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目次
本項で扱う範囲
本項の要点
中学1年正負の符号、数直線、大小、絶対値を理解する
計算正の数と負の数の四則計算、逆数、累乗と計算の順序を学ぶ
活用気温や基準との差を正負の数で表す
\( \TeX \)符号と括弧、
\lvert、\rvert、^{2} を使う
0より大きい数を正の数、0より小さい数を負の数という。0は正の数でも負の数でもない。正の数は \( +3 \) のように書くが、正の符号を省いて \( 3 \) と書いてもよい。負の数 \( -3 \) の符号は省略できない。負の数には整数だけでなく、\( -1.5 \) や \( \displaystyle -\frac{2}{3} \) のような小数や分数もある。
正の整数を自然数と呼ぶ。中学校では \( 1,2,3,\ldots \) を自然数とし、0は含めない。整数は、正の整数、0、負の整数を合わせた数である。自然数を素数の積に分ける話題は次項で扱う。
正の整数を自然数と呼ぶ。中学校では \( 1,2,3,\ldots \) を自然数とし、0は含めない。整数は、正の整数、0、負の整数を合わせた数である。自然数を素数の積に分ける話題は次項で扱う。
教科書で見かける式
数の大小は左右の位置、絶対値は0からの距離で考える
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数直線では、0に対応する点を原点という。右へ進むほど数は大きくなり、\( -5 \lt -2 \lt 0 \lt 3 \) の順に並ぶ。負の数では、原点から遠いほど小さい。ある数に対応する点と原点との距離を、その数の絶対値という。\( -3 \) と \( +3 \) の絶対値はどちらも \( 3 \) であり、\( \lvert -3 \rvert=3 \)、\( \lvert +3 \rvert=3 \) と表す。0の絶対値は0である。
| 内容 | 表示 | \( \TeX \)表記 |
|---|---|---|
| 負の数の大小 | \( -5 \lt -2 \) | -5 \lt -2 |
| 絶対値 | \( \lvert -3 \rvert=3 \) | \lvert -3 \rvert = 3 |
| 同符号の加法 | \( (-3)+(-5)=-8 \) | (-3) + (-5) = -8 |
| 異符号の加法 | \( (-3)+(+5)=2 \) | (-3) + (+5) = 2 |
| 負の数を引く | \( 4-(-2)=4+2=6 \) | 4 - (-2) = 4 + 2 = 6 |
| 同符号の乗法 | \( (-3)\times(-4)=12 \) | (-3) \times (-4) = 12 |
| 異符号の除法 | \( (-12)\div3=-4 \) | (-12) \div 3 = -4 |
| 負の分数の加法 | \( \displaystyle -\frac{1}{2}+\frac{1}{3}=-\frac{1}{6} \) | -\frac{1}{2} + \frac{1}{3} = -\frac{1}{6} |
| 括弧と累乗 | \( (-3)^{2}=9,\quad -3^{2}=-9 \) | (-3)^{2} = 9,\quad -3^{2} = -9 |
同符号の数を足すときは、絶対値を足して共通の符号を付ける。異符号の数では、絶対値の大きい方から小さい方を引き、大きい方の符号を付ける。絶対値が等しく符号が反対なら和は0になる。数直線では、正の数を足すと右へ、負の数を足すと左へ進む。例えば \( -3 \) から右へ5進めば \( 2 \) に着く。
引き算は、引く数の符号を変えて足し算に直す。\( 4-(-2)=4+(+2) \)、\( 4-(+2)=4+(-2) \) である。反対の数を足すという規則は、負の数を引くときにも共通する。

0でない二つの数の乗法・除法では、同符号なら答えは正、異符号なら負になる。絶対値同士を計算してから符号を付ける。どの数も0を掛ければ0であり、0を0でない数で割った商も0である。ただし、0で割ることはできない。
二つの数の積が1になるとき、一方を他方の逆数という。\( -2 \) の逆数は \( \displaystyle -\frac{1}{2} \) である。除法は割る数の逆数を掛ける計算に直せるので、\( \displaystyle \frac{3}{4}\div\left(-\frac{3}{2}\right)=\frac{3}{4}\times\left(-\frac{2}{3}\right)=-\frac{1}{2} \) となる。0には逆数がない。

