東光の酒蔵で大吟醸袋吊りを利き酒

2016年10月14日 撮影
東光の酒蔵
酒造資料館 東光の酒蔵 (とうこうのさかぐら) (山形県米沢市大町2丁目3−22)は、1200坪の敷地に、昔ながらの造り酒屋の様子と、酒造りの道具などを展示している。
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東光の酒蔵
銘酒「東光」の蔵元として知られる、米沢藩上杉家御用達の小嶋総本店の酒蔵を修復してできた資料館だ。1984年(昭和59年)4月に開館した。
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帳場 - 東光の酒蔵
小嶋総本店は、1597年(慶長2年)創業の米沢藩上杉家御用酒屋である。1200坪の敷地に600坪の建物を構え、23代400年の長きにわたって、酒造り一筋の商いをしている。
江戸時代において米は貴重品で、飢饉のたびに禁酒令が出された。その中でも酒造りを許されていた数少ない造り酒屋である。

入口を入ると石畳のホールとなっており、昔の帳場の様子を見ることができる。
写真は明治時代の電話とレジスターであろうか。大きな商家には、こうした最新鋭の設備があった。
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世界の歴史を見ても、古い文明は必ずうるわしい酒を持つ。すぐれた文化のみが人間の感覚を洗練し、美化し、豊富にすることができるからである。それゆえ、すぐれた酒を持つ国民は、進んだ文化の持ち主であるといっていい。
坂口謹一郎著「日本の酒」より
算盤 - 東光の酒蔵
珍しい七つ玉算盤 (そろばん) ――上の玉2個で0, 5, 10を、下の玉5個で0~4を表すことで、16進数計算ができる。機械語ではない。尺貫法における度量衡の重さの単位は、1斤が16両と定められていたため、16進数計算をする必要があったのだ。
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茶の間・板の間 - 東光の酒蔵
昔の商家には、主人やお客様用の (かみ) の囲炉裏(座敷)と、家族や使用人用の (しも) の囲炉裏(板の間)があった。主人の席からは蔵人が仕事をしている様子を監督できた。
仕込み水 - 東光の酒蔵
酒造りには仕込み水が欠かせない。
日本百名山のひとつ、吾妻連峰の広葉樹林を透過した雪解け水が、長い年月を経て米沢盆地に伏流水として注いでいる。これが仕込み水として使われている。軟水・弱アルカリ性で、いまも飲むことができる。
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酒蔵 - 東光の酒蔵
酒蔵は1棟140坪もあり、東北で最大級である。道具や酒器のほか、麹室 (こうじむろ) などの作業場が再現されている。
この日の気温は20℃を超えていたが、酒蔵の空気はひんやりとしていた。
酒蔵 - 東光の酒蔵の大きな写真大きな写真
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木桶 - 東光の酒蔵
酒の仕込みには木桶が使われた。最大の六尺桶は、直径、深さともに1.8メートルの大きさがあり、人が何人も入れる大きさだ。手入れが大変で、毎日、竹で作ったブラシを使って洗う。
花の慶次 - 東光の酒蔵
花の慶次』(隆慶一郎=原作、原哲夫=漫画)の原画展示をやっていた。
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慶次 (けいじ) こと、前田利益 (まえだとします) は、関ヶ原の戦いの前後、上杉家に仕えた武将である。
花の慶次 純米吟醸」を販売している。

利き酒コーナーと売店もある。甘口の酒が多い印象である。
モロミを入れた酒袋から自然に滴り落ちる雫の部分だけを集めた大変贅沢な酒搾り方法である袋吊りで作られたものは、たいへんフルーティである。有料(50円~150円)だが、ぜひ一口どうぞ。

この他、米沢藩中興の祖・上杉鷹山 (うえすぎようざん) や、米沢牛のルーツと米沢牛を全国に知らしめたダラス先生に関する資料を常設展示している。

交通アクセス

【鉄道+バス】
  • JR米沢駅よりバス「大町4丁目」下車、徒歩7分
行き方ナビ
出発地の最寄駅:

目的地:東光の酒蔵

近隣の情報

参考書籍

表紙 日本の酒
著者 坂口 謹一郎
出版社 岩波書店
サイズ 文庫
発売日 2007年08月17日頃
価格 935円(税込)
ISBN 9784003394519
古い文明は必ず美酒を持つ。醸造酒でありながら世界的に見ても珍しい蒸留酒並みのアルコール度を誇る日本酒。麹カビから育てた酒の文化史・社会史を古今の書に探り、科学の眼で語る。「火入」「生〓(もと)」「山廃造り」等、日本の酒造りの方法はどこが興味深くまた優れているか。醗酵学者・坂口博士(1897-1994)の日本酒読本。
 
表紙 花の慶次 完全版 全15巻セット
著者
出版社 徳間書店
サイズ コミック
発売日 2009年08月
価格 15,350円(税込)
ISBN 9784192100120
 

参考サイト

(この項おわり)
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