3.9 単項式と多項式、式の変形(中学2年)

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単項式と多項式の計算を黒板で教える水奈と中学2年生
同じ文字の部分をもつ項をまとめ、文字式を見通しよく変形する
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買う品物の個数や図形の長さがまだ決まっていなくても、文字を使えば数量の関係を一つの式にまとめられる。複数の項を含む式でも、同じ文字の部分をもつ項を見分ければ、数の計算と同じ考え方で整理できる。
本項では、単項式・多項式・次数・同類項の意味を学び、整式の加法と減法、単項式の乗法と除法を扱う。さらに、目的に応じて式を変形し、数の性質を文字式で説明する方法へ進む。

目次

本項で扱う範囲

本項の要点
中学2年単項式、多項式、項、係数、次数、同類項の意味を理解する
式の計算整式の加法・減法と単項式の乗法・除法を計算する
式の変形目的の文字について解くなど、等しい関係を保って形を変える
式の利用文字式を使って数の性質や数量の関係を説明する
\( \TeX \)^、\frac、\left、\right、\begin{aligned}を使う
文字式(中学1年)では、文字を使った式の書き方、代入、一次式の計算を学んだ。本項では文字が二つ以上ある式や、次数が二次以上の項も扱う。
計算の目標は単に式を短くすることではない。どの項をまとめられるか、なぜ変形しても等しいのかを説明できることが大切である。式を数量の関係として読む力は、次項の連立方程式や、その後の関数・証明にもつながる。

教科書で見かける式

数や文字の積だけでできた式を単項式という。例えば \( 5x^2y \) は一つの単項式で、数の部分5が係数、掛けられている文字の個数の合計3が次数である。文字だけの項 \( x \) の係数は1、\( -y \) の係数は \( -1 \) である。
単項式の和として表される式を多項式といい、一つ一つの単項式を項という。つまり、単項式は項が一つの式、多項式は複数の単項式を加法で結んだ式である。\( 3x^2-2x+7 \) の項は \( 3x^2 \)、\( -2x \)、7であり、符号も含めて分ける。各項の次数のうち最も大きい2が、この多項式の次数である。単項式と多項式を合わせて整式という。
同類項とは、文字の部分が完全に同じ単項式である。例えば \( 3x \) と \( -5x \) は、どちらも文字の部分が \( x \) なので同類項である。\( 2x \) と \( 2y \)、\( 3x \) と \( 3x^2 \) は、文字または指数が異なるため同類項ではない。
次数式分類項
3\( -4ab^2 \)単項式\( -4ab^2 \)
2\( 3x^2-2x+7 \)多項式\( 3x^2,-2x,7 \)
1\( 2a+5b \)多項式\( 2a,5b \)
0\( 9 \)単項式(定数項)\( 9 \)
多項式 \( 3x+2y-5x+4y \) では、\( 3x \) と \( -5x \)、\( 2y \) と \( 4y \) がそれぞれ同類項である。同類項は分配法則を逆に使い、\( 3x-5x=(3-5)x \) のように係数だけを計算して一つの単項式へまとめられる。
一方、\( x \) と \( y \)、\( x \) と \( x^2 \) は文字の部分が異なり、共通する同じ文字式をくくれない。異なる種類の数量を表す項なので、加法のまま残す必要があり、一つの単項式にはまとめられない。
\[ \begin{aligned} 3x+2y-5x+4y &=(3-5)x+(2+4)y \\ &=-2x+6y \end{aligned} \]
多項式の加法は同類項をまとめる。減法では、引く多項式の各項の符号を変えてからまとめる。括弧の前のマイナスを、括弧内のすべての項へ分配することが要点である。
内容計算結果
多項式の加法\( (3x+2y)+(x-5y) \)\( 4x-3y \)
多項式の減法\( (3x+2y)-(x-5y) \)\( 2x+7y \)
単項式の乗法\( (-2a^2b)\times3ab^3 \)\( -6a^3b^4 \)
単項式の除法\( 12x^3y^2\div4xy \)\( 3x^2y \)
単項式の乗法では係数どうしを掛け、同じ文字の指数を足す。除法では係数どうしを割り、同じ文字の指数を引く。\( x^m\times x^n=x^{m+n} \)、\( x^m\div x^n=x^{m-n} \) という指数の規則が使える。除法では、割る式の値が0にならない範囲を考える必要がある。
式の変形では、等式の両辺に同じ操作を行う。例えば長方形の周の長さ \( l=2(a+b) \) を \( a \) について解くと、\( \displaystyle a=\frac{l}{2}-b \) となる。何を求めたいかによって、便利な式の形は変わる。
文字式は数の性質の説明にも使える。二つの偶数を \( 2m \)、\( 2n \) とすると、その和は \( 2m+2n=2(m+n) \) である。\( m+n \) は整数なので、この式は2の倍数であり、「二つの偶数の和は偶数である」と説明できる。文字を置く → 計算する → 式の形を読むという順序を意識する。

