『この国のけじめ』――優しいお父さん?

藤原正彦=著
表紙 この国のけじめ
著者 藤原 正彦
出版社 文藝春秋
サイズ 単行本
発売日 2006年04月14日頃
価格 1,309円(税込)
ISBN 9784163678009
真のエリートとは豊富な歴史や文学などの教養を背景に大衆とは比較にならぬ総合判断力を有し、いざとなれば国家国民のために生命を投げ出す覚悟のある人間である。(89ページ)

概要

この国のけじめ
国家の品格」でブレイクした藤原正彦さんが、平成15年からの3年間に新聞や雑誌に書いたエッセイを集めたものである。前半は、相変わらずの毒舌で飛ばす。

中盤にある「藤原家三代」は、藤原正彦さんの人となりが垣間見え、一番関心を惹かれた。
藤原正彦さんは新田次郎藤原ていの次男である。作家の新田次郎は、気象庁勤務が本業だったのは有名な話であるが、仕事の上でのグチや、母子だけで満州から引き揚げてきたときの苦労話を読むことができる。また、藤原先生の息子たちと受験戦争の話を読むと、「ああ、先生も人の親だな」と身近に感じる。
藤原正彦さんは、社会に対して痛烈な意見を述べる人だが、本当は、優しいお父さんなんじゃないかと思う。その「優しいお父さん」を勘違いして演じている大人が多いのが、いまの日本の病理であるのかもしれない
(2006年10月11日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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