同じ数を繰り返し掛ける表し方を累乗といい、右肩の数を指数という。\( (-3)^{2}=(-3)\times(-3)=9 \) だが、\( -3^{2}=-(3\times3)=-9 \) である。負の数を偶数個掛けた積は正、奇数個掛けた積は負になる。
四則と累乗が混じる式は、括弧の中、累乗、乗除、加減の順に計算する。同じ優先順位の乗除、または加減が続くときは左から計算する。例えば \( -2^{2}+(-3)\times4=-4-12=-16 \)、\( 12\div(-3)\times2=-4\times2=-8 \) である。
正の数と負の数でも、加法・乗法の交換法則と結合法則、分配法則が成り立つ。\( (-3)\times(7+3)=(-3)\times7+(-3)\times3=-30 \) のように計算を工夫できる。
分配法則は、和に数を掛けるとき、和の各部分に同じ数を掛けてから足しても答えが変わらないという法則である。後のコラムでは、長方形の面積でこの法則を確かめ、負の数の符号が決まる理由を詳しく考える。
引き算は、引く数の符号を変えて足し算に直す。\( 4-(-2)=4+(+2) \)、\( 4-(+2)=4+(-2) \) である。反対の数を足すという規則は、負の数を引くときにも共通する。
0でない二つの数の乗法・除法では、同符号なら答えは正、異符号なら負になる。絶対値同士を計算してから符号を付ける。どの数も0を掛ければ0であり、0を0でない数で割った商も0である。ただし、0で割ることはできない。
二つの数の積が1になるとき、一方を他方の逆数という。\( -2 \) の逆数は \( \displaystyle -\frac{1}{2} \) である。除法は割る数の逆数を掛ける計算に直せるので、\( \displaystyle \frac{3}{4}\div\left(-\frac{3}{2}\right)=\frac{3}{4}\times\left(-\frac{2}{3}\right)=-\frac{1}{2} \) となる。0には逆数がない。
同じ数を繰り返し掛ける表し方を累乗といい、右肩の数を指数という。\( (-3)^{2}=(-3)\times(-3)=9 \) だが、\( -3^{2}=-(3\times3)=-9 \) である。負の数を偶数個掛けた積は正、奇数個掛けた積は負になる。
四則と累乗が混じる式は、括弧の中、累乗、乗除、加減の順に計算する。同じ優先順位の乗除、または加減が続くときは左から計算する。例えば \( -2^{2}+(-3)\times4=-4-12=-16 \)、\( 12\div(-3)\times2=-4\times2=-8 \) である。
正の数と負の数でも、加法・乗法の交換法則と結合法則、分配法則が成り立つ。\( (-3)\times(7+3)=(-3)\times7+(-3)\times3=-30 \) のように計算を工夫できる。
分配法則は、和に数を掛けるとき、和の各部分に同じ数を掛けてから足しても答えが変わらないという法則である。後のコラムでは、長方形の面積でこの法則を確かめ、負の数の符号が決まる理由を詳しく考える。
\( \TeX \)表記
数式の前後を \( と \) で囲むと、文章の途中に数式を表示できる。例えば \( (-3) + (+5) = 2 \) と書く。数を囲む半角の丸括弧は式の一部であり、数式全体を囲む区切りとは役割が異なる。表の「\( \TeX \)表記」欄は区切りの内側だけを示し、コピー用の例は区切りも含めている。
正負の符号と加減の記号には、半角の + と - を使う。\( (-3)-(-5) \) の括弧内のマイナスは数の符号、二つの括弧の間のマイナスは引き算の記号である。\( \TeX \)は記号の位置に応じて間隔を整えるが、入力した式の答えを計算する機能は持たない。

絶対値の左右の縦線は \lvert と \rvert で表す。例えば \lvert -3 \rvert は \( \lvert -3 \rvert \) となる。大小の記号は \lt と \gt を使えば、HTMLのタグに用いる山括弧と混同しにくい。
累乗の指数は ^{2} のように書く。波括弧は指数の範囲を指定するもので、画面には表示されない。(-3)^{2} の丸括弧は底を \( -3 \) と指定し、画面にも表示される。指数が2桁でも 2^{10} とまとめれば \( 2^{10} \) になる。

