3.1 if〜else文

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if~else文
JavaScriptを含むプログラミング言語には制御という仕組みが備わっており、条件によって計算式を切り換えたり、同じ計算式を繰り返し実行することができる。
制御を活用することで、Excel関数だけでは実現できなかった、さまざまな処理が実現できるようになる。
まず、if~else文の使い方から学んでゆくことにしよう。あわせて、JavaScriptの文とブロック文について説明する。プログラムの内容も、少しずつ実用的なものにステップアップしてゆく。

目次

サンプル・プログラム

4年に一度のうるう年

4年に一度のうるう年――入力した西暦年がうるう年かどうかを判定するプログラムが "ifElse1.html" である。

  19: <script>
  20: /**
  21:  * 判定と画面表示
  22: */
  23: function ifElse1() {
  24:     //変数宣言
  25:     let year = document.getElementById('year').value;   //西暦年
  26:     year = parseInt(year, 10);                          //10進整数化
  27: 
  28:     //うるう年判定(間違いがある)
  29:     let ret = '平年'
  30:     if (year % 4 === 0) {
  31:         ret = 'うるう年';
  32:     }
  33: 
  34:     //結果を表示する
  35:     document.getElementById('ret').innerHTML = ret;
  36: }
  37: </script>

これまで何度か出てきた if文を使って、「4年に一度」の判定をプログラムに実装した。
if文if (式) のように用い、式が true のとき、それに続くブロック {...} で囲まれた中身)を実行する。

このプログラムでは、まず、判定結果を格納するString型変数 ret に '平年' を代入しておく。
次に、if文を使い、西暦年が格納されたNumber型変数 year の4の剰余を計算し、計算結果が0でない(4で割り切れる)場合は、変数 ret に 'うるう年' を代入する。
最後に、変数 ret の内容を表示する。

正確なうるう年判定

「4年に一度、うるう年」というのは、じつは不正確である。
現在の西暦であるグレゴリオ暦で、うるう年は次のように定義されている。
  1. 4で割り切れる年はうるう年である。
  2. ただし、100で割り切れる年は平年である。
  3. ただし、400で割り切れる年はうるう年である。
西暦2000年は400で割り切れたので、うるう年だった。西暦2100年は100で割り切れるので、平年である。

  19: <script>
  20: /**
  21:  * 判定と画面表示
  22: */
  23: function ifElse2() {
  24:     //変数宣言
  25:     let year = document.getElementById('year').value;   //西暦年
  26:     year = parseInt(year, 10);                          //10進整数化
  27:     let ret;
  28: 
  29:     //うるう年判定(正確なもの)
  30:     if (year % 400 === 0) {
  31:         ret = 'うるう年';
  32:     } else if (year % 100 === 0) {
  33:         ret = '平年';
  34:     } else if (year % 4 === 0) {
  35:         ret = 'うるう年';
  36:     } else {
  37:         ret = '平年';
  38:     }
  39: 
  40:     //結果を表示する
  41:     document.getElementById('ret').innerHTML = ret;
  42: }
  43: </script>

これをプログラムにしたのが "ifElse2.html" である。
if~else文は次のようにして使う。
if (式1) {
    ブロック1
} else if (式2) {
    ブロック2
} else (式3) {
    ブロック3
}
  1. もし式1がtrueならブロック1を実行する。
  2. 式1がfalseであり、式2がtrueならブロック2を実行する
  3. 式1,式2がともにfalseであり、式3がtrueならブロック3を実行する。
式2・ブロック2は2つ以上書くことができる(必要がなければ省略できる)が、最初のif文と最後のelse文は各々1つずつである。

