屋久杉は超高級建材

2023年3月20日 撮影
屋久島
屋久島
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縄文杉 - 屋久島
縄文杉
縄文杉(鹿児島県熊毛郡屋久島町)は、屋久島に自生する最大級の杉で、幹の周囲16.4メートル、高さ30メートル。樹齢は推定3,000~4,000年とされる。

1966年(昭和41年)に、屋久町役場の観光課長だった岩川貞次が発見し、発見当初は大岩杉と呼ばれていた。推定樹齢が4,000年以上で縄文時代から生きている、または幹の造形が縄文土器に似ているところから縄文杉と名付けられた。

縄文杉を見るには9時間ほど登山しなければならず、保護のため十数メートル離れた木製のデッキから鑑賞となる。
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屋久島
屋久島 (やくしま) は、鹿児島県の南約60kmの海上にあり、周囲約131kmの円形をしており、面積504km2で淡路島よりやや小さい。
九州最高峰、宮之浦岳 (みやのうらだけ) (標高1,936メートル)を擁し、1,000メートル級の山々が連なり、ひとつの島で亜熱帯から北海道までの植生を見ることができる。
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屋久島
中央山岳は、1500万年にできた直径約25kmの巨大な花崗岩が隆起したもの。このため、養分のある土壌がほとんどない。
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屋久島
一方で、海からの湿った風が山にぶつかり、年間降水量は平地で4,000~5,000mm程度、山地では8,000mm~12,000mmにも達する。中央山岳から放射状に140もの川が流れており、主な河川は安房川、宮之浦川、永田川、栗生川の4つである。
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屋久島
このおかげで花崗岩には苔が生え、これが栄養分となって森林を養っている。
島の面積の約2割が、1993年(平成5年)に、姫路城、法隆寺、白神山地とともに日本で初めてユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録された。
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ヤクシマザル - 屋久島
ヤクシマザル
ニホンザルの亜種、ヤクシマザルが生息している。
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屋久島電工 - 屋久島
屋久島電工
1952年(昭和27年)に設立された屋久島電工は、島内に3か所の水力発電所を有し、農協や九州電力送配電などを通じて島内の一般家庭へ電力の供給を行うほか、日本で唯一、炭化ケイ素の製造を行っている。
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トロッコ道 - 屋久島
トロッコ道
縄文杉へ向かうには、現在も森林鉄道として利用されているトロッコ道を登ってゆく。

1560年(永禄3年)頃に鹿児島神宮に改築に当たって屋久島から木材が運ばれた記録がある。1590年(天正18年)頃に、京都方広寺大仏殿造営のための杉材を大阪へ運んだとされる。
江戸時代に入ると、屋久島出身で薩摩藩に仕えていた儒学者の泊如竹 (とまりじょちく) が、島民を貧困から救おうと薩摩藩に掛け合い、屋久杉を年貢として納めることになった。こうして、1640年(寛永17年)頃から山岳部奥地の本格的な杉の伐採が始まった。
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トロッコ道 - 屋久島
トロッコ道
1873年(明治6年)には島の90%以上が国有地となりすぎの伐採が制限されるが、1920年(大正9年)に国有林化され、再び屋久杉の伐採が始まる。
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トロッコ道 - 屋久島
トロッコ道
1923年(大正12年)に、わずか1年半で全長16kmの森林鉄道が敷設された。橋の数は24、トンネルの数は16――。

屋久杉は、屋久島の標高500メートル以上の山地に自生する。樹齢1,000年以上のものを屋久杉、それ以下のものは小杉と呼ぶ。
前述の通り、土壌の栄養分が少ないために生育速度が遅く、年間1mm以下と、通常の杉に比べて5分の1以下である。
このため年輪が締まっており、また湿度が高いため、抗菌作用のある樹脂分が多く腐りにくいという特質をもつ。
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トロッコ道 - 屋久島
トロッコ道
屋久杉は高級建材として、1960年代には1本300万円(現代なら3~4000万円)で取引されたという。1970年(昭和45年)頃まで伐採は続いた。
この価値がゆえに、莫大な費用を投じて森林鉄道が敷かれ、林業に携わる人と家族が山間に集落を形成するようになる。