分数は \frac{分子}{分母} という形で書き、負の分数なら -\frac{1}{2} とする。分数を含む行内数式では、区切りの直後に \displaystyle を置いて読みやすい大きさにする。分数を大きな括弧で囲むときは、\left( と \right) を組にして使う。例えば \( \displaystyle \left(-\frac{1}{2}\right)^{2}=\frac{1}{4} \) と書く。
正負の符号と加減の記号には、半角の + と - を使う。\( (-3)-(-5) \) の括弧内のマイナスは数の符号、二つの括弧の間のマイナスは引き算の記号である。\( \TeX \)は記号の位置に応じて間隔を整えるが、入力した式の答えを計算する機能は持たない。
絶対値の左右の縦線は \lvert と \rvert で表す。例えば \lvert -3 \rvert は \( \lvert -3 \rvert \) となる。大小の記号は \lt と \gt を使えば、HTMLのタグに用いる山括弧と混同しにくい。
累乗の指数は ^{2} のように書く。波括弧は指数の範囲を指定するもので、画面には表示されない。(-3)^{2} の丸括弧は底を \( -3 \) と指定し、画面にも表示される。指数が2桁でも 2^{10} とまとめれば \( 2^{10} \) になる。
分数は \frac{分子}{分母} という形で書き、負の分数なら -\frac{1}{2} とする。分数を含む行内数式では、区切りの直後に \displaystyle を置いて読みやすい大きさにする。分数を大きな括弧で囲むときは、\left( と \right) を組にして使う。例えば \( \displaystyle \left(-\frac{1}{2}\right)^{2}=\frac{1}{4} \) と書く。
\( \TeX \)命令の読み方と意味
読み方は命令を覚えるための目安である。符号や指数の記号には、バックスラッシュを付けない。
| \( \TeX \)表記 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
+、- | プラス、マイナス | 正負の符号、または加減の記号を表す |
\times | タイムズ | 乗算記号 \( \times \) を表示する |
\div | ディバイド | 除算記号 \( \div \) を表示する |
\lt、\gt | レス・ザン、グレーター・ザン | 小なり \( \lt \)、大なり \( \gt \) を表示する |
\lvert、\rvert | レフト・バーティカル、ライト・バーティカル | 絶対値を囲む左右の縦線を表示する |
^{2} | キャレット、2 | 直前の数や括弧で囲んだ式の右肩に指数を付ける |
\frac{1}{2} | フラクション | 分子1、分母2の分数 \( \displaystyle \frac{1}{2} \) を作る |
\left(、\right) | レフト、ライト | 中の式の高さに合わせた丸括弧を表示する |
\displaystyle | ディスプレイ・スタイル | 分数などを大きい表示形式にする |
\quad | クワッド | 並べた式の間に空きを作る |
よくある間違い
- 負の数の大小を絶対値だけで決める
- \( -5 \lt -2 \) である。数直線では右にある数の方が大きく、負の数は絶対値が大きいほど小さい。
- 絶対値に負の符号を残す
- 絶対値は原点からの距離なので負にならない。\( \lvert -3 \rvert=3 \)、\( \lvert 0 \rvert=0 \) である。
- 負の数を引いて、さらに小さくする
- \( 4-(-2)=4+2=6 \) とする。引く数の符号を変えて足す。
- 加法にも乗法の符号の規則を使う
- \( (-3)+(-4)=-7 \) だが、\( (-3)\times(-4)=12 \) である。加法は絶対値の和や差、乗法は符号の組合せを考える。
- 負の数の累乗で括弧を省く
- \( (-3)^{2}=9 \) と \( -3^{2}=-9 \) は異なる。負の数全体を2乗するなら、表記を
(-3)^{2}とする。
- 指数の波括弧を省く
2^10では1だけが右肩に付き、0が残る。\( 2^{10} \) を表示するには2^{10}と書く。
- 掛け算を割り算より先に行う
- 乗法と除法の優先順位は同じである。\( 12\div(-3)\times2=-8 \) のように左から計算する。
- 0で割った答えを0にする
- \( 0\div3=0 \) だが、\( 3\div0 \) や \( 0\div0 \) は定義されない。割る数が0でないことを確かめる。
コピーして使える例
大小と絶対値
\( -5 \lt -2,\quad \lvert -5 \rvert = 5 \)
負の数を引く
\( (-3) - (-5) = (-3) + (+5) = 2 \)
乗法と除法
\( (-3) \times (-4) = 12,\quad (-12) \div 3 = -4 \)
負の分数の加法
\( \displaystyle -\frac{1}{2} + \frac{1}{3} = -\frac{3}{6} + \frac{2}{6} = -\frac{1}{6} \)括弧と累乗
\( (-3)^{2} = 9,\quad -3^{2} = -9,\quad (-3)^{3} = -27 \)分数の累乗
