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ヒトはなぜ宇宙に魅かれるのか | ||
著者 | 縣秀彦 | ||
出版社 | 経済法令研究会 | ||
サイズ | 新書 |
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発売日 | 2019年03月 | ||
価格 | 880円(税込) | ||
ISBN | 9784766848199 |
天文学は「みんなの科学」と呼ばれています。5千年以上の歴史を持ち、最も古い学問の一つであると同時に、宇宙は誰でもが一度は気になる存在です。(146ページ)
概要

著者は、「科学は文化」をモットーに、国立天文台を中心に世界中を飛び回っている縣秀彦さん。「宇宙のことを知ると、自分の存在理由や、立ち位置が垣間見える瞬間に遭遇することがあります」(41ページ)と記しているが、同世代の天文少年(?)として、同感である。
いま、自分が、数億光年というスケールの時空間を見ていると思うと、いかに「自分たちのルールにのみ固執して、お互いの共通性を見いだせず」(46ページ)にいるか、そして、自分がいかに小さな存在かということに気づかされる。

縣さんは、「中学校卒業までに身につけてほしい自然観として、天文教材が特に役立つ科学概念は時間スケールと空間スケールの認識に関して」(181ページ)と指摘する。
手前味噌ではあるが、当サイトでは、本書で紹介された宇宙カレンダーや、Googleマップに太陽系を描くプログラムを無償公開している。お子さんの天文学習の役に立てば幸いである。

縣さんは、「中学校卒業までに身につけてほしい自然観として、天文教材が特に役立つ科学概念は時間スケールと空間スケールの認識に関して」(181ページ)と指摘する。
手前味噌ではあるが、当サイトでは、本書で紹介された宇宙カレンダーや、Googleマップに太陽系を描くプログラムを無償公開している。お子さんの天文学習の役に立てば幸いである。
レビュー

ジェームズ・クック

デューラー星図
縣さんがかつて教鞭を執った高校では、「不思議なことに生徒たちは、暗闇の中、星空を眺めながら、必ず自分の悩みを打ち明け始めます」(40ページ)。これはよくわかる。「宇宙のことを知ると、自分の存在理由や、立ち位置が垣間見える瞬間に遭遇すること」(41ページ)がある。
コペルニクスやガリレオといった多くのが学者の努力で、人類は、自分たちが宇宙の中心にいるわけでないことを認識できるようになった。自分の立ち位置を、ニュートラルに、それこそ天空にいる神の視点で見ることができるようになった。
コペルニクスやガリレオといった多くのが学者の努力で、人類は、自分たちが宇宙の中心にいるわけでないことを認識できるようになった。自分の立ち位置を、ニュートラルに、それこそ天空にいる神の視点で見ることができるようになった。

アポロ11号の月着陸
縣さんは、アポロ11号の月着陸を原体験にしており、「現在の科学技術の発展や世界平和を願う気持ちの原点の一つが、アポロ計画」(68ページ)という。
3歳年下の私は、残念ながら月着陸の記憶がない。最初のアポロの記憶は、ソユーズとのドッキングだ。1975年の時点で、私の中で冷戦は終わっていた。同じ年、バイキング1号が火星に軟着陸し、2年後にはボイジャー1号が木星へ向けて旅だった。
3歳年下の私は、残念ながら月着陸の記憶がない。最初のアポロの記憶は、ソユーズとのドッキングだ。1975年の時点で、私の中で冷戦は終わっていた。同じ年、バイキング1号が火星に軟着陸し、2年後にはボイジャー1号が木星へ向けて旅だった。
縣さんは、国立天文台に着任すると、アウトリーチ活動として国立天文台三鷹キャンパスの一般公開をはじめた。2000年7月3日のことである。わが家のすぐ近くである。2005年から、三鷹駅近くでアストロノミー・パブを開いたことも知っている。また、縣さんが着任する以前の三鷹キャンパスの情報公開発動は、『天文台の電話番』(長沢工=著,2001年1月)に詳しい。
「科学は文化」が、国立天文台天文情報センター普及室の取組みのモットーだそうだ。私も経験上、星の話は、世界中どこへ行っても通じることを知っている。科学は文化となり、世界中のヒトを結ぶ。

縣さんは、サイエンス・コミュニケーション(SC)を、「サイエンスというものの文化や知識が、より大きいコミュニティの文化の中に吸収され、変質し、その結果が科学にも跳ね返ることで、社会全体や個人に影響を与えていく過程」(167ページ)と定義づける。
また、天体観測は、その天体からの光の情報だけで理論を組み立てなくてはならない。天文学者にとって、「少ない情報からその天体の特性を導くその作業は、強い根気と論理性が求められる作業」(185ページ)は当たり前のことかもしれないが、その後の私のビジネス活動の大きな糧となった。
好きこそ物の上手なれ――英会話や方程式の解法といった技術は、必要に応じて覚えればいいだろう。
「科学は文化」が、国立天文台天文情報センター普及室の取組みのモットーだそうだ。私も経験上、星の話は、世界中どこへ行っても通じることを知っている。科学は文化となり、世界中のヒトを結ぶ。

縣さんは、サイエンス・コミュニケーション(SC)を、「サイエンスというものの文化や知識が、より大きいコミュニティの文化の中に吸収され、変質し、その結果が科学にも跳ね返ることで、社会全体や個人に影響を与えていく過程」(167ページ)と定義づける。
また、天体観測は、その天体からの光の情報だけで理論を組み立てなくてはならない。天文学者にとって、「少ない情報からその天体の特性を導くその作業は、強い根気と論理性が求められる作業」(185ページ)は当たり前のことかもしれないが、その後の私のビジネス活動の大きな糧となった。
好きこそ物の上手なれ――英会話や方程式の解法といった技術は、必要に応じて覚えればいいだろう。
(2019年6月1日 読了)
参考サイト
- ヒトはなぜ宇宙に魅かれるのか:経済法令研究会
- 国立天文台三鷹キャンパス
- 宇宙カレンダー:ぱふぅ家のホームページ
- Googleマップに太陽系を描くプログラム:ぱふぅ家のホームページ
(この項おわり)