2.14 平均とデータ(小学5〜6年)

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児童が集めた記録から平均とデータの整理を教える水奈
記録を表とグラフに整理して、データの特徴を調べる
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毎日の読書時間や植物の高さを比べるとき、値が一つずつ異なるだけでは全体の特徴をつかみにくい。平均は、合計した量を同じ大きさになるよう分け直した値であり、データを代表する一つの目安になる。しかし、平均だけでは分布の偏りや極端な値を見落とすこともある。
この項では、平均を「合計÷個数」として捉え、平均から合計を求める方法を学ぶ。さらに、度数分布表、柱状グラフ、ドットプロット、中央値、最頻値を用いてデータの特徴を読み取り、それらを明確に示す\( \TeX \)表記を紹介する。

目次

本項で扱う範囲

本項の要点
小学5年平均の意味を理解し、合計と個数から平均を求める
小学5年平均を用いて、全体の量を見積もる
小学6年度数分布表、柱状グラフ、ドットプロットでデータを整理する
代表値平均値、中央値、最頻値を比べ、目的に合う値を選ぶ
\( \TeX \)\frac\sum\bar{x}\begin{array} を使う

教科書で見かける式

内容表示意味
平均\( \displaystyle \frac{12+15+18}{3}=15 \)合計を個数で割る
合計の推定\( 15\times20=300 \)平均と個数から合計を求める
平均値\( \displaystyle \bar{x}=\frac{x_1+x_2+\cdots+x_n}{n} \)\( n \) 個のデータの合計を \( n \) で割る
中央値\( 10,15,[15],20,40 \)順に並べた中央の値は15
最頻値\( \operatorname{mode}=15 \)最も多く現れる値は15
度数\( \displaystyle \sum f_i=20 \)各階級の度数の合計はデータの総数

\( \TeX \)表記

平均は、いくつかの量を合計し、その個数で割って求める。3日間の読書時間が12分、15分、18分なら、平均は \( \displaystyle \frac{12+15+18}{3}=15 \) 分である。これは、合計45分を3日へ等しく分け直した値と考えられる。平均が15分で20日間続けたとみなせば、合計は \( 15\times20=300 \) 分と見積もれる。
データを \( x_1,x_2,\dots,x_n \) とすると、平均値は \( \displaystyle \bar{x}=\frac{x_1+x_2+\cdots+x_n}{n} \) と表せる。記号 \( \bar{x} \) は「エックス・バー」と読み、平均値を表す。小学校ではこの一般式を覚える必要はないが、多くのデータにも同じ考え方が使えることを簡潔に示せる。

小学6年では、データを大きさの順に並べ、同じ値がいくつあるかを調べる。中央に位置する値が中央値、最も多く現れる値が最頻値である。データの個数が偶数なら、中央の二つの値の平均を中央値とする。例えば \( 8,10,14,20 \) の中央値は \( \displaystyle \frac{10+14}{2}=12 \) である。
値を一定の幅で区切った範囲を階級、その範囲に入るデータの個数を度数という。度数分布表はデータの散らばりを整理し、柱状グラフは各階級の度数を棒の高さで表す。代表値だけでなく、範囲、山の位置、左右の偏り、極端な値にも着目すると、データの特徴をより正確に説明できる。

統計グラフの種類

データは目的に合うグラフへ整理する。小学3年では項目ごとの数量を棒の長さで比べる棒グラフ、小学4年では時間に伴う変化を線で結ぶ折れ線グラフを学ぶ。小学5年では全体に対する各部分の割合を帯グラフや円グラフで表す。

小学6年では、個々の値を点で積み上げるドットプロット、値を階級に分けて個数をまとめる度数分布表、各階級の度数を柱で表す柱状グラフを扱う。分布を代表する値として平均値、小さい順に並べた中央の中央値、最も多く現れる最頻値を明示し、グラフの形や散らばりと併せて判断する。
学年表し方読み取ること
小学3年棒グラフ項目ごとの数量の大小
小学4年折れ線グラフ時間に伴う変化と増減
小学5年帯グラフ・円グラフ全体を1とした各部分の割合
小学6年ドットプロット・度数分布表・柱状グラフデータの分布、中心、散らばり

