十三夜と月の魔力

2006年11月3日 撮影
十三夜
旧暦9月13日の月を十三夜と呼ぶ。十五夜(中秋の名月、旧暦8月15日)と並んで、お月見をして楽しむ晩だ。実際は、9月中旬より11月初旬の方が晴天率が高いので、十三夜の方がお月見はしやすい。

(撮影:Panasonic LUMIX DMC-FZ7 + 2.2×テレコンバータ,F8.0 1/40s ISO100)
十三夜の大きな写真大きな写真
(1280×1280 ピクセル, 129 Kbyte)
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十五夜の風習は中国にもあるが、十三夜は日本独自のものだ。まん丸な十五夜と、少し欠けた十三夜――どちらか片方の月見しかしないのは「片月見」といって嫌われる。日本人らしい美意識といえよう。
十三夜は、旬の大豆や栗などを供えることから、豆名月や栗名月と呼ぶ。

さて、魔女には月が付きものだが、昔から、月は不思議な力を授けてくれるものだと考えられてきた。これは、世界各地で共通しているようだ。
都会では街灯が明るくて分かりにくいのだが、満月の光は意外に明るく、新聞を読むことができるほど。銀白色の月光を浴びた世界は、日中見る風景とは似ても似つかないものである。〈異世界〉を訪れているような不思議な気分になる。これが、月の持つ〈魔力〉の正体である。

古いアイスランドの神話では月のことを「グラムル(glamr)」と呼び、ケルト人は、月の妖精「グラム(glam)」がいると信じていた。
妖精グラムは、人間に特殊な視力「グラムサイト(glamsight)」を与えてくれる。月夜の風景が幻想的に感じられるのは、この魔法の視力のせいだと考えられていた。
妖精グラムは、「グラマー glamour」という言葉となって、今日でも生きている。「グラマー」というのは、もともとは「幻惑する」という意味があるわけで、ご用心、ご用心。
(この項おわり)
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