\( \displaystyle \left(-\frac{1}{2}\right)^{2} = \frac{1}{4} \)練習問題
次の問題を解き、答えや途中式を\( \TeX \)表記で記述する。
- \( -4,\ 2,\ 0,\ -1 \) を小さい順に並べ、不等号で結ぶ。
- \( -7 \) の絶対値を求める。また、絶対値が \( 3 \) である数をすべて挙げる。
- \( (-8)+(+3) \) と \( (-8)-(-3) \) を計算する。
- \( (-6)\times(-4)\div(-3) \) を計算する。
- \( -2^{2} \)、\( (-2)^{2} \)、\( (-2)^{3} \) をそれぞれ計算する。
- \( \displaystyle -\frac{3}{4}+\frac{1}{2} \) を計算する。
- \( \displaystyle \frac{2}{3}\div\left(-\frac{4}{5}\right) \) を計算する。
- 朝の気温が \( -3 \)℃、昼の気温が \( +4 \)℃であった。何℃上がったかを式で表す。
解答例と表記
- \( -4 \lt -1 \lt 0 \lt 2 \)。数直線の左から並べる。
-4 \lt -1 \lt 0 \lt 2 - \( \lvert -7 \rvert=7 \)。絶対値が3の数は \( -3 \) と \( +3 \)。
\lvert -7 \rvert = 7 - どちらも \( -5 \)。減法は \( (-8)-(-3)=(-8)+(+3)=-5 \) と直す。
(-8) - (-3) = (-8) + (+3) = -5 - \( (-6)\times(-4)\div(-3)=24\div(-3)=-8 \)。
(-6) \times (-4) \div (-3) = -8 - \( -2^{2}=-4,\quad (-2)^{2}=4,\quad (-2)^{3}=-8 \)。
-2^{2} = -4,\quad (-2)^{2} = 4,\quad (-2)^{3} = -8 - \( \displaystyle -\frac{3}{4}+\frac{1}{2}=-\frac{3}{4}+\frac{2}{4}=-\frac{1}{4} \)。
-\frac{3}{4} + \frac{1}{2} = -\frac{1}{4} - \( \displaystyle \frac{2}{3}\div\left(-\frac{4}{5}\right)=\frac{2}{3}\times\left(-\frac{5}{4}\right)=-\frac{5}{6} \)。
\frac{2}{3} \div \left(-\frac{4}{5}\right) = -\frac{5}{6} - \( 4-(-3)=7 \) より7℃上がった。変化は「後の値から前の値を引く」と求められる。
4 - (-3) = 7
学習指導要領上の位置づけ
2017年(平成29年)告示の中学校学習指導要領では、第1学年「A 数と式」の「正の数と負の数」に位置付けられる。正負の数が必要となる場面とその意味を理解し、四則計算を行い、具体的な場面を正負の数で表したり処理したりすることを扱う。算数で学んだ計算と関連付け、計算方法を考えて説明することも重視される。
解説では、数直線、大小、絶対値と関連付けて理解を深め、数の範囲を広げても計算の法則が成り立つことを確かめる。本項ではその流れに沿って、逆数や累乗、気温の変化まで取り上げた。\( \TeX \)表記そのものは学習指導要領の必修内容ではなく、数式を正確に記録し伝えるための発展的な題材である。
解説では、数直線、大小、絶対値と関連付けて理解を深め、数の範囲を広げても計算の法則が成り立つことを確かめる。本項ではその流れに沿って、逆数や累乗、気温の変化まで取り上げた。\( \TeX \)表記そのものは学習指導要領の必修内容ではなく、数式を正確に記録し伝えるための発展的な題材である。
次項:素数と素因数分解(中学1年)
次項「素数と素因数分解」では、自然数を素数の積に分ける。例えば \( 60=2^{2}\times3\times5 \) のように、同じ素数の積を累乗でまとめ、約数や倍数を調べるための\( \TeX \)表記を学ぶ。
コラム:負の数の大小関係の誤解――温度計から数直線へ
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\( -5 \) と \( -2 \) を比べるとき、符号を除いた数字だけを見て、5の方が大きいと判断してしまうことがある。小学校の理科で温度計を使った経験があれば、「どちらの気温が高いか」から考えてみたい。目盛りのあるアルコール温度計では、\( -2 \)℃の液面は \( -5 \)℃より高い。\( -5 \)℃から温度が上がると、液面は \( -4 \)、\( -3 \)、\( -2 \)℃へと上がる。数字の印象と実際の位置を照らし合わせることが、誤解を解く入口になる。
温度計の利点は、温度の高低と目盛り上の位置を結び付けられることにある。ただし、「どちらが寒いか」と「どちらの温度が高いか」は区別する。\( -5 \)℃の方が寒くても、温度の値は \( -2 \)℃の方が大きい。「寒さが厳しい」ことを「数が大きい」ことと混同しないよう、何を比較しているかを言葉にして確かめたい。

