2.7 分数の計算(小学3〜6年)

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分母をそろえて分数の加法を教える水奈
分数カードと数直線で通分を確かめる
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分数の計算では、加法・減法と乗法・除法で考え方が異なる。\( \displaystyle \frac{1}{2}+\frac{1}{3} \) は同じ大きさの単位にそろえてから分子を足すが、\( \displaystyle \frac{1}{2}\times\frac{1}{3} \) は分子同士と分母同士を掛ける。この違いを手順だけでなく、図や数量の意味と結び付けることが大切である。
この項では、通分、約分、逆数を使って分数の四則計算を整理し、\frac\times\divによる読みやすい\( \TeX \)表記を学ぶ。

目次

本項で扱う範囲

本項の要点
小学3年簡単な同分母分数の加法・減法を学ぶ
小学4年同分母分数と帯分数の加法・減法を学ぶ
小学5年約分・通分と異分母分数の加法・減法を学ぶ
小学6年分数の乗法・除法を学び、四則計算を完成させる
\( \TeX \)\frac\times\div を使う

教科書で見かける式

内容表示\( \TeX \)表記
同分母の加法\( \displaystyle \frac{2}{7}+\frac{3}{7}=\frac{5}{7} \)\frac{2}{7} + \frac{3}{7} = \frac{5}{7}
異分母の加法\( \displaystyle \frac{1}{2}+\frac{1}{3}=\frac{3}{6}+\frac{2}{6}=\frac{5}{6} \)\frac{1}{2} + \frac{1}{3} = \frac{3}{6} + \frac{2}{6} = \frac{5}{6}
乗法\( \displaystyle \frac{2}{3}\times\frac{5}{7}=\frac{10}{21} \)\frac{2}{3} \times \frac{5}{7} = \frac{10}{21}
除法\( \displaystyle \frac{2}{3}\div\frac{4}{5}=\frac{2}{3}\times\frac{5}{4}=\frac{5}{6} \)\frac{2}{3} \div \frac{4}{5} = \frac{2}{3} \times \frac{5}{4} = \frac{5}{6}

\( \TeX \)表記

同分母分数の加法・減法では、分母を変えずに分子を計算する。\( \displaystyle \frac{a}{c}+\frac{b}{c}=\frac{a+b}{c} \) である。異分母の場合は、分母の最小公倍数などを共通分母として通分する。\( \displaystyle \frac{1}{4}+\frac{1}{6} \) なら、\( \displaystyle \frac{3}{12}+\frac{2}{12}=\frac{5}{12} \) となる。
分数の乗法では \( \displaystyle \frac{a}{b}\times\frac{c}{d}=\frac{ac}{bd} \) とする。計算途中で分子と分母の共通因数を消すと、大きな数を扱わずに済む。例えば \( \displaystyle \frac{3}{4}\times\frac{10}{9}=\frac{1}{2}\times\frac{5}{3}=\frac{5}{6} \) である。

除法では、割る数の逆数を掛ける。\( \displaystyle \frac{a}{b}\div\frac{c}{d}=\frac{a}{b}\times\frac{d}{c} \) である。ただし、割る数 \( \displaystyle \frac{c}{d} \) は0であってはならない。帯分数を含む計算では、先に仮分数へ直す。整数を含むときは \( \displaystyle 3=\frac{3}{1} \) のように分母1の分数と考えられる。
計算後は約分し、必要に応じて仮分数を帯分数に直す。式変形では等号の左右が常に同じ値であることを確かめる。\fracの波括弧には分子と分母をそれぞれまとめて書く。

\( \TeX \)命令の読み方と意味

\( \TeX \)表記読み方意味
\frac{a}{b}フラクション分子 \( a \)、分母 \( b \) の分数を作る
\timesタイムズ乗算記号 \( \times \) を表示する
\divディバイド除算記号 \( \div \) を表示する
\cdotセンタード・ドット乗算を表す中央の点 \( \cdot \) を表示する

