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経営チーム革命 | ||
著者 | 長野恭彦 | ||
出版社 | 日経BPM(日本経済新聞出版本部) | ||
サイズ | 単行本 |
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発売日 | 2011年10月 | ||
価格 | 1,980円(税込) | ||
ISBN | 9784532317324 |
グループリーダーでも部長でもひとりで課題を抱えて苦しんでいる状態がけっこうありますが、他人と相談すればすぐ解決できるというものが多いものです。特に技術者に関しては、そのあたりに無器用な人が多い‥‥(170ページ)
概要

著者は、スコラ・コンサルトのプロセス・デザイナーで、経営者、役員、部長からなるチームをつくり、事業コンセプトの創出と実行による変革のプロセスコンサルテーションを実施している長野恭彦さん。本書は、「既存市場における成長の限界が見えている企業、競争力を失った事業の革新を課題に持つ企業、『効率追求』から『価値創造』の経営パラダイムへと転換が求められている企業、あるいは事業部門」(88ページ)を対象に、トップと部長層から成る「戦略的経営チーム」による問題解決方法を提案する。
レビュー
長野さんは、右肩上がりの安定した経営環境の時代は終わりを告げ、経営と現場の橋渡しとなるべき部長が機能不全に陥っていると指摘する。私も部長職にあるので、経営と現場にの間に矛盾があることは承知している。
長野さんはこれらの矛盾を、「理屈と現実」「全体と部分」「管理と自由」という分かりやすいキーワードで整理し、「部長どうしがお互いに連携することができずに、それぞれが『ひとりで頑張る』ことが当たり前になっている状況が問題の本質」(73ページ)と指摘する。

また、多くの部長と接してきた経験から、マネジメントができていないという部長が多いということを挙げる。そして、「実務とマネジメントでは求められる能力が異なります」(119ページ)と指摘した上で、マネジメントに関する習慣を身につける環境を提案する。

第4章は、設計プロセスを改善して半期で8.5億円の削減を達成したメーカー事例を紹介する。部署横断のCFT(Cross Functional Team)を立ち上げ、徹底的な情報共有を行うことで、迅速に問題解決できる体制を構築した。
長野さんは「グループリーダーでも部長でもひとりで課題を抱えて苦しんでいる状態がけっこうありますが、他人と相談すればすぐ解決できるというものが多いものです。特に技術者に関しては、そのあたりに無器用な人が多いので、せっかくいいコンテンツを持っていても、宝の持ち腐れになりがち」(170ページ)と指摘する。
第5章は、市場が成熟して本業が先細る自動車整備会社の事例である。社長を交えたワークショップを行い、自分たちの未来を語り合うことで、あらたしい「事業の軸」が形になっていく。新しい事業の軸を現場に展開したときの現場の抵抗と、そのフォローも紹介している。
第6章は、チームで「事業の軸」を定めるワークショップを行った天竜精機の事例だ。ワークショップが煮詰まったとき、顧客視点に立ち返った。長野さんは、「メーカー側からの固定的な視点で見ているだけでは、性能と価格の追求に入りこむばかりです。それが、お客様側からの視点に立ってみると、まったく別の見え方ができたのです。新しい製品コンセプトが生まれた瞬間」(225ページ)と記す。
巻末には、「人間関係の身体能力を高める『部長』のタテヨコ連携49のコツ」が示されている。

肝心なのは、本書に記されていることを、1つでも多く実行してみることだろう。
さて、明日からの仕事で、どれから実行してみようか――。
長野さんはこれらの矛盾を、「理屈と現実」「全体と部分」「管理と自由」という分かりやすいキーワードで整理し、「部長どうしがお互いに連携することができずに、それぞれが『ひとりで頑張る』ことが当たり前になっている状況が問題の本質」(73ページ)と指摘する。

また、多くの部長と接してきた経験から、マネジメントができていないという部長が多いということを挙げる。そして、「実務とマネジメントでは求められる能力が異なります」(119ページ)と指摘した上で、マネジメントに関する習慣を身につける環境を提案する。

第4章は、設計プロセスを改善して半期で8.5億円の削減を達成したメーカー事例を紹介する。部署横断のCFT(Cross Functional Team)を立ち上げ、徹底的な情報共有を行うことで、迅速に問題解決できる体制を構築した。
長野さんは「グループリーダーでも部長でもひとりで課題を抱えて苦しんでいる状態がけっこうありますが、他人と相談すればすぐ解決できるというものが多いものです。特に技術者に関しては、そのあたりに無器用な人が多いので、せっかくいいコンテンツを持っていても、宝の持ち腐れになりがち」(170ページ)と指摘する。
第5章は、市場が成熟して本業が先細る自動車整備会社の事例である。社長を交えたワークショップを行い、自分たちの未来を語り合うことで、あらたしい「事業の軸」が形になっていく。新しい事業の軸を現場に展開したときの現場の抵抗と、そのフォローも紹介している。
第6章は、チームで「事業の軸」を定めるワークショップを行った天竜精機の事例だ。ワークショップが煮詰まったとき、顧客視点に立ち返った。長野さんは、「メーカー側からの固定的な視点で見ているだけでは、性能と価格の追求に入りこむばかりです。それが、お客様側からの視点に立ってみると、まったく別の見え方ができたのです。新しい製品コンセプトが生まれた瞬間」(225ページ)と記す。
巻末には、「人間関係の身体能力を高める『部長』のタテヨコ連携49のコツ」が示されている。

肝心なのは、本書に記されていることを、1つでも多く実行してみることだろう。
さて、明日からの仕事で、どれから実行してみようか――。
(2017年2月16日 読了)
参考サイト
- 経営チーム革命:日本経済新聞出版社
- 『技術経営』(山田肇,2005年04月)
- 長野恭彦@hikonagano:Twitter
- 『理系の経営学』(宮田秀明,2003年04月)
- 『図解!会社にお金が残らない本当の理由』(岡本吏郎,2006年10月)
- 『コピー用紙の裏は使うな!』(村井哲之,2007年03月)
- 『ものづくり経営学』(藤本隆宏/東京大学,2007年03月)
- 『現場の判断、経営の決断 宇宙開発に見るリスク対応』(山浦 雄一,2020年12月)
(この項おわり)