また、温度計が示すマイナスは、基準の0℃より低いことを表す符号である。アルコールの量や液柱の長さが負になっているわけではなく、0℃でも液体は存在する。「0は何もないこと」とだけ捉えると負の数を想像しにくいが、温度計なら、0が途中の基準であり、その上下に値が続くことを観察できる。

数値だけを表示するデジタル温度計でも、氷点下の温度を知ることはできる。一方、目盛りのある温度計では、現在の温度、0、周囲の数の位置関係を一度に見渡せる。デジタル表示しか見た経験のない子どもには、実物や大きな温度計の模型を示し、液面に見立てた帯を動かしてもらう方法もある。機器の普及状況だけから理解の難しさを決め付けず、目盛りを読む経験を補うことが大切である。

次に、温度計の目盛りを紙に写し、温度が高くなる向きを右にして横向きに置いてみる。温度計の「上ほど温度が高い」という関係が、数直線の「右ほど数が大きい」という関係に対応する。\( -5 \)、\( -2 \)、\( 0 \)、\( 2 \) を同じ数直線に置けば、\( -5 \lt -2 \lt 0 \lt 2 \) と並ぶ。文部科学省の授業・板書例にも、温度計で負の数を導入して数直線へ進み、絶対値や大小を学ぶ構成が示されている。

ここで、数の大小は左右の位置、絶対値は0からの距離と整理する。\( -5 \) は \( -2 \) より0から遠いが、左にあるので小さい。0から遠い方を大きいと考える方法は、正の数の範囲では使えても、負の数にはそのまま当てはまらない。「負の数では逆」とだけ暗記するより、位置と距離を分けて説明する方が、規則の意味を捉えやすい。

数直線を示すだけで理解できたと判断せず、子ども自身に数を置いてもらい、大小の理由を説明してもらうとよい。整数に慣れたら、\( -2.5 \) が \( -3 \) と \( -2 \) の間にあり、\( -2.5 \lt -2 \) となることも確かめる。温度を離れても同じ考え方を使えるかが、理解を確かめる手掛かりになる。

負の数の大小関係の誤解を防ぐには、温度計を具体的な入口にし、数直線で一般化するのが王道と考える。液面の高低を体験し、目盛り上の位置と数の大小を結び付け、最後に0からの距離である絶対値と区別する。この流れなら、負の数の大小を特別な暗記の規則としてではなく、正の数から続く一つの順序として理解できる。
また、温度計が示すマイナスは、基準の0℃より低いことを表す符号である。アルコールの量や液柱の長さが負になっているわけではなく、0℃でも液体は存在する。「0は何もないこと」とだけ捉えると負の数を想像しにくいが、温度計なら、0が途中の基準であり、その上下に値が続くことを観察できる。
数値だけを表示するデジタル温度計でも、氷点下の温度を知ることはできる。一方、目盛りのある温度計では、現在の温度、0、周囲の数の位置関係を一度に見渡せる。デジタル表示しか見た経験のない子どもには、実物や大きな温度計の模型を示し、液面に見立てた帯を動かしてもらう方法もある。機器の普及状況だけから理解の難しさを決め付けず、目盛りを読む経験を補うことが大切である。
次に、温度計の目盛りを紙に写し、温度が高くなる向きを右にして横向きに置いてみる。温度計の「上ほど温度が高い」という関係が、数直線の「右ほど数が大きい」という関係に対応する。\( -5 \)、\( -2 \)、\( 0 \)、\( 2 \) を同じ数直線に置けば、\( -5 \lt -2 \lt 0 \lt 2 \) と並ぶ。文部科学省の授業・板書例にも、温度計で負の数を導入して数直線へ進み、絶対値や大小を学ぶ構成が示されている。
ここで、数の大小は左右の位置、絶対値は0からの距離と整理する。\( -5 \) は \( -2 \) より0から遠いが、左にあるので小さい。0から遠い方を大きいと考える方法は、正の数の範囲では使えても、負の数にはそのまま当てはまらない。「負の数では逆」とだけ暗記するより、位置と距離を分けて説明する方が、規則の意味を捉えやすい。
数直線を示すだけで理解できたと判断せず、子ども自身に数を置いてもらい、大小の理由を説明してもらうとよい。整数に慣れたら、\( -2.5 \) が \( -3 \) と \( -2 \) の間にあり、\( -2.5 \lt -2 \) となることも確かめる。温度を離れても同じ考え方を使えるかが、理解を確かめる手掛かりになる。
負の数の大小関係の誤解を防ぐには、温度計を具体的な入口にし、数直線で一般化するのが王道と考える。液面の高低を体験し、目盛り上の位置と数の大小を結び付け、最後に0からの距離である絶対値と区別する。この流れなら、負の数の大小を特別な暗記の規則としてではなく、正の数から続く一つの順序として理解できる。
コラム:負の数の四則計算――符号の規則を原理から考える
「負の数を引くと足し算になる」「負の数同士を掛けると正になる」という規則は、別々の決まりとして覚えると混同しやすい。加減算は温度の変化、乗算は同じ数の加算と分配法則、除算は乗算との関係から考えてみよう。算数で身に付けた計算の関係を、負の数にも矛盾なく広げることが、符号の規則を理解する手掛かりになる。

