『人が育つ話し方』――居場所を与える

渡辺秀樹=著
表紙 人が育つ話し方
著者 渡辺秀樹
出版社 星雲社
サイズ 単行本
発売日 2006年12月
価格 1,760円(税込)
rakuten
ISBN 9784434087240
人にとって「居場所がない」ことほどつらいことはありません。(26ページ)

概要

カウンセリングのイラスト(男性医師)
著者の渡辺秀樹さんは、海将補まで勤めた元自衛官。本書は、海上自衛隊のカウンセリング経験から生まれたという。その割に内容はソフトかつ具体的で、職場や学校で通用するだろう。

たとえば「ほめる」にしても、「ほめるときに、『あなたは素晴らしい人だ』とか、『さすが、理知的ですね』といった、人格(人柄)についてはほめないで、むしろ『行動』についてほめた方がやる気が出る」(62ページ)というように、とても具体的なアドバイスが記されている。また、「狭量な人」とは、「心が小さいのではなく、心に鎧を着せているから縮こまっているにすぎない」(92ページ)と指摘する。
バブル後の社会では終身雇用が崩れ人材が流動的になったといえば聞こえが良いのだが、自分の「居場所」が無くなった人も多いような気がする。そんな人の中には、自分探しの旅に出たり、ニートになったり、鬱病になってしまう人もいるのではないだろうか。

渡辺さんは、帰属欲求が大切なことだと言う。そして、「『居場所を取り上げる話』をしてしまった場合には、必ずや人がダメになってしまうであろうということを忘れないでいただきたい」(26ページ)とアドバイスしている。
会社で学校で、後輩や部下が一人でもいたら、本書に書かれているような配慮は必要である。
(2009年4月30日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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