よくある間違い

分母同士を足す
\( \displaystyle \frac{1}{5}+\frac{2}{5}=\frac{3}{5} \) であり、\( \displaystyle \frac{3}{10} \) ではない。
異分母のまま分子だけを足す
\( \displaystyle \frac{1}{2}+\frac{1}{3} \) は通分して \( \displaystyle \frac{3}{6}+\frac{2}{6}=\frac{5}{6} \) とする。
加法でも分子同士と分母同士を計算する
\( \displaystyle \frac{a}{b}+\frac{c}{d} \) と \( \displaystyle \frac{a}{b}\times\frac{c}{d} \) の規則を混同しない。
除法で最初の分数を逆数にする
逆数にするのは割る数だけである。
斜めの数を加法で約分する
積を作る乗法と異なり、加法の項をまたいで数を消してはならない。
帯分数のまま乗除する
帯分数は仮分数へ直してから計算する。

コピーして使える例

異分母の加法
\( \displaystyle \frac{1}{3} + \frac{1}{4} = \frac{4}{12} + \frac{3}{12} = \frac{7}{12} \)
途中で約分する乗法
\( \displaystyle \frac{3}{4} \times \frac{10}{9} = \frac{1}{2} \times \frac{5}{3} = \frac{5}{6} \)
逆数を掛ける除法
\( \displaystyle \frac{2}{3} \div \frac{4}{5} = \frac{2}{3} \times \frac{5}{4} = \frac{5}{6} \)

練習問題


次の問題を解き、式を\( \TeX \)表記で記述する。
  1. \( \displaystyle \frac{3}{8}+\frac{1}{8} \)
  2. \( \displaystyle \frac{5}{6}-\frac{1}{4} \)
  3. \( \displaystyle \frac{7}{10}\times\frac{15}{14} \)
  4. \( \displaystyle \frac{3}{5}\div\frac{9}{10} \)
  5. \( \displaystyle 1\frac{1}{2}+\frac{2}{3} \)
解答例
  1. \( \displaystyle \frac{3}{8}+\frac{1}{8}=\frac{4}{8}=\frac{1}{2} \)
  2. \( \displaystyle \frac{5}{6}-\frac{1}{4}=\frac{10}{12}-\frac{3}{12}=\frac{7}{12} \)
  3. \( \displaystyle \frac{7}{10}\times\frac{15}{14}=\frac{3}{4} \)
  4. \( \displaystyle \frac{3}{5}\div\frac{9}{10}=\frac{3}{5}\times\frac{10}{9}=\frac{2}{3} \)
  5. \( \displaystyle 1\frac{1}{2}+\frac{2}{3}=\frac{3}{2}+\frac{2}{3}=\frac{13}{6}=2\frac{1}{6} \)

学習指導要領上の位置づけ

小学校第3学年の算数「A 数と計算」では、分数の意味と表し方を知り、簡単な同分母分数の加法・減法を扱う。第4学年では真分数、仮分数、帯分数と等しい分数を学び、同分母分数の加法・減法について理解を深める。
第5学年では約分と通分を基礎として、異分母分数の加法・減法を扱う。第6学年では分数の乗法・除法へ進み、計算の意味や性質を図、式、数直線などと関連付ける。アルゴリズムを覚えるだけでなく、単位分数や演算の意味を説明できることも重視される。

次項:単位――長さ、かさ、重さ、時間、速さ(小学1~6年)

次項では、長さ、かさ、重さ、時間、速さの単位を取り上げる。単位換算と数量の関係を整理し、単位を添えた読みやすい\( \TeX \)表記を紹介する。

コラム:分数でつまづく背景

「分数の意味」がつかめない壁(小学3~4年)
分数は小数より早く登場するため、「数は1、2、3のように増えていくもの」という感覚が強い段階で、1より小さい数を捉える必要がある。また、「全体を1とする」ときの全体は、いつも一つの物とは限らない。ケーキ1個を3等分する場面は想像しやすいが、8個のみかん全体を1と見て、その \( \displaystyle \frac{1}{4} \) が2個であると考える場面では、単位となる全体を見失いやすい。分数では、書かれた整数の大きさだけで量を比べられない。単位分数 \( \displaystyle \frac{1}{n} \) は、分母 \( n \) が大きくなるほど1つ分が小さくなる。分母を「分けた数」、分子を「その何個分」として図に対応させることが重要である。
「通分・約分・異分母計算」の壁(小学5年)
加法で分母同士まで足し、\( \displaystyle \frac{1}{2}+\frac{1}{3}=\frac{2}{5} \) としてしまう誤りがある。分母の異なる分数は、同じ大きさの単位分数へそろえなければ足せない。通分には小学5年で学んだばかりの倍数と公倍数を、約分には公約数と最大公約数を応用するため、前提となる整数の知識が不安定だと処理の負担が大きくなる。答えが出ても約分を忘れる場合は、分子と分母の共通因数を探す習慣を付けたい。
「分数の掛け算・割り算」の壁(小学6年)
自然数だけを扱った経験から、「掛ければ大きくなり、割れば小さくなる」と思い込みやすい。しかし、\( \displaystyle \frac{1}{2} \) を掛けることは半分にすることであり、1より小さい数を掛けると積は元の数より小さくなる。また、除法を「割る数の分子と分母を入れ替えて掛ける」という手順だけで暗記すると、その意味を説明できず、文章題でどちらをどちらで割るか判断できなくなる。
分数でつまずかないために
計算手順の反復だけでなく、テープ図、数直線、ピザの絵、分数カードなどを使い、「全体は何か」「1つ分はどれだけか」「何個分あるか」を視覚的に確かめることが不可欠である。式、言葉、図、具体物を行き来できるようになると、通分や逆数も意味のある操作として理解しやすくなる。