トンネルは、花崗岩にダイナマイトを仕掛けて穴を開けるという突貫工事でつくられた。
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トロッコ道 - 屋久島
トロッコ道
2001年(平成13年)、各種の保護区以外の国有林では伐採可能な林分を切り尽くし、天然屋久杉伐採は終了した。
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トロッコ道 - 屋久島
トロッコ道
荒川登山口(標高600メートル)から縄文杉まで標高差700メートル、約9時間のトレッキングである。最初は、トロッコ道を約8kmほど歩く。
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トロッコ道 - 屋久島
トロッコ道
屋久杉という固有の種があるわけではなく、これを本土で育てると普通の杉になってしまうという。屋久島の環境が高級建材としての屋久杉を育てている。
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トロッコ道 - 屋久島
トロッコ道
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小杉橋 - 屋久島
小杉橋
1時間ほど歩くと、小杉橋に到着する。高いところが苦手な人は、けっして下を見ないように。枕木の端が濡れていると滑りやすい。
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小杉谷集落跡 - 屋久島
小杉谷集落跡
屋久杉伐採に従事していた人たちと家族が住んでいた小杉谷集落の跡地。1960年(昭和35年)には500人ほどが暮らしており、学校の跡地も残されいてる。
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屋久杉 - 屋久島
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屋久杉 - 屋久島
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三代杉 - 屋久島
三代杉
三代杉は、樹齢2,000年の初代の杉が倒れた上に二代目が生長し、その二代目が伐採された切り株の上に三代目が成長したものだ。
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仁王杉 - 屋久島
仁王杉
仁王杉は、もともと2本の屋久杉があって、寺院の山門の左右にある仁王像になぞらえたもの。吽形 (うんぎょう) は倒れてしまい、口を開けたように見える阿形 (あぎょう) が残っている。高さ27.7メートル、幹の周囲11.1メートル、樹齢3,000年とされる。
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翁杉 - 屋久島
翁杉
翁杉 (おきなすぎ) は、かつては高さ23.7メートル、幹の周囲12.6メート、樹齢2,000年とされており、枯死していない屋久杉としては縄文杉に次ぐ太さだった。
ところが、2010年(平成22年)9月10日に、高さ約3メートルの部分から折れ、登山道とは反対の沢側の斜面に倒れているのが発見された。
翁杉が登山者の安全を見守るとする山岳信仰の観点から、腐朽した幹を運び出さずに現地に残すことになった。

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ウィルソン株 - 屋久島
ウィルソン株
ウィルソン株は、400年前、豊臣秀吉の命令により京都の方広寺大仏殿造営のために伐採された切り株とされている。
根際には三本の小杉が育っており、巨木が伐採されたあとに次世代の杉が育つ「切り株更新」の模様を呈している。
大正時代に屋久杉を調査し、この大株を世に広く紹介したアメリカの植物学者、ウィルソン博士にちなんでこの名が付けられた。
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ウィルソン株 - 屋久島
ウィルソン株
中は大きな空洞になっており、清らかな泉が湧きだし、小さな流れをつくっている。祠が設けられている。
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高塚小屋 - 屋久島
高塚小屋
高塚小屋は、縄文杉の近くにある3階建ての避難小屋だ。2013年(平成25年)に個人の寄付によって建て替えられた。
建築家の坂茂 (ばんしげる) が設計し、壁材はガラスコーティングされた紙管で、壁材の隙間はシリコンで埋められ、明かり取りの役目を果たしている。
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バイオラックス - 屋久島
バイオラックス
水を使わないトイレ「バイオラックス」(正和電工)が設置されている。微生物の働きにより有機物を分解して土に返す自然の浄化作用を利用し、屎尿を資源としてリサイクルできる。
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女神杉 - 屋久島
女神杉
女神杉は、太い幹の周りに細い根が巻きついた形をしており、しなやかな曲線を描いていることから、この名が付けられた。
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かみなりおんじ - 屋久島
かみなりおんじ
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武家杉・公家杉 - 屋久島
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シカの宿 - 屋久島
シカの宿
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くぐり杉 - 屋久島
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奉行杉 - 屋久島
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三本足杉 - 屋久島
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二代大杉 - 屋久島
二代大杉
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(この項おわり)
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