\( \TeX \)表記

累乗はキャレット^の後ろに指数を書く。指数が2桁以上または式なら、x^{12}やx^{m+n}のように波括弧で囲む。掛け算の記号は\times、割り算は\divで表す。
複数行の式変形は、ディスプレイ数式の中でaligned環境を使うと等号の位置をそろえられる。位置をそろえたい等号の直前にアンパサンド、改行位置に\\を書く。
\( \TeX \)表記表示用途
-4ab^2\( -4ab^2 \)単項式と累乗
3x^2-2x+7\( 3x^2-2x+7 \)多項式
(-2a^2b)\times3ab^3\( (-2a^2b)\times3ab^3 \)単項式の乗法
12x^3y^2\div4xy\( 12x^3y^2\div4xy \)単項式の除法
a=\frac{l}{2}-b\( \displaystyle a=\frac{l}{2}-b \)分数を含む式の変形
\[ \begin{aligned} (3x+2y)-(x-5y) &=3x+2y-x+5y \\ &=2x+7y \end{aligned} \]

\( \TeX \)命令の読み方と意味

命令読み方役割
x^2キャレット直後の文字や波括弧内を上付きの指数にする
\timesタイムズ乗算記号 \( \times \) を表示する
\divディバイド除算記号 \( \div \) を表示する
\frac{a}{b}フラクション\( \displaystyle \frac{a}{b} \) の形の分数を作る
\left( \right)レフト、ライト中身の高さに合わせて括弧の大きさを調整する
\begin{aligned}アラインド複数行の式を指定位置でそろえる環境を始める
&アンパサンドaligned環境で縦にそろえる位置を指定する
通常の大きさの括弧で足りる短い式では、単に(と)を書けばよい。分数など高さのある式を囲むときは、\left(と\right)を対にすると読みやすい。
インライン数式で分数を読みやすい大きさにする場合は\displaystyleを使う。一方、分数・合計記号・積分記号・行列式を含まない式には付けない。

よくある間違い

文字が違う項をまとめる
\( 3x+2y \) は同類項ではないため、\( 5xy \) や \( 5x \) にはならない。文字の部分が完全に同じ項だけをまとめる。
指数まで係数のように足す
\( 3x^2+2x^2=5x^2 \) であり、\( 5x^4 \) ではない。加法では同類項の係数だけを計算する。
乗法で指数を掛ける
\( x^2\times x^3=x^5 \) である。同じ底の積では指数を足す。
括弧の一部だけ符号を変える
\( -(x-5y)=-x+5y \) のように、マイナスを括弧内のすべての項へ分配する。
項を符号から切り離す
\( 3x^2-2x+7 \) の第2項は \( -2x \) であり、\( 2x \) ではない。
割る式が0になる場合を無視する
文字を含む除法では分母や除数が0でない条件を確かめる。
等式の片側だけを変形する
等式を目的の文字について解くときは、両辺に同じ加減乗除を行い、等しい関係を保つ。

コピーして使える例

同類項をまとめる
\( 3x + 2y - 5x + 4y = -2x + 6y \)
単項式の乗法
\( (-2a^2b) \times 3ab^3 = -6a^3b^4 \)
単項式の除法
\( 12x^3y^2 \div 4xy = 3x^2y \)
目的の文字について解く
\( \displaystyle l = 2(a+b) \quad\Longrightarrow\quad a = \frac{l}{2} - b \)
偶数の和を説明する
\( 2m + 2n = 2(m+n) \)

