2.5 露出とブレ

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適正露出の写真(イメージ)
適正露出の写真(イメージ)
露出とは、撮像素子に当たる光の量であり、絞り(F値)シャッタースピードISO感度の3要素によって決まる。露出が多すぎると白飛び、少なすぎると黒つぶれが発生し、適正露出では明暗や色彩が自然に再現される。通常はAE機能で適正露出が得られるが、撮影意図に応じて露出モードを使い分けることが重要である。

絞りはレンズを通る光量を調整する機構で、F値が小さいほど光量が増え、背景が大きくぼける。ポートレートや花の撮影では小さなF値が適し、風景や集合写真では大きなF値で被写界深度を深くする。一方、絞りを変えるとシャッタースピードやISO感度にも影響が及ぶ。

シャッタースピードは撮像素子に光を当てる時間を決める。高速シャッターはスポーツや野鳥など動く被写体を鮮明に止め、低速シャッターは滝や夜景、光跡などの流れを表現できる。被写体ブレや手ブレを防ぐため、被写体やレンズの焦点距離に応じた速度選択が必要である。

ISO感度は撮像素子の感度を高める機能で、暗所撮影に有効だが、高感度ほどノイズが増えて画質が低下する。近年のカメラにはオートISO機能が搭載されており、露出を自動調整しながら撮影できる。また、逆光や雪景色などAEが誤判断しやすい場面では、露出補正機能を用いて明るさを調整することで、意図した写真表現を実現できる。

目次

絞り・シャッタースピード・ISO感度

露出とは、撮像素子に当てる光の量を表す。絞り(F値)、シャッタースピード、ISO感度の3つの要素で露出が決まる。
露出を決める3つの要素
要素 役割 副作用
絞り(F値) レンズを通る光の量を調節 被写界深度(ボケ量)が変わる
シャッタースピード 光を当てる時間を調節 動きの表現(止める・流す)が変わる
ISO感度 センサーの光への感度を調節 高くするとノイズが増える
露出過少・適正・過多(画像はイメージです)
露出過少・適正・過多(画像はイメージです)
露出が多すぎると、上図右のように写真が白っぽくなり明暗や色の違いが分からなくなる。
反対に露出が少なすぎると、左のように写真が暗くなり、やはり明暗や色の違いが分からなくなる。
中央が適正露出だ。適正露出を得るには、だいたいのシーンでは、カメラのAE機能(完全オートやAIオート)に任せればいい。ただ、被写体や撮影シーンによっては露出モードを切り替える必要がある。
そこで、露出の3つの要素について、順に説明する

絞り

(左)最小絞り, (右)絞り開放(画像はイメージです)
(左)最小絞り, (右)絞り開放(画像はイメージです)
レンズには、入ってくる光の量を調整する仕組み――文字通りの「絞り」が内蔵されており、F値で表される。F値が小さいほど光が多く入り、F値が大きいほど入ってくる光量が減る。
F値は次の計算式で求める。
 F値 = 焦点距離 ÷ 有効口径(レンズの有効な直径)


つまり、同じF4.0のレンズなら、焦点距離が大きい(望遠レンズ)ほどレンズの有効口径が大きく、重たいレンズになる。

そのレンズの最も小さいF値(開放F値=絞りを完全開いた状態)はレンズによって決まっている。
開放F値が小さいレンズほど、選択できる露出の範囲が広がっていいのだが、このようにF値が小さいレンズは大きく高価になるので、自分に見合ったものを選んでほしい。
また、一般的にズームレンズは単焦点レンズより開放F値が大きくなる。また、ズームして焦点距離を変えると、開放F値が変化するものが多い。
F値とボケの関係
F値 絞りの状態 光の量 ボケ
F1.4 / F1.8 大きく開く 多い 大きくボける
F2.8 / F4 やや開く やや多い ボケやすい
F8 / F11 中間 中程度 ボケにくい
F16 / F22 絞る 少ない ほぼボケない

シャッター速度

高速移動する被写体(画像はイメージです)
高速移動する被写体(画像はイメージです)
シャッター速度は、撮像素子に光を当てる時間の長さをあらわす。単位は秒である。
多くのミラーレス一眼レフでは、1秒,1/2秒,1/4秒を2分の1刻みにシャッター速度を変更でき、最短で1/2000秒や1/4000秒まで切り替えることができる。また、バルブといって、次にシャッターボタンを押すまでシャッターを開きっぱなしにする機能も付いている。これは天体写真などを撮るときに使える。
シャッター速度と主な用途
シャッター速度 光の量 動きの表現 主な用途
1/4000〜1/1000秒 少ない 動きを止める スポーツ・野鳥・飛行機
1/500〜1/250秒 やや少ない 日常の動きを止める 子供・ペット・街撮り
1/125〜1/60秒 中程度 手ブレに注意 標準的な撮影
1/30〜1/8秒 やや多い 流れ始める 流し撮り・水の表現
1秒以上 多い 大きく流れる 夜景・星空・花火・光跡
1/250秒というと、日常生活では短く感じられるが、被写体によってはそうとも言えない。とくに高速で移動する自動車や鉄道車両の場合、シャッター速度を優先的に早くしなければならないシーンがある。詳しくは後述する。