TikZとPGFPlotsによるグラフ表記

PGFPlotsで描いた棒グラフと折れ線グラフ
通常のLaTeXで作図し、WebPへ変換した統計グラフ
本サイトのKaTeXは数式表示を目的としており、TikZPGFPlots によるグラフ描画には対応しない。一方、通常のLaTeX環境では、TikZとPGFPlotsを使って軸、目盛り、棒、折れ線を座標から作図できる。本項ではコードをLaTeXでコンパイルし、結果をSVGまたはWebPへ変換して画像として表示する。
PGFPlotsによる棒グラフ
\begin{tikzpicture}
\begin{axis}[ybar,xlabel={点数},ylabel={人数},xtick=data]
\addplot coordinates {(40,1) (50,1) (60,7) (70,4) (80,2) (90,2) (100,3)};
\end{axis}
\end{tikzpicture}
PGFPlotsによる折れ線グラフ
\begin{tikzpicture}
\begin{axis}[xlabel={月},ylabel={平均点},xtick={1,2,3,4,5}]
\addplot[color=blue,mark=*] coordinates {(1,62) (2,68) (3,71) (4,75) (5,80)};
\end{axis}
\end{tikzpicture}

\( \TeX \)命令の読み方と意味

\( \TeX \)表記読み方意味
\frac{a}{b}フラクション分子 \( a \)、分母 \( b \) の分数を作る
\bar{x}バー・エックス\( x \) の上に横線を付け、平均値 \( \bar{x} \) を表す
\sumサム合計を表す記号 \( \displaystyle \sum \) を表示する
\cdotsセンター・ドッツ式の中央に省略記号 \( \cdots \) を表示する
\operatorname{mode}オペレーター・ネーム最頻値を表す語 mode を立体で表示する
\begin{array}アレイデータや度数を行と列にそろえる

よくある間違い

合計を違う個数で割る
平均は、合計に使ったデータの個数で割る。欠席者や記録なしを含めるかどうかを先に確かめる。
平均を実際に存在する値だと考える
平均は等しく分け直した代表値なので、実際のデータに同じ値がなくてもよい。
0を記録なしとして除く
0が実際の測定値なら個数にも合計にも含める。未測定を表す空欄とは区別する。
平均を求めるとき単位をそろえない
1分30秒と80秒を平均するなら、90秒と80秒のように同じ単位へ直してから計算する。
中央値を並べ替えずに選ぶ
中央値はデータを小さい順または大きい順に並べてから中央を選ぶ。
偶数個の中央値を中央の片方にする
データが偶数個なら中央の二つの値の平均を求める。
最頻値は必ず一つだと考える
同じ最大度数を持つ値が複数ある場合も、最頻値がない場合もある。
平均だけで二つの集団を同じと判断する
平均が同じでも散らばりや分布は異なるため、表やグラフも比較する。

コピーして使える例

平均の計算
\( \displaystyle \frac{12 + 15 + 18}{3} = 15 \)
平均値の一般式
\( \displaystyle \bar{x} = \frac{x_1 + x_2 + \cdots + x_n}{n} \)
偶数個の中央値
\( \displaystyle \frac{10 + 14}{2} = 12 \)
度数分布表
\( \begin{array}{c|rrrr} \text{階級(分)} & 0\text{~}10 & 10\text{~}20 & 20\text{~}30 & 30\text{~}40 \\ \hline \text{度数(人)} & 2 & 5 & 4 & 1 \end{array} \)

練習問題


次の問題を解き、必要な式を\( \TeX \)表記で記述する。
  1. 5日間の読書時間が12分、18分、15分、20分、10分であった。平均を求める。
  2. 1個の重さが平均120 gのりんごが8個ある。全体の重さを見積もる。
  3. データ \( 3,7,5,7,8,7,4 \) の平均値、中央値、最頻値を求める。
  4. データ \( 6,10,12,18 \) の中央値を求める。
  5. A組の得点は \( 40,50,60,70,80 \)、B組の得点は \( 58,59,60,61,62 \) である。平均を求め、散らばりの違いを説明する。
解答例
  1. \( \displaystyle \frac{12+18+15+20+10}{5}=15 \) より15分
  2. \( 120\times8=960 \) より約 \( 960\,\mathrm{g} \)
  3. 小さい順は \( 3,4,5,7,7,7,8 \)。平均値は \( \displaystyle \frac{41}{7}=5\frac{6}{7} \)、中央値は7、最頻値は7
  4. \( \displaystyle \frac{10+12}{2}=11 \)
  5. どちらも平均は60点である。A組は40~80点に広がり、B組は58~62点に集まっている。

