2.11 倍数、約数、最大公約数、最小公倍数(小学5年)

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数カードを並べて倍数と約数を教える水奈
数カードを並べて倍数と約数を教える
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倍数と約数は、整数どうしの割り切れる関係を二つの側から見たものである。例えば \( 12=3\times4 \) なので、\( 12 \) は \( 3 \) の倍数であり、\( 3 \) は \( 12 \) の約数である。二つ以上の数に共通する倍数や約数を調べると、最小公倍数や最大公約数が見つかる。
この項では、数を書き並べる方法を中心に意味と求め方を整理し、集合、縦線、省略記号などを使って数の関係を読みやすく表す\( \TeX \)表記を学ぶ。

目次

本項で扱う範囲

本項の要点
小学5年整数の倍数と約数、公倍数と公約数の意味を学ぶ
求め方数を書き並べ、最小公倍数と最大公約数を見つける
活用周期が重なる時刻や、同じ大きさに分ける問題へ利用する
発展素因数分解やユークリッドの互除法とのつながりを知る
\( \TeX \)\mid、\nmid、\{ \}、\dots を使う

教科書で見かける式

内容例意味
倍数6, 12, 18, 24, …6に整数を掛けてできる数
約数1, 2, 3, 4, 6, 1212を割り切る整数
公倍数12, 24, 36, …3と4に共通する倍数
最小公倍数\( \operatorname{lcm}(3,4)=12 \)正の公倍数のうち最も小さい数
公約数1, 2, 3, 612と18に共通する約数
最大公約数\( \gcd(12,18)=6 \)公約数のうち最も大きい数
割り切れる関係\( 3\mid12 \)3は12の約数である
割り切れない関係\( 5\nmid12 \)12は5では割り切れない

\( \TeX \)表記

倍数、公倍数、最小公倍数、約数、公約数、最小公約数
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自然数 \( a \) に \( 1,2,3,\dots \) を掛けてできる数を \( a \) の倍数という。例えば、\( 4 \) の正の倍数の集合は \( \{4,8,12,16,\dots\} \) と表せる。倍数はどこまでも続くので最大の倍数はない。小学校では通常、正の倍数を考え、\( 0 \) を倍数の列へ含めない扱いが多い。
自然数 \( a \) を余りなく割り切る自然数を \( a \) の約数という。\( 12 \) の約数の集合は \( \{1,2,3,4,6,12\} \) である。約数は \( 1\times12 \)、\( 2\times6 \)、\( 3\times4 \) のように積が \( 12 \) になる組で探すと、漏れや重複を防げる。

二つ以上の数に共通する倍数を公倍数、そのうち最も小さい正の数を最小公倍数という。\( 6 \) と \( 8 \) では、\( 6 \) の倍数 \( \{6,12,18,24,\dots\} \) と \( 8 \) の倍数 \( \{8,16,24,32,\dots\} \) を比べると、最小公倍数は \( 24 \) である。すべての公倍数は最小公倍数の倍数になる。
共通する約数を公約数、そのうち最も大きい数を最大公約数という。\( 12 \) と \( 18 \) の公約数は \( \{1,2,3,6\} \) なので、最大公約数は \( 6 \) である。すべての公約数は最大公約数の約数になる。

発展的には素因数分解でも求められる。\( 12=2^2\times3 \)、\( 18=2\times3^2 \) のとき、共通する素因数を少ない個数だけ取れば \( \gcd(12,18)=2\times3=6 \) となる。両方に必要な素因数を多い個数だけ取れば \( \operatorname{lcm}(12,18)=2^2\times3^2=36 \) となる。
二つの正の整数 \( a,b \) には \( \gcd(a,b)\times\operatorname{lcm}(a,b)=ab \) という関係もある。小学校では数を書き並べる方法を確実にし、素因数分解や公式は中学校以降へつながる見方として扱うとよい。

\( \TeX \)命令の読み方と意味

\( \TeX \)表記読み方意味
\midミッド割り切る関係の縦線を表示し、3\mid12 を \( 3\mid12 \) とする
\nmidノット・ミッド割り切れない関係を \( 5\nmid12 \) と表示する
\{1,2,3\}ブレース波括弧で要素を囲み、集合 \( \{1,2,3\} \) を表示する
\dotsドッツ数の並びが続くことを \( 4,8,12,\dots \) と表す
\gcdジー・シー・ディー最大公約数を表す upright 体の \( \gcd \) を表示する
\operatorname{lcm}オペレーター・ネーム最小公倍数を表す演算子 \( \operatorname{lcm} \) を表示する
^2二乗同じ素因数が2個あることを \( 2^2 \) のように表す
\bmodモッド割り算の余りを求める演算を \( 18\bmod12 \) と表示する