ISO感度

ISO感度は、撮像素子が光をどれだけ増幅して受け取るかを示す数値で、「ISO 100」「ISO 400」などと表す。フイルム時代の感度規格(ISO規格)がそのままデジタルカメラに引き継がれている。

ISOの数値が大きければ大きいほど画質が粗くなる。これは画像データ圧縮によるものではなく、撮像素子そのものの原理的な問題であるため、回避はできない。
エントリー機では、機種によって異なるが、 ISO 1600以上になると画質の粗さが目立つものが多いです。ストロボが使えるシーンでは、ストロボを使った方がいいだろう。もっとも、フイルム時代にはISO 400でも画質が粗くなることがあったので、それに比べればストロボが必要になるシーンは格段に減った。

絞り優先モード

プログラムオート(画像はイメージです)
プログラムオート(画像はイメージです)
ミラーレスやデジタル一眼レフカメラでは、露出モードを選択できる。
大きく分けて、次の5つのモードがある。
  • プログラムオート(P)‥‥露出の3要素を全て自動設定する。被写体に合わせて最適な設定値を自動設定するフルオートやAIオートを用意している機種もある。
  • 絞り優先(AまたはAv)‥‥絞りを手動設定し、残りの2要素は自動設定する。
  • シャッター速度優先‥‥シャッター速度を手動設定し、残りの2要素は自動設定する。
  • マニュアル‥‥3要素を手動で設定する。適正露出かどうかはファインダーまたはライブビューモニタに表示される。
これ以外に、ISO感度を手動設定できる機能がある。
絞り優先モード(画像はイメージです)
絞り優先モード(画像はイメージです)
まず絞り優先モードについて説明しよう。
絞り優先モードは、被写界深度を「2.4 ピントの合わせ方」で紹介した被写界深度を調節するために使う。
被写界深度が浅い(画像はイメージです)
被写界深度が浅い(画像はイメージです)
たとえば主役にピントを合わせ、周囲をぼかしたいとき、つまり被写界深度を浅くしたいときには絞りを開放する(F値を最小にする)。
被写界深度が深い(画像はイメージです)
被写界深度が深い(画像はイメージです)
逆に、集合写真のように構図全体にピントを合わせたいときには、F値を大きくして、被写界深度を深くする
ただし、被写体が同じであれば適正露出は一定値であるから、絞りを変化した分だけ、シャッター速度やISO感度を変化させることになる。
先ほどの集合写真の場合、F値を小さくした分、シャッター速度を遅くするか、ISO感度を上げなければならない。シャッター速度を遅くすると、人物の動きでボケる(被写体ボケ)が発生する確率が高まるし、ISO感度を上げると画質が粗くなり画像を拡大したときに1人1人の表情がぼやけてしまう。
被写体に当たる光量にもよるので、どこまでF値を大きくできるかは断言できない。さまざまな場所、シーンで写真を撮って、経験から学んでほしい。
F値と撮影シーン(めやす)
F値の方向 シーン 目安のF値 ねらい
小さく
(開放寄り)
ポートレート F1.4〜F2.8 人物を際立たせ、背景をふんわりぼかす
花のアップ F2.0〜F4 花に合焦させ、前後をぼかす
物撮り・テーブルフォト F2.0〜F4 被写体を浮き立たせる
室内・カフェ F1.8〜F2.8 暗い場所でも光を取り込みつつぼかす
大きく
(絞る)
風景・山・海 F8〜F11 手前から奥まで全体をシャープに
建築・都市 F8〜F11 直線や細部をくっきり写す
集合写真 F5.6〜F8 前列から後列まで全員にピントを合わせる
星景写真 F2.8〜F4 星をシャープに写しつつ光量を確保

シャッター速度優先モード

シャッター速度優先モード(画像はイメージです)
シャッター速度優先モード(画像はイメージです)
シャッター速度優先モードは、まず、被写体の動きを止める(被写体ブレを避ける)ときに使う。
被写体ブレ(画像はイメージです)
被写体ブレ(画像はイメージです)
たとえば、100メートルの距離で、構図の右から左へ向けて時速60kmで走っているバイクをシャッター速度1/250秒で撮影するシーンを想像してほしい。これを計算すると、バイクは1/250秒間に画角にして0.0382度だけ左へ進む。
0.0382度は小さい角度であるが、デジカメの撮像素子は非常に小さい半導体の集合からできており、200mmの望遠レンズで撮影した場合には数十画素分のズレとなって現れる。焦点距離の短い標準レンズにすればズレは小さくなるが、被写体も小さくなり迫力が薄れてしまうだろう。そこで、もっと速いシャッタースピードを切ることになる。

