『新幹線ガール』――売上No.1パーサーの仕事ぶり

徳渕真利子=著
表紙 新幹線ガール
著者 徳渕真利子
出版社 メディアファクトリー
サイズ 単行本
発売日 2007年03月
価格 1,047円(税込)
ISBN 9784840117821
もし乗務員が何かお客様に失礼なことをしてしまった場合、飛行機ならば目的地に着くまでに挽回のチャンスがあるかもしれません。でも私たちパーサーには「一度きり」しかないのです。二度目のワゴン販売に訪れたとき、もうそのお客様は降りてしまわれている可能性があるからです。(144ページ)

概要

車内販売・機内販売のイラスト
著者の徳渕真利子 (とくぶち まりこ) さんは1984年生まれ。新幹線パーサーのアルバイトをはじめ、正社員に登用されたその年に、全社員パーサー300人の売上No.1に輝いた女性だ。だが、本書を読む限り、売上アップの秘訣や、本人の凄さというのは伝わってこない。
なぜか――それは、本書の主旨が「新幹線パーサーの仕事を知ってもらいたい」という、彼女の思いにあるからだ。どうやら、彼女本人が、売上No.1の秘訣に気づいていないようなのである。
もし売上アップの秘訣を紹介するなら、専門のライターさんに取材してもらった方が良いようだ。彼女の仕草の1つ1つにもノウハウがありそうなので、映像で伝えた方が良いかもしれない。
そんなわけで、彼女が紹介された朝日新聞「天声人語」を読んで皆さんは、本書を読んで肩すかしを食わされることだろう。
ただ、文書のあちらこちらに、二十代前半とは思えない鋭い言葉がちりばめられている。

最近は、どんな仕事にも細かいルールが定められている。彼女は、それに対し「どういう理由で細かい注意事項を設けているのか」(68ページ)考えるゆとりをもっている。「インストラクターに教えられたことを忘れずに実行」(191ページ)する意味を理解している。
自分は、三十代後半になって、ようやく理解しかけてきたところなのに‥‥やはり、ただ者ではない。
(2007年6月15日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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