2.2 かけ算(小学2年)

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皿に並べたクッキーでかけ算を学ぶ教室
同じ数ずつのまとまりを一つの式に表す
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かけ算は、同じ数ずつのまとまりがいくつあるかを、短い式で表す計算である。例えば、1皿に3個ずつ載ったクッキーが4皿あれば、全部の個数は \(3\times4=12\) と表せる。
この項では、小学2年で学ぶかけ算の意味、倍、九九を確認し、乗算記号 \(\times\) を使った式を\( \TeX \)表記で記述する方法を学ぶ。

目次

本項で扱う範囲

本項の要点
小学2年同じ数ずつのまとまりをかけ算の式に表す
小学2年倍の意味を知り、乗法九九を使って計算する
\( \TeX \)乗算記号は \times で表す

教科書で見かける式

場面表示\( \TeX \)表記
3個ずつ4皿\(3\times4=12\)3 \times 4 = 12
5の3倍\(5\times3=15\)5 \times 3 = 15
順序を入れ替える\(3\times4=4\times3\)3 \times 4 = 4 \times 3

\( \TeX \)表記

かけ算の \(\times\) は、半角のバックスラッシュに命令名 times を続けた \times で表す。文中では \( 3 \times 4 = 12 \) のように数式の区切りで囲むと、\(3\times4=12\) と表示される。
式を独立した行に大きく表示するときは \[\] で囲む。入力時に数や命令の間へ半角空白を置くと読みやすいが、表示上の間隔は\( \TeX \)が調整する。 \[ 6 \times 7 = 42 \]

\( \TeX \)命令の読み方と意味

\times は「タイムズ」と読み、乗算記号 \(\times\) を表示する命令である。英語の times には、かけ算を読む「~倍」の意味がある。命令名の直前には半角のバックスラッシュを置く。日本語環境では、この文字が円記号に見える場合がある。
\(3\times4\) は、小学校の場面では「3が4つ分」または「3の4倍」と捉えられる。\(=\) は答えを書く合図ではなく、左辺と右辺が同じ数であることを表す。
\( \TeX \)表記読み方意味
\timesタイムズ乗算記号 \(\times\)
=イコール左右が等しい
\( ... \)インライン数式文中に式を置く
\[ ... \]ディスプレイ数式式を独立した行に置く

よくある間違い

英字の x を使う
乗算記号には、文字の x や全角の「×」ではなく \times を使う。\(2x3\) は、数学では文字を含む式と誤解されることがある。
命令のバックスラッシュを忘れる
times だけでは文字列になる。正しくは \times である。
命令名を大文字にする
\( \TeX \)命令は大文字と小文字を区別する。\Times ではなく \times と入力する。
まとまりの意味を確かめずに順序を決める
\(3\times4\) と \(4\times3\) の積は同じでも、「3個ずつ4皿」と「4個ずつ3皿」では表しているまとまりが異なる。問題の場面と式を対応させる。

コピーして使える例

文中に置くかけ算
\( 3 \times 4 = 12 \)
中央に置く九九
\[
6 \times 7 = 42
\]
順序を入れ替えた式
\( 3 \times 4 = 4 \times 3 \)

練習問題

次の問題を解き、式を\( \TeX \)表記で記述する。
  1. 1箱に鉛筆が5本ずつ入っている。箱が4箱あるとき、鉛筆は全部で何本か。
  2. \(7\times8\) を計算する。
  3. \(6\times3\) と積が同じになるよう、かける数とかけられる数を入れ替えた式を書く。
  4. 4の5倍を表す式と答えを書く。
解答例
  1. \(5\times4=20\) で、20本である。

    解答1の\( \TeX \)表記
    \( 5 \times 4 = 20 \)
  2. \(7\times8=56\) である。

    解答2の\( \TeX \)表記
    \( 7 \times 8 = 56 \)
  3. 順序を入れ替えると \(3\times6=18\) である。

    解答3の\( \TeX \)表記
    \( 6 \times 3 = 3 \times 6 = 18 \)
  4. 4の5倍は \(4\times5=20\) である。

    解答4の\( \TeX \)表記
    \( 4 \times 5 = 20 \)