逆に、シャッター速度を1/30~1/60秒程度に落として、被写体の移動に合わせてカメラを動かす流し撮りという撮影方法がある。背景が流れるように写り、主役のスピード感があらわされた写真になるが、うまくカメラを移動するには経験の積み重ねが必要だ。
(左)適正なシャッター速度 (右)表示が欠けている(画像はイメージです)
(左)適正なシャッター速度 (右)表示が欠けている(画像はイメージです)
移動していない被写体でも、たとえば鉄道車両の行き先表示器や、街角の電光掲示板などのLED表示器もシャッター速度の影響を受ける
LED表示器は常時点灯しているように見えるが、実際は非常に速い速度で点滅(明滅)している。
厄介なのは、点滅周波数がLED表示器によって異なることだ。おおむね、1/250秒より高速シャッターにすると、表示が薄くなったり、一部が写らなくなってしまう。
そこで、これより遅いシャッター速度に設定する必要があるのだが、鉄道車両の場合、スピードがあるので、シャッター速度が遅いと被写体ブレを起こすことになる。行き先表示器や方向幕を撮るのであれば、発車直後のスピードの遅い場所で撮影するか、撮影回数を重ねて、被写体ブレしないギリギリのシャッター速度を覚えるしかない。
なお、蛍光灯やブラウン管でも同じ現象が発生する。
デジカメには手ブレ補正機能が付いているので、望遠レンズでも手持ち撮影ができるようになった。それでも完全に補正できるわけではないので、400mmクラスの超望遠レンズを手持ち撮影するときは、1/400秒より速いシャッター速度にしたい。

逆に、薄暗いカフェや、夜景では光量が足りないので、シャッター速度を遅くする必要がある。手持ちの場合は手ブレが起きやすくなるので、できるだけ標準レンズに近い軽いレンズを使うといいだろう。また、一眼レフでの撮影を諦めて、スマホを使うということも選択肢に入れておきたい。
(左)シャッター速度が速い (右)遅い(画像はイメージです)
(左)シャッター速度が速い (右)遅い(画像はイメージです)
川や滝、道路を走る自動車の列は、シャッター速度によってイメージが大きく変わる。
シャッター速度優先モード:撮影シーンと目安
シャッター速度 シーン 目安のシャッター速度 ねらい
高速
(動きを止める)
スポーツ・運動会 1/1000〜1/2000秒 走る・跳ぶ瞬間をピタッと止める
野鳥・飛行機 1/2000〜1/4000秒 高速で動く被写体をシャープに止める
子供・ペット 1/500〜1/1000秒 予測不能な動きを止める
水しぶき・波 1/1000秒以上 水の粒や飛沫を止める
舞台・ダンス 1/500〜1/1000秒 動きの一瞬を切り取る
低速
(動きを流す)
滝・渓流 1/4〜1秒 水の流れを絹のように滑らかに表現
流し撮り(車・バイク) 1/30〜1/60秒 背景を流して速さ・躍動感を表現
夜景・イルミネーション 1〜30秒 光量を稼ぎつつ光跡を写す
花火 2〜5秒 開いた軌跡を写す
星空・天の川 15〜30秒 星を点として写す
光跡(車のライト) 10〜30秒 走行する車のライトを線として写す

ISO感度設定

上述のように、どんな写真を撮りたいかによって絞り(F値)やシャッター速度を変更することがある。そして、F値とシャッター速度は決めた値にしたいのだが、それだと露出過少または過多になるような場合、ISO感度を調整する。

オートISO

絞り優先モードのときは自動的にシャッター速度を調整し、また、シャッター速度優先モードのときは自動的に絞りを調整し、適正露出になるようにする。しかし、シャッター速度や絞りが適当な範囲で調整できなかったとき、ISO感度を上下させて適正露出になるようにするオートISO機能を備えているカメラが多い。
オートISOを使うと、
  • 刻々と変わる光の中でも露出を安定させられる。
  • F値とシャッター速度の組み合わせに集中でき、撮影に専念できる。
  • 初心者でも失敗写真を減らせる。
というメリットがある半面、ISO感動が高くなりすぎると画質が粗くなるというデメリットがある。オートISOでISOの上限値が設定できるカメラでは、あらかじめ上限値を設定しておこう。
オートISO:ISO上限の目安
カメラのクラス 実用上限の目安
エントリー機 ISO 1600〜3200
ミドル機 ISO 3200〜6400
フルサイズ機 ISO 6400〜12800

露出補正

いずれの露出モードの場合でも、カメラが適正露出と判断した設定値を上下させる露出補正機能がある。「±EV」で表す。機種によって異なるが、±1/2EVずつ、または±1/3EVずつ手動調整することができる。
下表のようなシーンで利用するといいだろう。
露出補正が必要なシーン
シーン AEの誤判断 補正の方向
逆光・背景が明るい 背景に引っ張られ被写体が暗くなる +補正(明るく)
白い被写体・雪景色 白を灰色にしようとして暗くなる +補正(明るく)
黒い被写体・暗い背景 黒を灰色にしようとして明るくなる −補正(暗く)
スポットライトの舞台 暗い部分に引っ張られ明るくなりすぎる −補正(暗く)
(この項おわり)
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