『国家の品格』――当たり前のことを記さなければいけない時代

藤原正彦=著
表紙 国家の品格
著者 藤原 正彦
出版社 新潮社
サイズ 新書
発売日 2005年11月17日頃
価格 836円(税込)
ISBN 9784106101410
日本は品格ある国家であったが故に、植民地にならずに済んだのです。このように、文化度が高いこと、あるいは国家に品格があるということは、防衛力にもなるということです。(179ページ)

概要

日本の国旗のイラスト
私にとっては当たり前のことを平易な言葉で記してあるだけなので、とくだん感銘はなかった。にもかかわらず、本書が驚異的ベストセラーになったのは、とても不思議である。

「なぜ人殺しをしてはいけないのか」「なぜ援助交際をしてはいけないのか」――こんなことは、子育ての経験があれば当然わかるはずの(わからなくてはならない)命題である。「いけないから、いけない」のである。議論の余地はない。
一生で使い切れないほどの金を稼ぐことが偉いのか――IT長者たちの生活を見ると、けっして幸せではないことが見えてしまう。幸せでない者たちに「偉さ」を感じてしまうのは異常である。
勝ち組・負け組という一元的な区別も意味がない。そんな簡単に割り切れないのが人生である。ただし、いわゆる「負け組」の人々がこぞって本書を買い求め、感銘を受けたような気分に浸っているとしたら、日本の行く末は暗い
(2006年7月27日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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