学習指導要領上の位置づけ

小学校算数の第5学年「D データの活用」では、測定値の平均について、その意味と求め方を理解し、平均を用いて全体の量を見積もる。平均を単なる計算手順とせず、幾つかの数量を同じ大きさに均した値として捉え、目的に応じて活用する。
第6学年では、目的に応じてデータを集め、ドットプロットや度数分布表などへ整理し、代表値やデータの散らばりに着目して考察する。結論が妥当かを批判的に検討する態度も重視される。これらは中学校数学で学ぶヒストグラム、相対度数、範囲、四分位範囲などの統計学習へつながる。

次項:文字を使った式(小学4~6年)

次項では、□、△、\( x \)、\( a \) などを使って数量の関係を式に表す方法を学ぶ。文字へ数を当てはめる方法や、文字式を読みやすく表す\( \TeX \)表記も紹介する。

コラム:平均だけでは見えないこと

統計では、多数のデータをそのまま眺めるだけでなく、平均値、中央値、最頻値などの代表値へまとめて全体の特徴を捉える。代表値は比較や説明をしやすくする一方、異なるデータを一つの数へ丸めるため、個々の違い、散らばり、偏り、少数の例外などが「見えないこと」になる。代表値はデータ全体の代わりではなく、ある一面を要約した値である。

例えば \( 10,15,15,20,40 \) の平均値は20、中央値と最頻値は15である。40という大きな値が平均を押し上げるため、平均値20だけを見ると、多くのデータが15付近にあることが見えにくい。このように、他の値から大きく離れた値を外れ値と呼ぶことがある。平均が同じ二つの集団でも、一方は平均付近に集まり、もう一方は広く散らばっている場合がある。

合計を公平に分け直した値や、全体量の推定に使う値が必要なら平均値が適している。靴の売れ筋のサイズを知りたいなら最頻値、通学時間の中央的な児童を知りたいなら中央値が役立つ。どの代表値が正しいかを一律に決めるのではなく、何を知りたいのか、代表値に丸めたことで何が見えなくなったのかを問い、元のデータ、表、グラフ、散らばり、外れ値も併せて確かめることが大切である。
代表値求め方向いている場面
平均値合計÷個数全体を均した値や合計の見積もり
中央値順に並べた中央外れ値の影響を小さくしたい比較
最頻値最も多く現れる値最も典型的な値や売れ筋の把握

コラム:平均値・中央値・最頻値

テスト得点の頻度グラフに平均値、中央値、最頻値を示した図
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クラスのテスト得点について、横軸を点数、縦軸を人数とする頻度グラフを考える。棒の凹凸をなくし、全区間で同じ高さにしたときに求まるのは、平均点ではなく「得点区分当たりの平均人数」である。
平均点は、それぞれの棒を重さとみなしたとき、グラフ全体が得点方向につり合う支点の位置として表せる。

中央値は、低い得点から人数を数え、全員を前半と後半に分ける位置である。グラフでは、棒が表す人数の合計を左右半分ずつに分ける垂直線として示せる。横軸の長さを半分にするのではなく、左右の人数を半分にする点に注意する。20人なら、小さい方から10番目と11番目の得点の平均が中央値である。

最頻値は、人数が最も多い得点、すなわち最も高い棒の位置である。得点を「60点以上70点未満」のような階級にまとめた場合は、最も高い棒の範囲を最頻階級という。元の得点が残っていなければ、その階級内のどの点が最頻値かまでは分からない。
代表値頻度グラフ上の表し方
平均値全ての棒を重さとみなしたときのつり合う位置
中央値棒が表す人数の合計を左右半分に分ける位置
最頻値最も高い棒がある位置
棒を同じ高さにならす得点の平均ではなく、得点区分当たりの平均人数

コラム:グループ全体の平均(加重平均)の誤解

小学6年の応用問題では、人数の異なるグループの平均をまとめるときにつまずきやすい。例えば「男子20人の平均が60点、女子10人の平均が90点。全体の平均は何点か」という問題で、\( (60+90)\div2=75 \) 点とする誤りがある。これは二つの平均を同じ重さで扱い、人数の違いを無視している。

