紀元前1286年 - カデシュの戦い

世界最古の国際条約締結
アブシンベル神殿のラムセス2世像
アブシンベル神殿のラムセス2世像(若いとき)
紀元前1286年頃、シリア・パレスチナの領有権をめぐり、エジプト新王国のラムセス2世と、ヒッタイト王ムワタリ2世が、シリア西部にあるオロンテス川近くの交易の要衝カデシュで衝突した。
一時はヒッタイト軍が優勢であったが、ラムセス2世が戦闘用馬車チャリオットを駆り、エジプト軍が態勢を立て直し、戦いは引き分けに終わった。

紀元前1269年頃に、エジプトとヒッタイト両国の間で締結された平和同盟条約は、現在知られている世界で最古の国際条約といわれている。
チャリオット
チャリオット
古代エジプトは、ヒクソスによる異民族支配から抜け出しエジプト新王国となり、トトメス3世の時代に領土を大幅に拡大した。アメンホテプ4世のアマルナ時代には一時後退したが、ラムセス2世の治世で大きく盛り返した。古代エジプトの帝国主義時代である。
一方のヒッタイトは、鉄製武器を用いて急速に台頭してきた軍事国家である。
エジプト新王国は早くからシリアに進出していたが、小アジアを本拠としたヒッタイト王国が急速に勢力を拡大したことによって、シリア・パレスチナの領有権をめぐり、両国が衝突することになった。

エジプトとヒッタイトの戦いは長引き、紀元前1269年頃に両国の間で平和同盟条約が締結され、ラムセス2世はヒッタイト王女を王妃に迎えた。これは世界史上で最初の平和条約とされている。
その後、ラムセス2世はアブ・シンベル神殿を造営し、カデシュの戦いを勝利の詩として刻ませた。
ラムセス2世のミイラは1881年に発見され、現在はカイロのエジプト考古学博物館に収められている。身長は173cmと、当時のエジプト人の平均身長より10cmも高かった。

ラムセス2世を『出エジプト記』に登場するユダヤ人を奴隷から解放するようにモーセが要求したファラオであるとする説がある。1956年に公開されたアメリカの映画『十戒』では、ユル・ブリンナーがラムセス2世を演じた。

この時代の世界

-1525 -1375 -1225 -1075 -925 -1286 カデシュの戦い -1314 -1224 ラムセス2世 -1300 -1272 ムワタリ2世 -1350 -1250 モーセ -1470 -1425 トトメス3世 -1362 -1333 アメンホテプ4世 -1040 -961 ダビデ -971 ソロモン王の即位 -1011 -931 ソロモン Tooltip
モーセの生没年には諸説あり、ここではラムセス2世と同時代人だという仮説を年表に掲げている。
(この項おわり)
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