2.10 面積と体積(小学4〜6年)

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方眼紙と立体模型を使って面積と体積を教える水奈
単位正方形と単位立方体を数え、公式の意味を確かめる
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面積は平面の広さ、体積は立体が占める空間の大きさである。どちらも、決められた大きさの単位がいくつ分あるかを表す。例えば、縦 \( 3\,\mathrm{cm} \)、横 \( 4\,\mathrm{cm} \) の長方形には、一辺 \( 1\,\mathrm{cm} \) の正方形が \( 12 \) 個並ぶので、面積は \( 12\,\mathrm{cm}^2 \) である。
この項では、小学4~6年で学ぶ面積と体積の公式を整理し、\( S=ab \)、\( V=abc \)、\( \pi r^2 \) などを読みやすく表す\( \TeX \)表記を学ぶ。

目次

本項で扱う範囲

本項の要点
小学4年面積の意味と単位、長方形・正方形の面積を学ぶ
小学5年三角形・平行四辺形・台形・ひし形の面積、直方体・立方体の体積を学ぶ
小学6年円の面積、角柱・円柱の体積を学ぶ
単位面積の \( \mathrm{cm}^2,\mathrm{m}^2 \) と体積の \( \mathrm{cm}^3,\mathrm{m}^3 \) を区別する
\( \TeX \)^2^3\frac\pi\mathrm を使う

教科書で見かける式

図形と量公式
長方形の面積\( S=a\times b \)\( 6\times4=24\,\mathrm{cm}^2 \)
正方形の面積\( S=a\times a \)\( 5\times5=25\,\mathrm{cm}^2 \)
三角形の面積\( S=a\times h\div2 \)\( 8\times5\div2=20\,\mathrm{cm}^2 \)
平行四辺形の面積\( S=a\times h \)\( 7\times4=28\,\mathrm{cm}^2 \)
台形の面積\( S=(a+b)\times h\div2 \)\( (5+9)\times4\div2=28\,\mathrm{cm}^2 \)
ひし形の面積\( S=d_1\times d_2\div2 \)\( 6\times8\div2=24\,\mathrm{cm}^2 \)
円の面積\( S=\pi\times r\times r \)\( 3.14\times4\times4=50.24\,\mathrm{cm}^2 \)
直方体の体積\( V=a\times b\times c \)\( 5\times3\times2=30\,\mathrm{cm}^3 \)
角柱・円柱の体積\( V=S\times h \)\( 12\times5=60\,\mathrm{cm}^3 \)

表中の \( \pi \) は円周率を表す記号である。小学校算数では、円周率を \( 3.14 \) として計算する。

\( \TeX \)表記

面積は、基準となる正方形がいくつ敷き詰められるかで測る。一辺 \( 1\,\mathrm{cm} \) の正方形一つ分が \( 1\,\mathrm{cm}^2 \) であり、「平方センチメートル」と読む。長方形の面積は縦と横の単位正方形の個数を掛けるので、辺の長さを \( a,b \) とすると \( S=ab \) である。正方形では二辺が等しいため \( S=a^2 \) となる。
三角形は、同じ形を組み合わせると平行四辺形になるので \( \displaystyle S=\frac{1}{2}ah \) である。平行四辺形は \( S=ah \)、台形は平行な二辺を \( a,b \) として \( \displaystyle S=\frac{1}{2}(a+b)h \) である。いずれも \( h \) は底辺に垂直な高さを表す。

円の面積は、半径を \( r \)、円周率を \( \pi \) とすると \( S=\pi r^2 \) である。小学校の計算では、問題の指示に従って円周率を \( 3.14 \) とする。半径と直径を取り違えず、直径が与えられたら \( \displaystyle r=\frac{d}{2} \) として半径を求める。
体積は、基準となる立方体がいくつ詰められるかで測る。一辺 \( 1\,\mathrm{cm} \) の立方体一つ分が \( 1\,\mathrm{cm}^3 \) である。直方体は \( V=abc \)、立方体は \( V=a^3 \) となる。角柱と円柱では、底面積を \( S \)、高さを \( h \) とすれば、どちらも \( V=Sh \) とまとめられる。

