同じ文字の部分をもつ項をまとめ、文字式を見通しよく変形する
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目次
本項で扱う範囲
本項の要点
中学2年単項式、多項式、項、係数、次数、同類項の意味を理解する
式の計算整式の加法・減法と単項式の乗法・除法を計算する
式の変形目的の文字について解くなど、等しい関係を保って形を変える
式の利用文字式を使って数の性質や数量の関係を説明する
\( \TeX \)
^、\frac、\left、\right、\begin{aligned}を使う
文字式(中学1年)では、文字を使った式の書き方、代入、一次式の計算を学んだ。本項では文字が二つ以上ある式や、次数が二次以上の項も扱う。
計算の目標は単に式を短くすることではない。どの項をまとめられるか、なぜ変形しても等しいのかを説明できることが大切である。式を数量の関係として読む力は、次項の連立方程式や、その後の関数・証明にもつながる。
計算の目標は単に式を短くすることではない。どの項をまとめられるか、なぜ変形しても等しいのかを説明できることが大切である。式を数量の関係として読む力は、次項の連立方程式や、その後の関数・証明にもつながる。
教科書で見かける式
数や文字の積だけでできた式を単項式という。例えば \( 5x^2y \) は一つの単項式で、数の部分5が係数、掛けられている文字の個数の合計3が次数である。文字だけの項 \( x \) の係数は1、\( -y \) の係数は \( -1 \) である。
単項式の和として表される式を多項式といい、一つ一つの単項式を項という。つまり、単項式は項が一つの式、多項式は複数の単項式を加法で結んだ式である。\( 3x^2-2x+7 \) の項は \( 3x^2 \)、\( -2x \)、7であり、符号も含めて分ける。各項の次数のうち最も大きい2が、この多項式の次数である。単項式と多項式を合わせて整式という。
同類項とは、文字の部分が完全に同じ単項式である。例えば \( 3x \) と \( -5x \) は、どちらも文字の部分が \( x \) なので同類項である。\( 2x \) と \( 2y \)、\( 3x \) と \( 3x^2 \) は、文字または指数が異なるため同類項ではない。
単項式の和として表される式を多項式といい、一つ一つの単項式を項という。つまり、単項式は項が一つの式、多項式は複数の単項式を加法で結んだ式である。\( 3x^2-2x+7 \) の項は \( 3x^2 \)、\( -2x \)、7であり、符号も含めて分ける。各項の次数のうち最も大きい2が、この多項式の次数である。単項式と多項式を合わせて整式という。
同類項とは、文字の部分が完全に同じ単項式である。例えば \( 3x \) と \( -5x \) は、どちらも文字の部分が \( x \) なので同類項である。\( 2x \) と \( 2y \)、\( 3x \) と \( 3x^2 \) は、文字または指数が異なるため同類項ではない。
| 次数 | 式 | 分類 | 項 |
|---|---|---|---|
| 3 | \( -4ab^2 \) | 単項式 | \( -4ab^2 \) |
| 2 | \( 3x^2-2x+7 \) | 多項式 | \( 3x^2,-2x,7 \) |
| 1 | \( 2a+5b \) | 多項式 | \( 2a,5b \) |
| 0 | \( 9 \) | 単項式(定数項) | \( 9 \) |
多項式 \( 3x+2y-5x+4y \) では、\( 3x \) と \( -5x \)、\( 2y \) と \( 4y \) がそれぞれ同類項である。同類項は分配法則を逆に使い、\( 3x-5x=(3-5)x \) のように係数だけを計算して一つの単項式へまとめられる。
一方、\( x \) と \( y \)、\( x \) と \( x^2 \) は文字の部分が異なり、共通する同じ文字式をくくれない。異なる種類の数量を表す項なので、加法のまま残す必要があり、一つの単項式にはまとめられない。