ここで if~else文 の順序に気をつけよう。
if (year % 4) を先頭に持ってくると、西暦2100年もうるう年になってしまう。
まず、グレゴリオ暦の定義を次のように並べ替える必要がある。
  1. もし西暦年を400で割り切れれば、うるう年である。
  2. そうでなければ、西暦年を100で割り切れれば、平年である。
  3. そうでなければ、西暦年を4で割り切れれば、うるう年である。
  4. そうでなければ、平年である
フロー図にすると下図のようになる。
うるう年の判定
うるう年の判定

式とブロック文

JavaScriptでは命令を文(statement)と呼び、セミコロン ; で区切る。
ret = 'うるう年';
複数の文をまとめてブレース {...} で区切ったものをブロック文と呼ぶ。
if~else文 は、条件によって、それに続くブロック文を実行するか否かを制御していると言える。

なお、"ifElse2.html" のようにブロック文の中の式が1つしかない場合、ブレース {...} を省略して次のように書くこともできる。
if (year % 400 === 0)      ret = 'うるう年';
else if (year % 100 === 0) ret = '平年';
else if (year % 4 === 0)   ret = 'うるう年';
else                      ret = '平年';
しかし、あとでプログラムを修正・改変するときに式が増えるといけないので、最初からブレース {...} で囲んでおいた方がメンテナンス性は高まる。
2.1 変数と定数 - グローバル変数とローカル変数」において、let 宣言した変数は、宣言したブロック内(ブロックスコープ)で通用するローカル変数になると説明した。
実用で使うことはあまりないが、制御を伴わないブロック文を使って、この作用を確認しておこう。

  19: <script>
  20: //ページのロード時に実行
  21: window.onload = function() {
  22:     let i = 1;                  //変数宣言・その1
  23:     {
  24:         let i = 2;              //変数宣言・その2
  25:         {
  26:             let i = 3;          //変数宣言・その3
  27:             document.getElementById('let1').innerHTML = i;
  28:         }
  29:         document.getElementById('let2').innerHTML = i;
  30:     }
  31:     document.getElementById('let3').innerHTML = i;
  32: }
  33: </script>

ローカル変数 i を3つ宣言しているが、各々の i は、お互いに影響を及ぼさないことがわかる。
ブロック文の中でのみ必要となる作業用変数は、ブロック文の中で let 宣言 して使うといい。

練習問題:if〜else文

練習問題:セミコロンの役割

コラム:ExcelのIF関数、他言語の制御文、フロー図

Excelアイコン
ExcelにもIF関数が備わっている。
うるう年の判定は、=IF(MOD(A1,400)=0,"うるう年",IF(MOD(A1,100)=0,"平年",IF(MOD(A1,4)=0,"うるう年","平年"))) とすることで実現はできるが、かなり読みにくくなってしまう。JavaScriptのように複数行にわたって書くことができるブロック文を制御する方が、読みやすい。
Pythonで "ifElse2.html" を書くと "ifElse3.py" 次のようになる。Pythonではブロック文をインデントで表す文法になっている。
# うるう年判定(正確なもの)
if year % 400 == 0:
	ret = 'うるう年'
elif year % 100 == 0:
	ret = '平年'
elif year % 4 == 0:
	ret = 'うるう年'
else:
	ret = '平年'

PHPの実装例は「PHPで閏年(うるう年)かどうか判定する」をご覧いただきたい。
他の言語も、おおむねJavaScriptと書き方は似ている。
制御の流れを表すのに、よくフロー図(流れ図、フローチャート)を使う。本文中でも紹介した。
1.3 四則計算と変数」のコラムで紹介したプログラミング電卓付属の「プログラム・ライブラリ」にもフロー図が掲載されており、とても参考になった。
プログラミングに慣れるまでは、手間を惜しまず、自力でフロー図を書くことをお勧めする。

また、プログラミングに慣れた方でも、プログラムをフロー図にして見直すことで、条件式を正規化することなどして、制御の流れをシンプルにすることができる場合がある。
短くシンプルなプログラムほどバグが少ない。一度、自作プログラムを見直してみてはいかがだろうか。

参考サイト

(この項おわり)
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