、四捨五入、切り上げ、切り捨てを使い分ける。
また、人口や測定値のように、元から完全に正確な値を得にくい数もある。「約」と書くことは情報を雑にするのではなく、どの程度の細かさで数を捉えるかを伝える工夫である。概数を見たら、何の位まで丸めたのか、判断に十分な精しさかを確かめるとよい。

コラム:大きな数

32ビット整数から無量大数までを指数で比べる数の階段
身近な計算機、宇宙、数の単位を10の累乗で比べる
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後年、キロ、メガ、ギガ、テラといった SI接頭辞を知った。2022年(令和4年)に加わった最大の接頭辞クエタは \(10^{30}\) を表す。日常や科学技術では十分に巨大だが、無量大数の \(10^{68}\) と比べると \(10^{38}\) 分の1である。

宇宙なら無量大数に届きそうにも思える。しかし、NASAが示す観測可能な宇宙の直径約920億光年をメートルへ直すと、およそ \(9\times10^{26}\,\mathrm{m}\) である。これも \(10^{68}\) には遠く及ばない。単位をメートルより細かくすれば数値は大きくなるため、比較するときは単位も明記する必要がある。

反対に、かつて身近だった32ビットパソコンの基本的な符号付き32ビット整数型は、\(-2\,147\,483\,648\) から \(2\,147\,483\,647\) までである。正の上限は約21億で、小学4年で学ぶ一兆より小さい。これはパソコンがそれ以上の数を一切扱えないという意味ではない。64ビット整数や、多倍長整数を扱うソフトウェアを使えば、さらに大きな整数を計算できる。

コラム:観測可能な宇宙にある恒星の概数

宇宙にある恒星を1個ずつ数えることはできない。そこで、最初の見当は「銀河の数×銀河1個あたりの平均恒星数」で付ける。
\[ N_\star \approx N_{\mathrm{galaxy}}\times\left\langle N_{\star/\mathrm{galaxy}}\right\rangle \]
しかし、巨大銀河と矮小銀河では恒星数が桁違いであり、遠くの暗い銀河は望遠鏡に写らない。実際の推定では、次のように観測と統計を段階的に組み合わせる。

銀河の分布を調べる
ハッブル宇宙望遠鏡などで空の狭い範囲を長時間観測し、銀河の個数、明るさ、赤方偏移 \(z\) を調べる。その結果を全天へ外挿するとともに、赤方偏移ごとの銀河光度関数 \(\phi(L,z)\) を使い、観測限界より暗くて見えない銀河を統計的に補う。銀河の総数を先に決めず、光度や恒星質量の分布を直接積分する方法もある。
銀河の光から恒星総質量を量る
銀河の明るさ \(L_{\mathrm{galaxy}}\) だけでは恒星数は決まらない。大質量星は非常に明るく、数の多い低質量星は暗いためである。紫外線、可視光、赤外線などの観測を恒星集団モデルと比べ、年齢、星形成史、金属量、星間塵、質量光度比を考慮して恒星総質量を求める。
\[ M_\star \approx L_{\mathrm{galaxy}}\left(\frac{M}{L}\right) \]
恒星総質量を個数へ直す
恒星の誕生時の質量分布である初期質量関数(IMF)を仮定する。Salpeter、Kroupa、ChabrierなどのIMFがあり、低質量星が非常に多いことを表す。単純化すれば、恒星総質量を平均恒星質量で割る。
\[ N_\star \approx \frac{M_\star}{\left\langle m_\star\right\rangle} \]
現在残る恒星を数えるには、大質量星が既に寿命を終えていることも考慮する。白色矮星などの残骸を含めるかによっても結果は変わる。:
宇宙の体積について積み上げる
巨大銀河、天の川銀河程度の銀河、矮小銀河を、それぞれの存在数に応じて足し合わせる。より本格的には、銀河の光度 \(L\)、赤方偏移 \(z\)、赤方偏移ごとの共動体積 \(V_{\mathrm c}\) を用いて、概念的に次のように積分する。
\[ N_\star= \int\!\!\int N_\star(L,z)\,\phi(L,z)\, \frac{dV_{\mathrm c}}{dz}\,dL\,dz \]
別の方法として、宇宙の星形成率密度を時間について積分し、得られた恒星質量密度をIMFと恒星進化モデルによって個数へ換算することもできる。遠くを見るほど過去の宇宙を見ているため、同じ宇宙時刻の恒星数を求める場合には銀河進化の補正も必要である。:

このような推定から、観測可能な宇宙にある恒星数は、おおむね
\[ 10^{22}\sim10^{24}\text{個} \]
とされる。代表的な桁として \(10^{23}\) 個前後と表すこともある。1垓は \(10^{20}\) なので、\(10^{23}\) 個は1000垓個である。ただし、この範囲は暗い銀河の補い方、IMF、恒星進化などの仮定で変わる。さらに、これは光が届く観測可能な宇宙についての概数であり、観測範囲の外まで含む宇宙全体の恒星数は確定できない。

参考サイト

(この項おわり)
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