加算:温度の変化を加える
気温が3℃のときに2℃下がったとする。「2℃下がる」という変化を \( -2 \)℃と表せば、\( 3+(-2)=1 \) となる。負の数を足すことは、下がる向きの変化を加えることに対応する。数直線なら、3から左へ2進む操作である。
反対に2℃上がるなら \( 3+(+2)=5 \) となる。すでに氷点下の \( -3 \)℃でも、さらに2℃下がれば \( (-3)+(-2)=-5 \) である。「マイナスが二つあるからプラス」と数えるのではなく、どの位置から、どちらの向きへ変化したかを考える。

減算:足す操作を取り消す
小学校でも、\( 7-3=4 \) は \( 4+3=7 \) と足し算で確かめられる。引き算は、引く数を足すと元の数になる答えを求める計算である。この関係を負の数にも用いると、\( 3-(-2) \) は \( \square+(-2)=3 \) を満たす数を求めることになる。
温度計なら、「2℃下がった後の気温が3℃だった。下がる前は何℃だったか」と考えればよい。答えは5℃なので、\( 3-(-2)=5=3+2 \) である。2℃下げる操作を取り消すには、2℃上げればよい。負の数を引くと加算になる理由は、この取り消しの関係にある。
正の数を引く場合も同じで、\( 3-(+2)=3+(-2)=1 \) となる。一般には \( a-b=a+(-b) \) と書ける。引く数を反対の符号の数に替えて足すのであり、引かれる数の符号まで変えるわけではない。