一方、\( x \) と \( y \)、\( x \) と \( x^2 \) は文字の部分が異なり、共通する同じ文字式をくくれない。異なる種類の数量を表す項なので、加法のまま残す必要があり、一つの単項式にはまとめられない。
\[
\begin{aligned}
3x+2y-5x+4y
&=(3-5)x+(2+4)y \\
&=-2x+6y
\end{aligned}
\]
多項式の加法は同類項をまとめる。減法では、引く多項式の各項の符号を変えてからまとめる。括弧の前のマイナスを、括弧内のすべての項へ分配することが要点である。
| 内容 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 多項式の加法 | \( (3x+2y)+(x-5y) \) | \( 4x-3y \) |
| 多項式の減法 | \( (3x+2y)-(x-5y) \) | \( 2x+7y \) |
| 単項式の乗法 | \( (-2a^2b)\times3ab^3 \) | \( -6a^3b^4 \) |
| 単項式の除法 | \( 12x^3y^2\div4xy \) | \( 3x^2y \) |
単項式の乗法では係数どうしを掛け、同じ文字の指数を足す。除法では係数どうしを割り、同じ文字の指数を引く。\( x^m\times x^n=x^{m+n} \)、\( x^m\div x^n=x^{m-n} \) という指数の規則が使える。除法では、割る式の値が0にならない範囲を考える必要がある。
式の変形では、等式の両辺に同じ操作を行う。例えば長方形の周の長さ \( l=2(a+b) \) を \( a \) について解くと、\( \displaystyle a=\frac{l}{2}-b \) となる。何を求めたいかによって、便利な式の形は変わる。
式の変形では、等式の両辺に同じ操作を行う。例えば長方形の周の長さ \( l=2(a+b) \) を \( a \) について解くと、\( \displaystyle a=\frac{l}{2}-b \) となる。何を求めたいかによって、便利な式の形は変わる。
文字式は数の性質の説明にも使える。二つの偶数を \( 2m \)、\( 2n \) とすると、その和は \( 2m+2n=2(m+n) \) である。\( m+n \) は整数なので、この式は2の倍数であり、「二つの偶数の和は偶数である」と説明できる。文字を置く → 計算する → 式の形を読むという順序を意識する。
\( \TeX \)表記
累乗はキャレット
複数行の式変形は、ディスプレイ数式の中で
^の後ろに指数を書く。指数が2桁以上または式なら、x^{12}やx^{m+n}のように波括弧で囲む。掛け算の記号は\times、割り算は\divで表す。複数行の式変形は、ディスプレイ数式の中で
aligned環境を使うと等号の位置をそろえられる。位置をそろえたい等号の直前にアンパサンド、改行位置に\\を書く。
| \( \TeX \)表記 | 表示 | 用途 |
|---|---|---|
-4ab^2 | \( -4ab^2 \) | 単項式と累乗 |
3x^2-2x+7 | \( 3x^2-2x+7 \) | 多項式 |
(-2a^2b)\times3ab^3 | \( (-2a^2b)\times3ab^3 \) | 単項式の乗法 |
12x^3y^2\div4xy | \( 12x^3y^2\div4xy \) | 単項式の除法 |
a=\frac{l}{2}-b | \( \displaystyle a=\frac{l}{2}-b \) | 分数を含む式の変形 |
\[
\begin{aligned}
(3x+2y)-(x-5y)
&=3x+2y-x+5y \\
&=2x+7y
\end{aligned}
\]
\( \TeX \)命令の読み方と意味
| 命令 | 読み方 | 役割 |
|---|---|---|
x^2 | キャレット | 直後の文字や波括弧内を上付きの指数にする |
\times | タイムズ | 乗算記号 \( \times \) を表示する |
\div | ディバイド | 除算記号 \( \div \) を表示する |
\frac{a}{b} | フラクション | \( \displaystyle \frac{a}{b} \) の形の分数を作る |