円と円周率

小学3年では、円を「一つの点から等しい距離にある点の集まり」と捉え、中心、半径、直径を学ぶ。直径は半径の2倍なので \( d=2r \) である。球についても、中心から表面までの距離がどこでも等しいことを確かめる。
小学5年では、円周の長さが直径に比例し、その割合が円周率 \( \pi \) であることを学ぶ。円周を \( C \)、直径を \( d \) とすると \( C=\pi d=2\pi r \) である。小学校では通常 \( \pi=3.14 \) として計算する。

小学6年では、円を細い扇形に分けて交互に並べると、底辺がおよそ円周の半分 \( \pi r \)、高さが半径 \( r \) の平行四辺形に近づくことから、円の面積 \( S=\pi r^2 \) を導く。円周は長さ、円の面積は広さなので、単位をそれぞれ \( \mathrm{cm} \)、\( \mathrm{cm}^2 \) のように区別する。

見取図・展開図・ものの位置の表し方

TikZで描いた直方体の見取図と展開図
TikZで作図し、WebPへ変換した直方体の見取図と展開図
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見取図は、立体の形や辺・面の関係が分かるよう平面上へ表した図である。展開図は、立体の辺を切り開いて面を平面へ並べた図であり、折ったときに重なる辺や向かい合う面を確かめる。ものの位置は、基準点から「右へ、奥へ、上へ」のように三つの方向の距離を順序立てて表す。

通常のLaTeXでは、TikZを使って見取図や展開図を座標から作図できる。例えば \draw (0,0) rectangle (3,2); は長方形を描く命令であり、複数の面を座標で配置すれば展開図になる。ただし、本サイトのKaTeXはTikZを実行できないため、作図結果をSVGまたはWebPへ変換してから `` で表示する。
TikZによる直方体の見取図
\begin{tikzpicture}[scale=0.8]
\draw (0,0) rectangle (3,2);
\draw (0,2) -- (1,3) -- (4,3) -- (3,2);
\draw (3,0) -- (4,1) -- (4,3);
\draw[dashed] (0,0) -- (1,1) -- (4,1);
\draw[dashed] (1,1) -- (1,3);
\end{tikzpicture}

概形とおよその面積・体積

形が複雑で公式をそのまま使えないときは、全体の概形を長方形、三角形、円、直方体などとみなし、およその面積や体積を求める。湖を長方形とみなす、島をいくつかの三角形へ分ける、岩を直方体とみなすなど、目的に合う単純な図形へ近似する。

見積もりでは、どの図形とみなしたか、どの長さを測ったか、単位は何かを明記する。内側に収まる図形と外側を囲む図形の両方を考えると、答えが入る範囲を見積もれる。細かく分けるほど正確になりやすいが、測定や計算の手間も増えるため、必要な精度との釣り合いが大切である。

\( \TeX \)命令の読み方と意味

\( \TeX \)表記読み方意味
a^2エーの二乗^ に続く文字を右上に置き、\( a^2 \) と表示する
a^3エーの三乗体積などで使う \( a^3 \) を表示する
\frac{1}{2}フラク分子と分母を指定し、分数 \( \displaystyle \frac{1}{2} \) を表示する
\piパイ円周率の記号 \( \pi \) を表示する
\timesタイムズ掛け算記号 \( \times \) を表示する
\mathrm{cm}^2ローマン単位を立体のローマン体にして \( \mathrm{cm}^2 \) と表示する
\,シンスペース数値と単位の間に狭い空白を入れる

よくある間違い

面積と体積の単位を混同する
面積には \( \mathrm{cm}^2 \)、体積には \( \mathrm{cm}^3 \) を使う。
単位をそろえずに計算する
\( \mathrm{cm} \) と \( \mathrm{m} \) が混在するときは、先に同じ単位へ換算する。
斜めの辺を高さにする
高さは底辺に垂直な長さであり、斜辺の長さとは限らない。
三角形や台形で2分の1を忘れる
どの図形から公式を作ったかを図で確かめる。
円の直径を半径として使う
直径 \( d \) なら半径は \( \displaystyle r=\frac{d}{2} \) である。
円周率まで二乗する
\( 3.14r^2 \) を \( (3.14r)^2 \) としない。二乗するのは半径 \( r \) だけである。
直方体の三辺を足す
体積は縦、横、高さを掛けて \( V=abc \) とする。