よくある間違い

倍数と約数を逆にする
\( 12=3\times4 \) では、\( 12 \) は \( 3 \) の倍数、\( 3 \) は \( 12 \) の約数である。
倍数を足し算だけで探す
\( 6 \) の倍数は \( 6\times1,6\times2,6\times3,\dots \) と整数を掛けて確認する。
約数を途中で探すのをやめる
積が元の数になる組を小さい数から調べる。\( 24 \) なら \( 1\times24,2\times12,3\times8,4\times6 \) である。
公倍数を二つの倍数の和だと考える
公倍数は二つの数の両方で割り切れる数である。\( 6+8=14 \) は \( 6 \) と \( 8 \) の公倍数ではない。
最小公倍数を小さい方の数にする
小さい方が大きい方を割り切る場合を除き、最小公倍数はどちらか一方より大きくなる。倍数を実際に並べて確かめる。
最大公約数を共通する最大の倍数にする
最大公約数は両方を割り切る数である。\( 12 \) と \( 18 \) なら \( 6 \) である。
1を約数から除く
\( 1 \) はすべての自然数の約数であり、どの二つの自然数にも公約数 \( 1 \) がある。
最大公約数と最小公倍数の用途を混同する
同じ大きさに分ける問題では最大公約数、周期が初めて重なる問題では最小公倍数を使う。

コピーして使える例

倍数の集合
\( \{6, 12, 18, 24, \dots\} \)
約数の集合
\( \{1, 2, 3, 4, 6, 12\} \)
割り切れる関係
\( 3 \mid 12 \)
最大公約数
\( \gcd(12, 18) = 6 \)
最小公倍数
\( \operatorname{lcm}(6, 8) = 24 \)
素因数分解による表現
\( 12 = 2^2 \times 3,\quad 18 = 2 \times 3^2 \)

練習問題


次の問題を解き、必要な式を\( \TeX \)表記で記述する。
  1. \( 7 \) の倍数を小さい方から五つ書く。
  2. \( 36 \) の約数をすべて書く。
  3. \( 8 \) と \( 12 \) の公倍数を小さい方から三つ書き、最小公倍数を求める。
  4. \( 24 \) と \( 36 \) の公約数をすべて書き、最大公約数を求める。
  5. 赤いランプは \( 6 \) 秒ごと、青いランプは \( 8 \) 秒ごとに点灯する。同時に点灯してから、次に同時に点灯するのは何秒後か。
  6. 縦 \( 24\,\mathrm{cm} \)、横 \( 36\,\mathrm{cm} \) の長方形の紙を、余りなく同じ大きさの正方形へ切り分ける。正方形の一辺を最も長くすると何 \( \mathrm{cm} \) か。
解答例
  1. \( \{7,14,21,28,35\} \)
  2. \( \{1,2,3,4,6,9,12,18,36\} \)
  3. 公倍数は \( \{24,48,72,\dots\} \)、最小公倍数は \( \operatorname{lcm}(8,12)=24 \)
  4. 公約数は \( \{1,2,3,4,6,12\} \)、最大公約数は \( \gcd(24,36)=12 \)
  5. \( \operatorname{lcm}(6,8)=24 \) より、24秒後
  6. \( \gcd(24,36)=12 \) より、\( 12\,\mathrm{cm} \)

学習指導要領上の位置づけ

小学校算数の第5学年「A 数と計算」では、整数の性質に着目し、倍数や約数について理解する。整数を偶数と奇数に分ける見方とともに、乗法や除法を基に倍数、約数、公倍数、公約数を考え、数の構成についての感覚を豊かにする内容である。
指導では用語や求め方だけを覚えるのではなく、具体的な場面と結び付けることが大切である。周期的な出来事が初めて重なる場面は最小公倍数、物を余りなく同じ数ずつ分けたり、同じ大きさに区切ったりする場面は最大公約数と対応する。数を書き並べ、なぜその答えになるかを説明する活動が、中学校で学ぶ素数や素因数分解の基礎になる。

次項:割合と百分率(小学5年)

次項では、基準量、比較量、割合の関係と、百分率や歩合による表し方を取り上げる。小数、分数、パーセントを行き来しながら、割合の式を読みやすくする\( \TeX \)表記を紹介する。

コラム:「最大」と「最小」の逆転現象

「最大公約数」と「最小公倍数」では、名前にある「最大」「最小」の印象に引っ張られてつまずくことがある。躓きポイントは、「最大公約数」なのに元の二つの数より小さい答えが出ることと、「最小公倍数」なのに元の数より大きい答えが出ることへの違和感である。
例えば \( 12 \) と \( 18 \) の最大公約数は \( 6 \) で、どちらの数よりも小さい。一方、最小公倍数は \( 36 \) で、どちらの数よりも大きい。「最大なら大きな答え、最小なら小さな答えになるはずだ」と考えると、名前と結果が逆転したように見える。