\left( \right) | レフト、ライト | 中身の高さに合わせて括弧の大きさを調整する |
\begin{aligned} | アラインド | 複数行の式を指定位置でそろえる環境を始める |
& | アンパサンド | aligned環境で縦にそろえる位置を指定する |
通常の大きさの括弧で足りる短い式では、単に
インライン数式で分数を読みやすい大きさにする場合は
(と)を書けばよい。分数など高さのある式を囲むときは、\left(と\right)を対にすると読みやすい。インライン数式で分数を読みやすい大きさにする場合は
\displaystyleを使う。一方、分数・合計記号・積分記号・行列式を含まない式には付けない。
よくある間違い
- 文字が違う項をまとめる
- \( 3x+2y \) は同類項ではないため、\( 5xy \) や \( 5x \) にはならない。文字の部分が完全に同じ項だけをまとめる。
- 指数まで係数のように足す
- \( 3x^2+2x^2=5x^2 \) であり、\( 5x^4 \) ではない。加法では同類項の係数だけを計算する。
- 乗法で指数を掛ける
- \( x^2\times x^3=x^5 \) である。同じ底の積では指数を足す。
- 括弧の一部だけ符号を変える
- \( -(x-5y)=-x+5y \) のように、マイナスを括弧内のすべての項へ分配する。
- 項を符号から切り離す
- \( 3x^2-2x+7 \) の第2項は \( -2x \) であり、\( 2x \) ではない。
- 割る式が0になる場合を無視する
- 文字を含む除法では分母や除数が0でない条件を確かめる。
- 等式の片側だけを変形する
- 等式を目的の文字について解くときは、両辺に同じ加減乗除を行い、等しい関係を保つ。
コピーして使える例
同類項をまとめる
\( 3x + 2y - 5x + 4y = -2x + 6y \)
単項式の乗法
\( (-2a^2b) \times 3ab^3 = -6a^3b^4 \)
単項式の除法
\( 12x^3y^2 \div 4xy = 3x^2y \)
目的の文字について解く
\( \displaystyle l = 2(a+b) \quad\Longrightarrow\quad a = \frac{l}{2} - b \)偶数の和を説明する
\( 2m + 2n = 2(m+n) \)
練習問題
次の問題を解き、式を\( \TeX \)表記で記述する。
- 単項式 \( -6a^2b^3 \) の係数と次数を答える。
- \( 4x-3y+2x+5y \) を簡単にする。
- \( (5a-2b)-(3a+4b) \) を簡単にする。
- \( (-3x^2y)\times2xy^3 \) を計算する。
- \( 18a^4b^2\div6a^2b \) を計算する。
- \( S=ah \) を \( h \) について解く。
- 連続する二つの奇数の和が4の倍数になることを文字式で説明する。
解答例
- 係数は \( -6 \)、次数は \( 2+3=5 \) である。
- \( 4x-3y+2x+5y=6x+2y \)
- \( (5a-2b)-(3a+4b)=5a-2b-3a-4b=2a-6b \)
- \( (-3x^2y)\times2xy^3=-6x^3y^4 \)
- \( 18a^4b^2\div6a^2b=3a^2b \)
- \( \displaystyle h=\frac{S}{a} \)。ただし \( a\ne0 \) である。
- 整数を \( n \) とすると、連続する二つの奇数は \( 2n+1 \) と \( 2n+3 \) と表せる。その和は \( (2n+1)+(2n+3)=4n+4=4(n+1) \) である。\( n+1 \) は整数なので、この和は4の倍数である。
学習指導要領上の位置づけ
中学校第2学年の「A 数と式」では、具体的な数の計算や既習の計算方法と関連付けて、整式の加法・減法と単項式の乗法・除法を考察し、表現する。また、文字を用いた式で数量や数量の関係を捉えて説明できること、目的に応じて簡単な式を変形できることを扱う。