対処するときは、一度「合計点の世界に戻る」と考える。男子の合計点は \( 60\times20=1200 \) 点、女子の合計点は \( 90\times10=900 \) 点である。したがって、全体の合計点は \( 1200+900=2100 \) 点、全体の人数は \( 20+10=30 \) 人となる。全体の平均は \( 2100\div30=70 \) 点である。

このように、人数を重みとして平均をまとめる方法を加重平均という。式では \( \displaystyle \frac{60\times20+90\times10}{20+10}=70 \) と表せる。「平均同士を足すのではなく、全員の合計点÷全員の人数でやり直そう」と声を掛けると、平均の意味へ戻って考えられる。各グループの人数が等しい場合に限り、平均同士の単純な平均と全体平均が一致する。
グループ平均点人数合計点
男子60点20人1200点
女子90点10人900点
全体70点30人2100点

コラム:Excelのaverage関数

社会人になると、売上、作業時間、測定値、アンケート結果などをMicrosoft Excelで集計する機会が増える。そこでよく使うのがAVERAGE関数である。ただし、計算式を入力する前に、データの意味と単位をそろえなければならない。1時間30分と80分、2 kgと500 gのように異なる単位の値をそのまま同じ列へ入れると、Excelは単位の違いを判断せず、表示された数値として平均してしまう。

同じ範囲に数値だけが入り、エラー値がなければ、AVERAGE関数はSUM関数の結果をCOUNT関数の結果で割った値と同じになる。例えばA1からA5に \( 10,20 \)、空白、文字列「N/A」、\( 0 \) が入っているとする。=AVERAGE(A1:A5) は、空白と文字列を除外し、0を含む3個の数値を計算するため、平均は \( \displaystyle \frac{10+20+0}{3}=10 \) となる。=SUM(A1:A5)/COUNT(A1:A5) も \( 30\div3=10 \) となる。
セルの内容AVERAGEの扱いSUM/COUNTの扱い
数値平均に含めるSUMで合計し、COUNTで数える
0平均に含める合計に含め、1個と数える
空白セル除外するCOUNTでは数えない
文字列「N/A」除外するSUMは加えず、COUNTは数えない
エラー値 #N/A#N/Aを返すSUM#N/Aを返すため計算できない
文字列「N/A」とエラー値 \( \#\mathrm{N/A} \) は異なる。文字列は数値でないため範囲内では除外されるが、検索結果が見つからないときなどに生じるエラー値 \( \#\mathrm{N/A} \) が一つでも範囲にあると、AVERAGE関数は平均値を返さず、SUM関数も合計を返さない。エラーを除外するか、原因を直すかはデータの意味に基づいて判断する。また、COUNTA関数は文字列も数えるため、SUM÷COUNTA はAVERAGE関数と同じになるとは限らない。
AVERAGE関数
=AVERAGE(A1:A5)
SUM関数とCOUNT関数
=SUM(A1:A5)/COUNT(A1:A5)
4教科テスト:欠席を0点と区別する成績表
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児童別に4教科の得点を並べる場合、欠席を0点として記録してはならない。0点は「受験して得点が0点」、欠席は「測定値がない」という異なる状態だからである。得点欄は空白にし、「受験」「欠席」「追試待ち」などを別の受験状況欄へ記録すると、未入力と欠席も区別できる。得点列へ「欠席」や「―」などの文字列を混在させず、数値列として保つと集計しやすい。
児童名国語算数理科社会理科の受験状況
青木758268欠席
石井90887085受験
青木の平均を =AVERAGE(B2:E2) で求めると、空白の理科を除いた3教科の平均75点になる。比較するときは「4教科平均」と誤解されないよう、=COUNT(B2:E2) で求めた受験教科数も併記する。総合成績として比べるなら、全教科の受験後に集計する、同じ教科だけで比較するなど、欠測値の扱いを先に決める必要がある。
Excelサンプルデータでは、欠席、追試待ち、実際の0点を区別した成績表と、AVERAGE、SUM、COUNT、COUNTAの違いを数式付きで確認できる。

参考サイト

(この項おわり)
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