原因は、「最大」「最小」という単語の印象が強く、何の中で比べているかが見えにくくなるためである。最大公約数の「最大」は元の二つの数と比べるのではなく、公約数の集まりの中で最大という意味である。最小公倍数の「最小」も、元の二つの数と比べるのではなく、正の公倍数の集まりの中で最小という意味である。

教え方のコツは、言葉を後半から分解して見せることである。「最大公約数」は、まず「約数」、次に「共通する約数」、最後に「その中で一番大きい数」と考える。「約数という小さい数たちの中で、一番大きいやつ」と言い換えると分かりやすい。
「最小公倍数」は、まず「倍数」、次に「共通する倍数」、最後に「その中で一番小さい数」と考える。「倍数という大きい数たちの中で、一番小さい、つまり最初に出会うやつ」と言い換える。最大・最小だけを見るのではなく、先に「公約数」「公倍数」の候補を書き出してから選ぶと整理しやすい。
言葉比べる数の集まり\( 12 \) と \( 18 \) の例
最大公約数公約数という小さい数たち\( \{1,2,3,6\} \) の中で最大の \( 6 \)
最小公倍数正の公倍数という大きい数たち\( \{36,72,108,\dots\} \) の中で最小の \( 36 \)

コラム:ユークリッドの互除法

ユークリッドの互除法は、二つの自然数の最大公約数を、割り算の余りを繰り返し使って求める方法である。大きい数を小さい数で割り、次は「小さい数」と「余り」の組に置き換える。余りが \( 0 \) になったとき、そのときの割る数が最大公約数になる。
例えば \( 1071 \) と \( 462 \) では、\( 1071=462\times2+147 \)、\( 462=147\times3+21 \)、\( 147=21\times7+0 \) と計算する。最後に割る数となった \( 21 \) が最大公約数なので、\( \gcd(1071,462)=21 \) である。
回割られる数割る数余り
11071462147
246214721
3147210
この方法は、同じ手順を条件が満たされるまで繰り返すアルゴリズムの一種である。コンピュータでは、二つの変数 \( a,b \) を用意し、\( b\ne0 \) の間、\( (a,b) \) を \( (b,a\bmod b) \) に置き換える。ここで \( \bmod \) は割り算の余りを求める演算である。繰り返しが終わると \( a \) に最大公約数が残る。
約数をすべて調べる方法では、数が大きいほど候補が増える。互除法は一回ごとに扱う数を余りまで小さくするため、大きな整数でも少ない回数で計算できる。暗号、分数の約分、数値計算などで使われ、古代から伝わる数学が現代のコンピュータ処理へ直結する例である。
Pythonを使ったユークリッドの互除法
def gcd(a, b):
    while b != 0:
        a, b = b, a % b
    return a
print(gcd(1071, 462))  # 21

コラム:素数

素数
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小学5年では約数を学ぶ。その発展として、教科書や問題集で素数に触れる場合がある。自然数を約数の個数で眺めると、\( 6 \) の約数は \( \{1,2,3,6\} \) の四つだが、\( 5 \) の約数は \( \{1,5\} \) の二つしかない。この違いに注目すると、整数の新しい分類が見えてくる。
素数とは、\( 1 \) より大きい自然数のうち、正の約数が \( 1 \) とその数自身の二つだけである数をいう。小さい方から \( 2,3,5,7,11,13,17,19,\dots \) と続く。\( 1 \) は約数が一つだけなので素数ではない。また、\( 2 \) は唯一の偶数の素数である。
知っておくと便利なのは、\( 2 \) より大きい偶数は \( 2 \) で割り切れるため素数ではないこと、末尾が \( 0 \) または \( 5 \) の数は \( 5 \) より大きければ素数ではないことである。各位の数字の和が \( 3 \) の倍数なら、その数も \( 3 \) で割り切れる。こうした見分け方を使うと、素数かどうかを調べる候補を減らせる。
素数は、自然数を掛け算へ分解するときの基本材料でもある。例えば \( 12=2^2\times3 \) のように素数だけの積で表すことを素因数分解という。素数と素因数分解については、中学校の数学で詳しく学ぶ。ここでは、約数が二つだけの特別な自然数があることを知っておけばよい。

参考書籍

表紙 素数はなぜ人を惹きつけるのか
著者 竹内薫
出版社 朝日新聞出版
サイズ 新書
発売日 2015年02月13日頃
価格 792円(税込)
ISBN 9784022736031

参考サイト

(この項おわり)
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