乗算:負数×正数は、同じ数を足すことから分かる
まず、負の数に正の整数を掛ける場合を考える。\( (-3)\times2 \) は \( (-3)+(-3) \) なので、答えは \( -6 \) になる。「3℃下がる変化が2回続くと、合わせて6℃下がる」と考えてもよい。この場合は分配法則を使わず、加算の意味から符号が分かる。
正の分数や小数を掛ける場合には、「何回分」を「何倍」に広げて考える。例えば \( (-3)\times0.5=-1.5 \) は、\( -3 \) という変化の半分であり、向きは変わらず大きさが半分になる。一方、\( (-3)\times(-2) \) を「\( -3 \) をマイナス2回足す」と言っても、繰り返しの回数としては説明できない。ここからは、掛け算と足し算を結ぶ分配法則を手掛かりにする。
加算:温度の変化を加える
気温が3℃のときに2℃下がったとする。「2℃下がる」という変化を \( -2 \)℃と表せば、\( 3+(-2)=1 \) となる。負の数を足すことは、下がる向きの変化を加えることに対応する。数直線なら、3から左へ2進む操作である。
反対に2℃上がるなら \( 3+(+2)=5 \) となる。すでに氷点下の \( -3 \)℃でも、さらに2℃下がれば \( (-3)+(-2)=-5 \) である。「マイナスが二つあるからプラス」と数えるのではなく、どの位置から、どちらの向きへ変化したかを考える。
減算:足す操作を取り消す
小学校でも、\( 7-3=4 \) は \( 4+3=7 \) と足し算で確かめられる。引き算は、引く数を足すと元の数になる答えを求める計算である。この関係を負の数にも用いると、\( 3-(-2) \) は \( \square+(-2)=3 \) を満たす数を求めることになる。
温度計なら、「2℃下がった後の気温が3℃だった。下がる前は何℃だったか」と考えればよい。答えは5℃なので、\( 3-(-2)=5=3+2 \) である。2℃下げる操作を取り消すには、2℃上げればよい。負の数を引くと加算になる理由は、この取り消しの関係にある。
正の数を引く場合も同じで、\( 3-(+2)=3+(-2)=1 \) となる。一般には \( a-b=a+(-b) \) と書ける。引く数を反対の符号の数に替えて足すのであり、引かれる数の符号まで変えるわけではない。
乗算:負数×正数は、同じ数を足すことから分かる
まず、負の数に正の整数を掛ける場合を考える。\( (-3)\times2 \) は \( (-3)+(-3) \) なので、答えは \( -6 \) になる。「3℃下がる変化が2回続くと、合わせて6℃下がる」と考えてもよい。この場合は分配法則を使わず、加算の意味から符号が分かる。
正の分数や小数を掛ける場合には、「何回分」を「何倍」に広げて考える。例えば \( (-3)\times0.5=-1.5 \) は、\( -3 \) という変化の半分であり、向きは変わらず大きさが半分になる。一方、\( (-3)\times(-2) \) を「\( -3 \) をマイナス2回足す」と言っても、繰り返しの回数としては説明できない。ここからは、掛け算と足し算を結ぶ分配法則を手掛かりにする。
全体の面積と、二つに分けた面積の和は等しい
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分配法則:まとめて掛けても、分けて掛けて足しても同じ
縦が3、横が \( 2+4 \) の長方形の面積は \( 3\times(2+4)=18 \) である。これを横が2の部分と4の部分に分けると、面積はそれぞれ \( 3\times2=6 \)、\( 3\times4=12 \) となる。二つを足しても18であり、\( 3\times(2+4)=3\times2+3\times4 \) が成り立つ。この関係が分配法則である。
縦が3、横が \( 2+4 \) の長方形の面積は \( 3\times(2+4)=18 \) である。これを横が2の部分と4の部分に分けると、面積はそれぞれ \( 3\times2=6 \)、\( 3\times4=12 \) となる。二つを足しても18であり、\( 3\times(2+4)=3\times2+3\times4 \) が成り立つ。この関係が分配法則である。
分配法則は、和に数を掛けるとき、和の各部分にその数を掛けてから足しても答えが変わらないという法則である。文字で書けば \( a\times(b+c)=a\times b+a\times c \) となる。図では \( a \) が共通の縦の長さ、\( b \) と \( c \) が左右の横の長さに当たる。掛ける数を二つの部分の両方へ行き渡らせるため、「分配」という名前で覚えられる。
例えば \( 3\times(2+4) \) を \( 3\times2+4 \) としてはいけない。4の部分にも3を掛ける必要がある。反対に、\( 3\times2+3\times4 \) を \( 3\times(2+4) \) とまとめてもよい。二つの積に共通する3を見付けて、括弧の外へくくり出している。分配法則は括弧を外すときにも、式をまとめるときにも使える。

乗算:負数×負数は、分配法則を保つことで決まる
面積の図は、正の数で分配法則の意味を確かめるためのものである。負の数同士の積を、そのまま「負の長さの長方形」で説明するわけではない。ここでは、数の範囲を負の数へ広げても、分配法則が成り立つように掛け算を定めると考える。
\( 2+(-2)=0 \) なので、まず \( (-3)\times\{2+(-2)\}=(-3)\times0=0 \) である。一方、分配法則を用いると、同じ式は \( (-3)\times2+(-3)\times(-2) \) となる。最初の積 \( (-3)\times2=-6 \) は、すでに加算から分かっている。したがって、\( -6+(-3)\times(-2)=0 \) でなければならない。
\( -6 \) に足して0になる数は \( +6 \) なので、\( (-3)\times(-2)=6 \) と決まる。もし答えを \( -6 \) にすると、分配した後の値は \( -6+(-6)=-12 \) となり、もとの値0と食い違ってしまう。負数同士の積を正にするのは、これまでの計算の法則との整合性を保つためなのである。
同じ考え方は他の数でも使える。\( 5+(-5)=0 \) から \( (-4)\times5+(-4)\times(-5)=0 \) となり、\( -20 \) を打ち消すために \( (-4)\times(-5)=20 \) と決まる。正数×負数についても、乗法の交換法則を保てば、\( 3\times(-2)=(-2)\times3=-6 \) と分かる。

