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宇宙旅行はエレベーターで | ||
著者 | ブラッドリー・C.エドワーズ/フィリップ・レーガン | ||
出版社 | 武田ランダムハウスジャパン | ||
サイズ | 単行本 |
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発売日 | 2008年04月 | ||
価格 | 1,980円(税込) | ||
ISBN | 9784270003350 |
宇宙旅行の難点は、宇宙を旅することそのものではなく、地球から離れることにある。(13ページ)
概要

本書は、宇宙エレベータの実現可能性について技術レベルで解説している。
膨大なエネルギーを使って宇宙へ旅立つ巨大ロケットの姿は雄々しい。しかし、アポロ計画から40年近くが過ぎ、環境問題・エネルギー問題が注目される昨今、もっと軽い気持ちで宇宙に行けるようになってもいいのではないだろうか。その意味で、宇宙エレベーターには関心を寄せている。
膨大なエネルギーを使って宇宙へ旅立つ巨大ロケットの姿は雄々しい。しかし、アポロ計画から40年近くが過ぎ、環境問題・エネルギー問題が注目される昨今、もっと軽い気持ちで宇宙に行けるようになってもいいのではないだろうか。その意味で、宇宙エレベーターには関心を寄せている。
宇宙エレベータといえば、アーサー・C・クラークのSF『楽園の泉』やアニメ『超時空世紀オーガス』では「軌道エレベータ」として登場した(個人的には「軌道エレベータ」という名前の方がしっくりくる)。最近では、アニメ『機動戦士ガンダムOO』に登場している。SFやアニメでは欠かせない舞台装置だ。

宇宙へ向かって数万キロの高さに延ばす支柱の強度の問題で、現実世界ではあまり論じられてこなかった。だが1990年代に入り、鋼鉄の数百倍の強度を持ち極めて軽いカーボンナノチューブが製造可能となり、がぜん注目を浴びるようになった。
このあたりの経緯は、本書に詳しい。とくに「訳者あとがき」が参考になる。また、地上のアンカーとなるアース・ポートの設置場所から、他の惑星における宇宙エレベーターの可能性まで技術的・経済的・政治的な分析がなされており、とても参考になる。

ただ、本書を読んでいて疑問が1つ残る――エレベーターを上昇する「クルーザー」の時速は200キロほど。これだと、静止軌道(高度約3万6千キロ)に到達するまで1週間以上かかる計算になる。となると、閉鎖空間であるクルーザーは、アメニティの整った豪華客船のようなこしらえが必要ではないだろうか。さすがに新幹線で地球一周するのは辛い。

宇宙へ向かって数万キロの高さに延ばす支柱の強度の問題で、現実世界ではあまり論じられてこなかった。だが1990年代に入り、鋼鉄の数百倍の強度を持ち極めて軽いカーボンナノチューブが製造可能となり、がぜん注目を浴びるようになった。
このあたりの経緯は、本書に詳しい。とくに「訳者あとがき」が参考になる。また、地上のアンカーとなるアース・ポートの設置場所から、他の惑星における宇宙エレベーターの可能性まで技術的・経済的・政治的な分析がなされており、とても参考になる。

ただ、本書を読んでいて疑問が1つ残る――エレベーターを上昇する「クルーザー」の時速は200キロほど。これだと、静止軌道(高度約3万6千キロ)に到達するまで1週間以上かかる計算になる。となると、閉鎖空間であるクルーザーは、アメニティの整った豪華客船のようなこしらえが必要ではないだろうか。さすがに新幹線で地球一周するのは辛い。
(2008年7月16日 読了)
参考サイト
- 一般社団法人 宇宙エレベーター協会(JSEA)
- 『楽園の泉』――宇宙エレベータと人工知能が登場する古典SF:ぱふぅ家のホームページ
- 『国際宇宙ステ-ションとはなにか?』――技術系ビジネス書:ぱふぅ家のホームページ
- 『ヒトはなぜ宇宙に魅かれるのか』――科学は文化:ぱふぅ家のホームページ
(この項おわり)