学習指導要領上の位置づけ

小学校第2学年の算数では、学習指導要領の「A 数と計算」で乗法を扱う。同じ数ずつのまとまりや何倍という場面を通して乗法の意味を理解し、場面を式に表したり、式を具体的な場面と結び付けて読み取ったりする。また、乗法に関して成り立つ簡単な性質を理解し、乗法九九を構成して、1位数と1位数の乗法を確実に計算できるようにする。
本項は、これらの内容のうち、乗法の場面、倍、九九、かける順序を入れ替えても積が同じになる性質に対応する。一般的な文字を用いて計算法則を表すことは後の学年で扱うため、ここでは具体的な数の式に限る。\( \TeX \)表記は学習指導要領の学習内容ではなく、式をコンピュータ上で正確に表示する技術として扱う。

次項:わり算と余り

次項では、小学3年で学ぶわり算を取り上げる。同じ数ずつ分ける等分除と、同じ数ずつ幾つ分取れるかを考える包含除を比べ、余りのあるわり算と、かけ算を使って答えを確かめる方法を\( \TeX \)表記とともに紹介する。

コラム:九九の歩み

寺子屋で九九を学ぶ
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かけ算の組合せを覚えやすく並べた九九には長い歴史がある。中国では、紀元前のものとされる竹簡に九九に関係する表が残り、古い計算書では「九九八十一」から小さい積へ向かって唱える形も使われた。「九九」という名は、かつて表の冒頭に \(9\times9=81\) が置かれたことに由来するとされる。
日本には中国の数学や暦とともに計算法が伝わった。江戸時代には和算の広がりや寺子屋での学習を通して九九が普及し、日常の売買や測量にも役立った。現在の学校では一の段から九の段までを学び、暗唱だけでなく、同じ数を足すことや、前の積に一つ分を加えることから九九を自分で構成する活動も重視される。

コラム:乗算記号の由来

ウィリアム・オートレッド
ウィリアム・オートレッド
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現在の乗算記号 \(\times\) を印刷された数学書で広めた人物として、イングランドの聖職者・数学者ウィリアム・オートレッドが知られる。オートレッドは1631年(寛永8年)刊行の『Clavis Mathematicae(数学の鍵)』で、二つの量を掛ける記号として斜めの十字を使った。形はアルファベットの小文字 x に似ているが、数式では別の記号である。

乗法には \(\times\) 以外の表し方もある。ゴットフリート・ライプニッツは17世紀末、文字 x と紛らわしいことなどから点 \(\cdot\) を乗法に用いた。代数では \(3\times a\) を \(3a\)、\(a\times b\) を \(ab\) と書き、記号自体を省くことも多い。一方、小学校の算数や寸法の表記では、意味が目で分かりやすい \(\times\) が現在も広く使われている。

多くのプログラミング言語では、乗法演算子として \( * \) が用いられる。

コラム:かけ算の順序を重視する理由

皿に並べたクッキーでかけ算を学ぶ教室
同じ数ずつのまとまりを一つの式に表す
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冒頭の画像には、1皿にクッキーが3個ずつ載り、その皿が4枚ある。日本の小学算数で用いる「一つ分の大きさ×幾つ分」という捉え方では、一つ分の大きさである3が被乗数、幾つ分に当たる4が乗数なので、式は \(3\times4=12\) となる。単位を添えて考えると、「3個/皿×4皿=12個」と対応し、画像のどの数を式にしたかが分かりやすい。
中学の数学で学ぶように、乗法には交換法則があるため、\(3\times4\) と \(4\times3\) の積はともに12である。計算結果だけを問うなら、順序を入れ替えても値は変わらない。しかし、\(4\times3\) を同じ約束で読むと「一つ分が4で、それが3つ分」となり、冒頭の「3個ずつ4皿」とは異なるまとまり方を表す。ここで区別されるのは答えではなく、式による場面の表現である。

小学2年で順序を重視する第一の理由は、まだ乗法を学び始めた児童が、文章や図から「一つ分の大きさ」と「幾つ分」を見付け、乗法が使える場面を式へ翻訳できるようにするためである。九九の答えを暗記しているだけでは、この理解は確かめられない。二つの数量の役割を分けて捉える力は、後に「一つ分」や「幾つ分」を逆に求めるわり算、倍、割合、単位量当たりの大きさを学ぶ土台にもなる。

したがって、「逆順の式は数学として誤り」と説明するのは正確ではない。交換法則と、場面を表すための式の約束は別の話である。また、乗法をどちらの順序で書くかは国や教材の慣習によって異なる。授業では採用している約束を明らかにしたうえで、\(3\times4=4\times3\) という数の性質も認め、「同じ積になること」と「同じ見方で場面を表すこと」を切り分けるのが大切である。

参考サイト

(この項おわり)
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