『偽善エコロジー』――トンデモはどっち?

武田邦彦=著
表紙 偽善エコロジー
著者 武田邦彦
出版社 幻冬舎
サイズ 新書
発売日 2008年05月
価格 814円(税込)
ISBN 9784344980808
最近の日本の報道は、視聴者を驚かせないと視聴率などがとれないので、あの手この手で事実とは違うことを報道します。(79ページ)

概要

ゴミを食べるイルカのイラスト(環境問題)
“環境問題のウソ”のウソ』(山本弘/楽工社/2008年1月)において、その内容がデタラメであることを指摘された武田邦彦さんの本である。だが、実際に読んでみると、たしかにデタラメの部分もあるのだが、全部がそうと結論づけられないと感じた。
たしかにペットボトルのリサイクル問題にはグレーな部分がある。少なくとも、ご家庭の主婦からリサイクル工場までは真面目に頑張っている。問題はその先である。その先の仕組みが整っていないため、リサイクルしようという努力までを否定する著者の姿勢は問題である。
一方、太平洋の小国ツバルの水没問題について、武田さんは温暖化による海水面上昇より地盤沈下の影響が大きいと指摘する。私は、ツバルの地盤沈下のデータを持っていないので、これがデタラメであるとは信じられないのである。

最後に武田さんは、「書籍や新聞、テレビなどで情報を発信する側は、公にされた知識や情報をつねに検証し、オリジナルなデータと思想を持つことが大事です」(230ページ)とアドバイスする。これこそ、山本弘氏がトンデモ本の見分け方としてアドバイスしている内容と同じである。山本氏の指摘に対して武田さんが意図的に切り替えしたものなのか、それとも本心からそう述べているのか、興味深い内容である。
(2009年3月28日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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