『火星航路SOS』――古き良きスペースオペラ

エドワード・E・スミス=著
表紙 火星航路SOS
著者 エドワード・E.スミス/井上一夫
出版社 早川書房
サイズ 文庫
発売日 2006年03月
価格 880円(税込)
ISBN 9784150115555

概要

宇宙船のイラスト(旅客機)
人間がロケットの軌道計算を行い、金星人から土星までヒューマノイド型の宇宙人がいて、木星には固い地面が存在する――なにしろ本書は1931年の原作で、コンピュータはもちろん、テレビや人工衛星すら存在しなかった時代の古き良きスペースオペラなのである。設定は滑稽かもしれないが、70年後のスターウォーズやガンダムはどうだろうか。私は、面白ければ、それでよいと思う。
私が最初に読んだSFは「宇宙大作戦」(現・スタートレック)だったが、2番目に読んだのがE・E・スミスの処女作「宇宙のスカイラーク」であった。ちょうどその頃、ハヤカワSF文庫から初めて「火星航路SOS」の翻訳が出版された。いまから30年前の話である。本書はリメイク版である。

本書の冒頭で、経営者からの命令でロケットを定時運行するために悪戦苦闘する“計算士”の苦労話が描かれているが、これは、電車を定時運行させようと必死に努力している某国の運転士にそっくりではないか。時代が変わり、技術が変わろうとも、経営者の考えることは変わりないようである。
(2006年3月20日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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