第1学年で学んだ文字式と一次式の計算を土台に、複数の文字を含む整式へ範囲を広げる段階である。計算技能だけでなく、式の意味を読み取り、数の性質が成り立つ理由を文字式で説明する力が重視される。この学習は、連立二元一次方程式、一次関数、図形の証明へつながる。
第1学年で学んだ文字式と一次式の計算を土台に、複数の文字を含む整式へ範囲を広げる段階である。計算技能だけでなく、式の意味を読み取り、数の性質が成り立つ理由を文字式で説明する力が重視される。この学習は、連立二元一次方程式、一次関数、図形の証明へつながる。
次項:連立方程式(中学2年)
次項では、二つの文字を含む二つの一次方程式を組にした連立方程式を扱う。加減法と代入法で共通の解を求め、文章題の数量関係を二つの式に表す方法を学ぶ。
コラム:文字式は計算と説明をつなぐ
文字式には、まだ決まっていない数を表す役割だけでなく、多数の具体例に共通する仕組みを一度に表す役割がある。例えば、偶数を10個調べて和が偶数になっても、それだけではすべての場合の説明にならない。\( 2m+2n=2(m+n) \) と書けば、どの整数 \( m \)、\( n \) に対しても和が2の倍数になることを示せる。
式変形は、この仕組みを見えやすい形へ並べ替える操作である。展開された \( 2m+2n \) は二つの偶数の和を表し、因数をくくった \( 2(m+n) \) は結果が2の倍数であることを表す。等しい二つの形を行き来することで、計算した結果を、理由の説明へ変えられるのである。
式変形は、この仕組みを見えやすい形へ並べ替える操作である。展開された \( 2m+2n \) は二つの偶数の和を表し、因数をくくった \( 2(m+n) \) は結果が2の倍数であることを表す。等しい二つの形を行き来することで、計算した結果を、理由の説明へ変えられるのである。
コラム:式と方程式の違い
式は数量を表す表現、方程式は特定の値で成り立つ等式
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単項式や多項式は方程式ではない。単項式と多項式は、数や文字と演算記号で数量を表した「式」である。方程式は、等号で結ばれた二つの式について、文字にどの値を代入すれば成り立つかを考えるものである。
- 単項式・多項式は「式」
- 数や文字を掛け合わせたり、単項式を足し合わせたりして作る表現そのものである。単項式 \( 3x \) や多項式 \( 2x+5y-3 \) のように、それ自体には等号 \( = \) を含まない。式は数量や計算のまとまりを表すが、「文字の値を求めよ」という条件はまだない。
- 方程式は「等式」の一種
- 等号で結ばれた式のうち、文字に特定の値を代入したときだけ成り立つ等式である。例えば \( 2x+3=7 \) は、\( x=2 \) のときに成り立つ。この成り立たせる文字の値を方程式の解という。
多項式と多項式、または多項式と数を等号で結ぶだけで、いつも方程式になるわけではない。例えば \( 2(x+1)=2x+2 \) はすべての \( x \) で成り立つ恒等式である。等号を含む関係のうち、文字の値によって成り立つかどうかが変わるものが方程式である。
したがって、\( 2x+3 \) は多項式という「式」、\( 2x+3=7 \) は二つの式を等号で結び、特定の \( x \) を求める「方程式」である。式の種類と、式どうしの関係を区別すると、次項の連立方程式も理解しやすくなる。
したがって、\( 2x+3 \) は多項式という「式」、\( 2x+3=7 \) は二つの式を等号で結び、特定の \( x \) を求める「方程式」である。式の種類と、式どうしの関係を区別すると、次項の連立方程式も理解しやすくなる。
参考サイト
- 中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編:文部科学省
- 中学2年生数学・展開/板書例 前半:文部科学省
(この項おわり)

本項では、単項式・多項式・次数・同類項の意味を学び、整式の加法と減法、単項式の乗法と除法を扱う。さらに、目的に応じて式を変形し、数の性質を文字式で説明する方法へ進む。