コピーして使える例

三角形の面積
\( \displaystyle S = \frac{1}{2}ah \)
台形の面積
\( \displaystyle S = \frac{1}{2}(a + b)h \)
円の面積
\( S = \pi r^2 \)
直方体の体積
\( V = abc \)
角柱・円柱の体積
\( V = Sh \)

練習問題


次の問題を解き、式と答えを\( \TeX \)表記で記述する。
  1. 縦 \( 7\,\mathrm{cm} \)、横 \( 9\,\mathrm{cm} \) の長方形の面積を求める。
  2. 底辺 \( 12\,\mathrm{cm} \)、高さ \( 5\,\mathrm{cm} \) の三角形の面積を求める。
  3. 上底 \( 4\,\mathrm{cm} \)、下底 \( 10\,\mathrm{cm} \)、高さ \( 6\,\mathrm{cm} \) の台形の面積を求める。
  4. 半径 \( 5\,\mathrm{cm} \) の円の面積を、円周率 \( 3.14 \) として求める。
  5. 縦 \( 6\,\mathrm{cm} \)、横 \( 4\,\mathrm{cm} \)、高さ \( 3\,\mathrm{cm} \) の直方体の体積を求める。
  6. 底面積 \( 20\,\mathrm{cm}^2 \)、高さ \( 8\,\mathrm{cm} \) の角柱の体積を求める。
解答例
  1. \( 7\times9=63\,\mathrm{cm}^2 \)
  2. \( \displaystyle \frac{1}{2}\times12\times5=30\,\mathrm{cm}^2 \)
  3. \( \displaystyle \frac{1}{2}\times(4+10)\times6=42\,\mathrm{cm}^2 \)
  4. \( 3.14\times5^2=78.5\,\mathrm{cm}^2 \)
  5. \( 6\times4\times3=72\,\mathrm{cm}^3 \)
  6. \( 20\times8=160\,\mathrm{cm}^3 \)

学習指導要領上の位置づけ

小学校算数の「B 図形」では、図形を構成する要素に着目し、面積や体積の求め方を考察して公式へまとめる。第4学年では、面積の単位 \( \mathrm{cm}^2,\mathrm{m}^2,\mathrm{km}^2 \) と長方形・正方形の面積を扱う。第5学年では、三角形、平行四辺形、ひし形、台形の面積を、既習の図形へ分割・変形する活動を通して求める。また、体積の単位 \( \mathrm{cm}^3,\mathrm{m}^3 \) と直方体・立方体の体積を学ぶ。
第6学年では、円を等分して並べ替えるなどの操作から円の面積を考え、角柱・円柱については底面積と高さの積として体積を捉える。公式を暗記するだけでなく、単位正方形や単位立方体の個数、図形の分割・合成、既習の公式とのつながりを用いて説明することが大切である。

次項:倍数、約数、最大公約数、最小公倍数(小学5年)

次項では、倍数と約数の意味、最大公約数と最小公倍数の求め方を取り上げる。約数の集合、素因数分解を使った表し方など、数の関係を読みやすくする\( \TeX \)表記を紹介する。

コラム:公式は単位の数え方

平面図形と立体図形
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面積や体積の公式は、ばらばらな暗記事項ではない。縦 \( a \)、横 \( b \) の長方形に並ぶ単位正方形の個数は、一列に \( a \) 個、その列が \( b \) 列あるので \( ab \) 個になる。直方体では、一段に \( ab \) 個の単位立方体が並び、その段が \( c \) 段あるため \( abc \) 個になる。
三角形や台形も、切って移動したり、同じ形をもう一つ組み合わせたりすれば長方形や平行四辺形へ変えられる。円は細かい扇形に分けて交互に並べると、およそ縦 \( r \)、横 \( \pi r \) の長方形になる。公式を忘れたときは、知っている図形へ変形し、何を掛け、なぜ \( \displaystyle \frac{1}{2} \) にするのかを考えると導き直せる。

コラム:面積・体積でつまずくポイントと対策

小学生が面積・体積でつまずくのは、単に公式を覚えていないからではない。「概念の理解」「単位の変換」「図形のイメージ」という三つの大きな壁があるためである。学年が上がるにつれて内容の抽象度が高くなり、苦手意識も生まれやすい。ここでは、具体的なつまずきと攻略のコツを整理する。

