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宇宙は「もつれ」でできている | ||
| 著者 | ルイーザ・ギルダー/山田 克哉/窪田 恭子 | ||
| 出版社 | 講談社 | ||
| サイズ | 新書 |
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| 発売日 | 2016年10月19日頃 | ||
| 価格 | 1,650円(税込) | ||
| ISBN | 9784062579810 | ||
「神の持ち札を見ることは難しいようだ」1942年になって、アインシュタインはこう語っている。「けれども私は一瞬たりとも、神がサイコロを振り『テレパシー』を使っている(現在の量子力学はそうだと言うが)と信じたことはない」(323ページ)
概要
著者のルイーザ・ギルダーは、2000年にダートマス大学を卒業した科学ジャーナリストで、8年超に及ぶ徹底取材でものにした本書が初めての著書という。

アルバート・アインシュタインという一人の天才の独創によって誕生した相対論に対し、量子論は100年にわたり数多くの物理学者たちの努力によって構築されていった。本書は、アインシュタインという巨大な才能に挑む多くの物理学者の交流を描いた大河ドラマである。
アルバート・アインシュタインという一人の天才の独創によって誕生した相対論に対し、量子論は100年にわたり数多くの物理学者たちの努力によって構築されていった。本書は、アインシュタインという巨大な才能に挑む多くの物理学者の交流を描いた大河ドラマである。
レビュー
ルイーザ・ギルダーは、「対話は科学にとって必要不可欠なものである」(17ページ)という。本書は、脚色はあるものの、当時の科学者たちの手紙のやり取りなどの史実を元に書かれている。ネットもなく、国際電話も普及していなかった時代、科学者たちは手紙の上で議論したことは間違いないだろう。それが科学を発展させたのだ。
第二次大戦前、量子力学をめぐる解釈は、デンマークの首都コペンハーゲンにあるボーア研究所から発信された「コペンハーゲン解釈」に集約されていった。

だが、偉大なるアインシュタインは生涯、量子論を受け入れようとしなかった。ボーアは「アインシュタインが正しいのなら、物理学はもうおしまいだ」(232ページ)と呟いたという。
それでも、アインシュタインの科学者としての姿勢は確かなもので、1931年、不確定性原理のハイゼンベルクと、波動力学のシュレーディンガーをノーベル賞候補として推薦した。だが、アインシュタインの推薦は他の誰とも意見が合わず、ノーベル賞委員会が大混乱に陥った結果、1931年の物理学賞は該当者なしとなった。

そして、1933年1月末日、ヒトラーが政権に就くと、コペンハーゲン解釈に連なる物理学者たちは散り散りになってしまう。
この頃、心を病んだパウリは心理学者ユングに接触し、テレパシーについて考えるようになる。シュレーディンガーは、統計的確率と不確定原理を混同しているアインシュタインに異議を唱えるべく、のちに「シュレーディンガーの猫」と呼ばれる思考実験を発表する。
だが、アインシュタインは1942年、「私は一瞬たりとも、神がサイコロを振り『テレパシー』を使っていると信じたことはない」と語り、量子物理学者たちの意見を一蹴した。この結果、テレパシーやシュレーディンガーの猫についての誤った考えが、現代に伝わってしまった。アインシュタインは、それほどの影響力を持つ存在だった。

1935年、アインシュタイン、ポドルスキー、ローゼンは、量子論の波動関数によると、たとえ100億km離れていても瞬時に情報が伝わる、すなわち、特殊相対論が述べる因果律を破るような振る舞い(量子のもつれ)をすることを指摘した。この問題は3人の名前の頭文字をとって「EPRパラドックス」と呼ばれ、半世紀にわたって物理学界の悩みの種となった。
1960年代に入ると、スイスCERNと米ブルックヘヴン研究所のシンクロトロンが実稼動に入った。CERNでの研究に生涯を捧げることになるジョン・スチュワート・ベルは、コペンハーゲン解釈に疑問を感じていた。