コラム:理系大学生が分数計算を理解していない?

理系大学生でも分数計算ができない」という話を耳にすることがある。基礎計算につまずく大学生が一定数いることや、大学で数学の補習が行われていることは事実である。しかし、単純な分数の四則計算ができない理系新入生の割合を示す、現在の全国一斉調査は見当たらない。「理系大学生の多くができない」とまで一般化するのは適切でない。
第一回 大学生数学基本調査報告書は、2011年(平成23年)に48大学の新入生5,946人を対象として、小中学校から数学Iまでの基礎的な数学力を調べた。対象には文系も含まれ、中心となる設問は論理、平均、関数、作図などであるため、これを「理系学生の分数計算の全国正答率」と読むことはできない。

また、リメディアル教育を実施する大学・学科が多いことは、学生全員の不得意を意味しない。高大接続に関する調査では、リメディアル教育を実施している学科が扱う教科のうち数学は62.4%であったが、これは学生の62.4%が分数を計算できないという数字ではない。
「分数ができない」も、単純な数の通分ができない、符号を間違える、文字を含む分数式を整理できない、計算手順は知っていても意味を説明できない、という異なる状態を含む。したがって、一部の学生には基礎の学び直しが必要である一方、大学、学部、入試方式、設問の難しさを区別せず「理系大学生は分数ができない」と断定してはならない。

コラム:分数を表せるプログラミング言語

コンピュータの小数は一般に浮動小数点数であり、\( 0.1 \) のような値を2進数で有限桁に表せない場合がある。分子と分母を整数で保持する有理数型なら、\( \displaystyle \frac{1}{3}+\frac{1}{6}=\frac{1}{2} \) を丸めずに計算できる。代表的な言語と機能は次の通りである。
  1. Python:標準ライブラリの fractions.Fraction
  2. Common Lisp:標準数値体系の ratio
  3. Scheme:正確数としての有理数を扱える処理系
  4. Clojure:整数同士の除算から ratio を作れる
  5. Raku:標準の Rat
  6. JuliaRational 型を 1//3 の形で生成
  7. Ruby:標準ライブラリで利用できる Rational
  8. HaskellData.RatioRatio
組み込み型、標準ライブラリ、外部パッケージのどこまでを「言語が表せる」と呼ぶかには違いがある。また、有理数型では計算を重ねると分子と分母が巨大になる場合がある。
Pythonでは次のように Fraction を使う。整数二つから生成すれば、約分、通分、四則計算が自動的に行われる。

小数の文字列からも Fraction("0.1") のように生成でき、この値は正確に \( \displaystyle \frac{1}{10} \) となる。一方、すでに2進浮動小数点数となった 0.1 を渡すと、その近似値を正確な分数として取り込むため、分子と分母が大きくなる。正確な十進値が必要なら、整数の組または文字列から生成するのが安全である。
Pythonによる分数計算
from fractions import Fraction
a = Fraction(1, 3)
b = Fraction(1, 6)
print(a + b)                    # 1/2
print(Fraction(5, 6) - Fraction(1, 4))  # 7/12
print(Fraction(3, 4) * Fraction(10, 9)) # 5/6
print(Fraction(2, 3) / Fraction(4, 5))  # 5/6
print(Fraction(18, 24))         # 3/4(自動で約分)

参考サイト

(この項おわり)
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