練習問題


次の問題を解き、式を\( \TeX \)表記で記述する。
  1. 単項式 \( -6a^2b^3 \) の係数と次数を答える。
  2. \( 4x-3y+2x+5y \) を簡単にする。
  3. \( (5a-2b)-(3a+4b) \) を簡単にする。
  4. \( (-3x^2y)\times2xy^3 \) を計算する。
  5. \( 18a^4b^2\div6a^2b \) を計算する。
  6. \( S=ah \) を \( h \) について解く。
  7. 連続する二つの奇数の和が4の倍数になることを文字式で説明する。
解答例
  1. 係数は \( -6 \)、次数は \( 2+3=5 \) である。
  2. \( 4x-3y+2x+5y=6x+2y \)
  3. \( (5a-2b)-(3a+4b)=5a-2b-3a-4b=2a-6b \)
  4. \( (-3x^2y)\times2xy^3=-6x^3y^4 \)
  5. \( 18a^4b^2\div6a^2b=3a^2b \)
  6. \( \displaystyle h=\frac{S}{a} \)。ただし \( a\ne0 \) である。
  7. 整数を \( n \) とすると、連続する二つの奇数は \( 2n+1 \) と \( 2n+3 \) と表せる。その和は \( (2n+1)+(2n+3)=4n+4=4(n+1) \) である。\( n+1 \) は整数なので、この和は4の倍数である。

学習指導要領上の位置づけ

中学校第2学年の「A 数と式」では、具体的な数の計算や既習の計算方法と関連付けて、整式の加法・減法と単項式の乗法・除法を考察し、表現する。また、文字を用いた式で数量や数量の関係を捉えて説明できること、目的に応じて簡単な式を変形できることを扱う。
第1学年で学んだ文字式と一次式の計算を土台に、複数の文字を含む整式へ範囲を広げる段階である。計算技能だけでなく、式の意味を読み取り、数の性質が成り立つ理由を文字式で説明する力が重視される。この学習は、連立二元一次方程式、一次関数、図形の証明へつながる。

次項:連立方程式(中学2年)

次項では、二つの文字を含む二つの一次方程式を組にした連立方程式を扱う。加減法と代入法で共通の解を求め、文章題の数量関係を二つの式に表す方法を学ぶ。

コラム:文字式は計算と説明をつなぐ

文字式には、まだ決まっていない数を表す役割だけでなく、多数の具体例に共通する仕組みを一度に表す役割がある。例えば、偶数を10個調べて和が偶数になっても、それだけではすべての場合の説明にならない。\( 2m+2n=2(m+n) \) と書けば、どの整数 \( m \)、\( n \) に対しても和が2の倍数になることを示せる。
式変形は、この仕組みを見えやすい形へ並べ替える操作である。展開された \( 2m+2n \) は二つの偶数の和を表し、因数をくくった \( 2(m+n) \) は結果が2の倍数であることを表す。等しい二つの形を行き来することで、計算した結果を、理由の説明へ変えられるのである。

コラム:式と方程式の違い

等号を含まない式と等号を含む方程式の違いを黒板で説明する水奈
式は数量を表す表現、方程式は特定の値で成り立つ等式
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単項式や多項式は方程式ではない。単項式と多項式は、数や文字と演算記号で数量を表した「式」である。方程式は、等号で結ばれた二つの式について、文字にどの値を代入すれば成り立つかを考えるものである。
単項式・多項式は「式」
数や文字を掛け合わせたり、単項式を足し合わせたりして作る表現そのものである。単項式 \( 3x \) や多項式 \( 2x+5y-3 \) のように、それ自体には等号 \( = \) を含まない。式は数量や計算のまとまりを表すが、「文字の値を求めよ」という条件はまだない。
方程式は「等式」の一種
等号で結ばれた式のうち、文字に特定の値を代入したときだけ成り立つ等式である。例えば \( 2x+3=7 \) は、\( x=2 \) のときに成り立つ。この成り立たせる文字の値を方程式の解という。
多項式と多項式、または多項式と数を等号で結ぶだけで、いつも方程式になるわけではない。例えば \( 2(x+1)=2x+2 \) はすべての \( x \) で成り立つ恒等式である。等号を含む関係のうち、文字の値によって成り立つかどうかが変わるものが方程式である。
したがって、\( 2x+3 \) は多項式という「式」、\( 2x+3=7 \) は二つの式を等号で結び、特定の \( x \) を求める「方程式」である。式の種類と、式どうしの関係を区別すると、次項の連立方程式も理解しやすくなる。

参考サイト

(この項おわり)
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