EPRパラドックス、隠れた変数、ベルの不等式、局所性と非局所性、そして量子の実在をめぐる議論‥‥当事者たちの論文や書簡、公の場での発言、討論などを集めた量子力学の大河ドラマは現代へと続く。
第二次大戦前、量子力学をめぐる解釈は、デンマークの首都コペンハーゲンにあるボーア研究所から発信された「コペンハーゲン解釈」に集約されていった。
だが、偉大なるアインシュタインは生涯、量子論を受け入れようとしなかった。ボーアは「アインシュタインが正しいのなら、物理学はもうおしまいだ」(232ページ)と呟いたという。
それでも、アインシュタインの科学者としての姿勢は確かなもので、1931年、不確定性原理のハイゼンベルクと、波動力学のシュレーディンガーをノーベル賞候補として推薦した。だが、アインシュタインの推薦は他の誰とも意見が合わず、ノーベル賞委員会が大混乱に陥った結果、1931年の物理学賞は該当者なしとなった。
そして、1933年1月末日、ヒトラーが政権に就くと、コペンハーゲン解釈に連なる物理学者たちは散り散りになってしまう。
この頃、心を病んだパウリは心理学者ユングに接触し、テレパシーについて考えるようになる。シュレーディンガーは、統計的確率と不確定原理を混同しているアインシュタインに異議を唱えるべく、のちに「シュレーディンガーの猫」と呼ばれる思考実験を発表する。
だが、アインシュタインは1942年、「私は一瞬たりとも、神がサイコロを振り『テレパシー』を使っていると信じたことはない」と語り、量子物理学者たちの意見を一蹴した。この結果、テレパシーやシュレーディンガーの猫についての誤った考えが、現代に伝わってしまった。アインシュタインは、それほどの影響力を持つ存在だった。
1935年、アインシュタイン、ポドルスキー、ローゼンは、量子論の波動関数によると、たとえ100億km離れていても瞬時に情報が伝わる、すなわち、特殊相対論が述べる因果律を破るような振る舞い(量子のもつれ)をすることを指摘した。この問題は3人の名前の頭文字をとって「EPRパラドックス」と呼ばれ、半世紀にわたって物理学界の悩みの種となった。
1960年代に入ると、スイスCERNと米ブルックヘヴン研究所のシンクロトロンが実稼動に入った。CERNでの研究に生涯を捧げることになるジョン・スチュワート・ベルは、コペンハーゲン解釈に疑問を感じていた。
EPRパラドックス、隠れた変数、ベルの不等式、局所性と非局所性、そして量子の実在をめぐる議論‥‥当事者たちの論文や書簡、公の場での発言、討論などを集めた量子力学の大河ドラマは現代へと続く。
(2018年1月7日 読了)
参考書籍
- 『宇宙線のひみつ』(藤井俊博,2025年7月)
- 『宇宙はいかに始まったのか ナノヘルツ重力波と宇宙誕生の物理学』(浅田 秀樹,2024年06月)
- 『多元宇宙(マルチバース)論集中講義』(野村泰紀,2024年03月)
- 『重力のからくり』(山田 克哉,2023年08月)
- 『宇宙・0・無限大』(谷口義明,2023年06月)
- 『時間の終わりまで』(ブライアン・グリーン/青木 薫,2023年05月)
- 『宇宙検閲官仮説』(真貝寿明,2023年02月)
- 『宇宙最強物質決定戦』(高水裕一,2023年02月)
- 『なぜ宇宙は存在するのか』(野村泰紀,2022年4月)
- 『宇宙を支配する「定数」』(臼田孝,2022年2月)
- 『物理学者、SF映画にハマる』(高水裕一,2021年10月)
- 『宇宙人と出会う前に読む本』(高水裕一,2021年7月)
- 『宇宙の終わりに何が起こるのか』(ケイティ・マック,2021年9月)
- 『宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と宇宙の旅』(谷口義明,2020年07月)
- 『時間は存在しない』(カルロ・ロヴェッリ,2019年8月)
- 『宇宙はなぜ哲学の問題になるのか』(伊藤邦武,2019年8月)
- 『宇宙は「もつれ」でできている』(ルイーザ・ギルダー,2016年10月)
- 『宇宙は「もつれ」でできている』(ルイーザ・ギルダー/山田 克哉/窪田 恭子,2016年10月)
- 『超巨大ブラックホールに迫る』(平林久,2017年02月)
- 『時間はどこで生まれるのか』(橋元淳一郎,2016年12月)
- 『真空のからくり』(山田 克哉,2013年10月)
- 『ホーキング 宇宙の始まりと終わり? 私たちの未来』(スティーヴン・ウィリアム・ホーキング/向井国昭,2008年10月)
- 『時間泥棒』(J.P.ホーガン,1995年12月)
参考サイト
- 宇宙は「もつれ」でできている:講談社
- 西暦1935年 - シュレーディンガーの猫:ぱふぅ家のホームページ
(この項おわり)