長さと広さ・かさの混同
周りの長さと面積を混同し、縦 \( 3\,\mathrm{cm} \)、横 \( 4\,\mathrm{cm} \) の長方形で \( 3+4+3+4=14 \) と計算することがある。「縦×横」を丸暗記し、何を数えているのか理解できていない場合もある。これは、長さという一次元の量と、広さという二次元の量の違いを感覚的に捉えられていないためである。一辺 \( 1\,\mathrm{cm} \) の正方形が何個敷き詰められるかという基本へ戻るとよい。縦に3個、横に4個並ぶので \( 3\times4=12 \) 個分になる。方眼紙や正方形のカードを使い、敷き詰めを目で確かめることが攻略のコツである。
単位換算の桁数の多さ
\( 1\,\mathrm{m}^2=100\,\mathrm{cm}^2 \) と誤解したり、\( 1\,\mathrm{m}^3=1000000\,\mathrm{cm}^3 \) のゼロの多さに混乱したりすることがある。アール \( \mathrm{a} \)、ヘクタール \( \mathrm{ha} \)、リットル \( \mathrm{L} \)、ミリリットル \( \mathrm{mL} \) の換算もつまずきやすい。長さでは \( 1\,\mathrm{m}=100\,\mathrm{cm} \) だが、面積では縦と横の両方、体積では縦・横・高さのすべてを換算するので倍率が変わる。数値を丸暗記せず、一辺 \( 1\,\mathrm{m} \) の正方形を描き、\( 100\,\mathrm{cm}\times100\,\mathrm{cm}=10000\,\mathrm{cm}^2 \) と導くと理解しやすい。
図形の変形と公式の根拠
平行四辺形や三角形で、斜めの辺を高さだと思ったり、鈍角三角形の外側に延びる高さを見つけられなかったりする。円の面積を求める「半径×半径×3.14」も、円周の長さを求める式と混同しやすい。公式を形だけで覚え、図形を長方形や平行四辺形へ変形できるという根拠が見えていないことが原因である。底辺と高さは必ず垂直に交わることを、三角定規で確かめるとよい。紙を切って並べ替え、「三角形は同じ底辺と高さをもつ平行四辺形の半分」「円は細かな扇形に分けて並べると長方形に近づく」と体験することで、等積変形と公式を結び付けられる。
立体の見えない部分のイメージ
見取図や展開図から奥の辺や見えない面を想像できない、L字型や凹凸のある立体をどう切り分けるか分からない、水槽へ石を入れたときの水位の変化を捉えられない、といったつまずきがある。紙という二次元の上に描かれた立体を、頭の中で三次元へ組み立て直す空間認識が必要になるためである。積み木、箱、サイコロなどを実際に組み立て、分けたり合わせたりする経験を増やすとよい。体積も、一辺 \( 1\,\mathrm{cm} \) の単位立方体が一段に何個あり、それが何段積み重なるかと考えれば、「底面積×高さ」の意味が見える。
学年主なテーマつまずくポイント
小学4年長方形・正方形の面積、\( \mathrm{a} \) と \( \mathrm{ha} \)単位換算、周りの長さとの混同
小学5年三角形・平行四辺形・台形・ひし形、直方体・立方体の体積底辺と高さの垂直関係、図形の外側にある高さ、複合立体の分割
小学6年円の面積、角柱・円柱の体積、おうぎ形3.14の計算、円周と面積の混同、複合図形

コラム:円周率

円周率を内接多角形と外接多角形で調べる図
円を多角形で挟み、円周率へ近づく
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「小学校では円周率を3と教える」という話は誤解である。小学校では円周率に3.14を用いる。目的に応じて3を使うのは、直径10 cmの円周を約30 cmと素早く見積もるような場面であり、円周率を3と定義するためではない。

円周率の研究は古代に始まった。紀元前3世紀、アルキメデスは円に内接・外接する96角形を用いて、\( \displaystyle \frac{223}{71}<\pi<\frac{22}{7} \) と評価した。これは現在の小数でおよそ \( 3.1408<\pi<3.1429 \) であり、3.14に近い値を幾何学的に確かめたことになる。

円周率 \( \pi=3.14159265\ldots \) は整数の比では表せない無理数であり、小数部分は循環せず無限に続く。現代では計算公式、アルゴリズム、コンピュータの性能を確かめる課題として桁数の記録が更新されている。C++で円周率を計算するなど、プログラムで近似することもできる。

参考サイト

(この項おわり)
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