『技術経営』――ムーアの法則を経営に適用

山田肇=著
表紙 技術経営
著者 山田肇
出版社 NTT出版
サイズ 単行本
発売日 2005年04月
価格 1,980円(税込)
ISBN 9784757121485
技術は社会と無関係に発展していくことはできない。特に倍々の速度で進歩する情報通信分野の技術のような場合には、社会への影響は非常に大きいものかある。そこを理解することから技術の経営をスタートさせるべきである。(318ページ)

概要

ムーアの法則
ムーアの法則
ムーアの法則」を拡大解釈し、デジタル技術は加速度的に進歩しているという観点から、経営学について述べている。
実際、システム開発の仕事に携わっていると、技術の進歩は凄まじい。5年間のリース期間中に、導入システムは陳腐化し、メモリやディスクの増設だけでは追いつかなくなる。
Windowsの場合、その5年間のうちにメジャー・バージョンアップがあるので、アプリケーションから何から総取り替えしなければならなくなる。5年を過ぎたシステムはスクラップも同然である。
そればかりではない。ネット社会は「タダ」が流行している。われわれが労力をかけてシステムを開発しても、1年後には同じ機能・性能のシステムが「タダ」でネット上に公開されることはよくある。こうなってくると、顧客は「タダ」になるまでシステム導入の様子見をしようということになり、商売ができなくなる。

本書では、タダの先に「コンテンツ・ビジネス」があることを強調しているが、これは1つの解ではある。しかし、きちんとマーケティングしないと、売上が上がらない性質のものでもある。本書では明らかになっていないのだが、この点が、従来の「技術経営」と決定的に異なる点である。
「ムーアの法則」により、技術は市場ニーズを追い越して進歩することがある――次世代ゲーム機や次世代DVDが、その例としてあげられている。ゆえに、われわれは常に市場をウォッチしながら「技術経営」をしていく必要がある

市場の動きを察知するというのは、ある種の勘のようなものではないかと思う。私には、その勘もないし、その勘を養う教育も受けていない。いまは「技術経営」する器ではないと強く感じる。
さて、我が社の経営陣は、この論理を理解してくれるだろうか。
(2006年12月1日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
header