除算:掛け算に戻して答えを確かめる
小学校の \( 6\div2=3 \) は、\( 2\times3=6 \) と確かめられる。同じように、\( (-6)\div(-2)=\square \) は \( (-2)\times\square=-6 \) となる数を求める計算である。\( (-2)\times3=-6 \) なので、商は正の3となる。
\( 6\div(-2) \) なら、\( (-2)\times\square=6 \) であり、負数同士の積が正になることから商は \( -3 \) である。また、\( (-6)\div2 \) なら、\( 2\times\square=-6 \) なので商は \( -3 \) となる。除算の符号の規則は、乗算との逆の関係から導ける。なお、ここで割る数は0でないものとする。

減算の「負の数を足す操作を取り消す」と、乗算の「負の数同士を掛ける」では、マイナス記号の役割が異なる。\( 3-(-2)=5 \)、\( (-3)\times(-2)=6 \) はどちらも正になるが、\( (-3)+(-2)=-5 \) は負のままである。符号を数える前に演算の意味を確かめ、加減算は変化とその取り消し、乗算は加算と分配法則、除算は乗算との関係へ戻れば、規則を理由とともに理解できる。
例えば \( 3\times(2+4) \) を \( 3\times2+4 \) としてはいけない。4の部分にも3を掛ける必要がある。反対に、\( 3\times2+3\times4 \) を \( 3\times(2+4) \) とまとめてもよい。二つの積に共通する3を見付けて、括弧の外へくくり出している。分配法則は括弧を外すときにも、式をまとめるときにも使える。
乗算:負数×負数は、分配法則を保つことで決まる
面積の図は、正の数で分配法則の意味を確かめるためのものである。負の数同士の積を、そのまま「負の長さの長方形」で説明するわけではない。ここでは、数の範囲を負の数へ広げても、分配法則が成り立つように掛け算を定めると考える。
\( 2+(-2)=0 \) なので、まず \( (-3)\times\{2+(-2)\}=(-3)\times0=0 \) である。一方、分配法則を用いると、同じ式は \( (-3)\times2+(-3)\times(-2) \) となる。最初の積 \( (-3)\times2=-6 \) は、すでに加算から分かっている。したがって、\( -6+(-3)\times(-2)=0 \) でなければならない。
\( -6 \) に足して0になる数は \( +6 \) なので、\( (-3)\times(-2)=6 \) と決まる。もし答えを \( -6 \) にすると、分配した後の値は \( -6+(-6)=-12 \) となり、もとの値0と食い違ってしまう。負数同士の積を正にするのは、これまでの計算の法則との整合性を保つためなのである。
同じ考え方は他の数でも使える。\( 5+(-5)=0 \) から \( (-4)\times5+(-4)\times(-5)=0 \) となり、\( -20 \) を打ち消すために \( (-4)\times(-5)=20 \) と決まる。正数×負数についても、乗法の交換法則を保てば、\( 3\times(-2)=(-2)\times3=-6 \) と分かる。
除算:掛け算に戻して答えを確かめる
小学校の \( 6\div2=3 \) は、\( 2\times3=6 \) と確かめられる。同じように、\( (-6)\div(-2)=\square \) は \( (-2)\times\square=-6 \) となる数を求める計算である。\( (-2)\times3=-6 \) なので、商は正の3となる。
\( 6\div(-2) \) なら、\( (-2)\times\square=6 \) であり、負数同士の積が正になることから商は \( -3 \) である。また、\( (-6)\div2 \) なら、\( 2\times\square=-6 \) なので商は \( -3 \) となる。除算の符号の規則は、乗算との逆の関係から導ける。なお、ここで割る数は0でないものとする。
減算の「負の数を足す操作を取り消す」と、乗算の「負の数同士を掛ける」では、マイナス記号の役割が異なる。\( 3-(-2)=5 \)、\( (-3)\times(-2)=6 \) はどちらも正になるが、\( (-3)+(-2)=-5 \) は負のままである。符号を数える前に演算の意味を確かめ、加減算は変化とその取り消し、乗算は加算と分配法則、除算は乗算との関係へ戻れば、規則を理由とともに理解できる。
参考サイト
- 中学校学習指導要領(2017年告示)解説 数学編:文部科学省
- 中学1年生数学・展開/板書例 前半:文部科学省
- Supported Functions:KaTeX
(この項おわり)

この項では、正の数と負の数を数直線で捉え、大小と絶対値、四則計算、累乗を学ぶ。さらに、符号、括弧、絶対値の縦線を正しく伝える\( \TeX \)表記を紹介する。