
地下展示室
夕張市石炭博物館(北海道夕張市高松7番地)は、1977年(昭和52年)の北炭夕張炭鉱新第二炭鉱の閉山決定を受けて、「炭鉱から観光へ」をキャッチフレーズに1983年(昭和58年)6月1日に開園したテーマパーク石炭の歴史村の中核施設である。地下展示室では、等身大の人形を使って当時の坑道の様子を再現している。
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夕張市石炭博物館
夕張市石炭博物館は、1970年(昭和45年)開設の夕張市郷土資料館を前身に、1980年(昭和55年)7月に開館した。石炭の歴史村は赤字続きで、2006年(平成18年)の夕張市の財政破綻に伴い閉鎖となるが、2007年(平成19年)に夕張リゾートの運営で営業を再開。このとき、遊園地等の施設は解体撤去した。
2013年(平成25年)に郷土文化施設となり観光施設から文化施設に行政上の扱いを転換したものの、施設老朽化による維持コストが重くのしかかり、2015年(平成27年)に夕張リゾートが手放したことで再び営業停止。夕張市は2016年(平成28年)から2年がかりで夕張市石炭博物館の大規模改修を実施し、2018年(平成30年)4月に営業再開。運営は、岩見沢市のNPO法人「炭鉱の記憶推進事業団」が請け負っている。

サリバン型エアーコンプレッサー
このエアーコンプレッサーは、1922年(大正11年)にアメリカからから27,038円(2022年時点の1835万円に相当)で購入したもので、毎分回転数250RPM、空気発生量58.0m3、380馬力ある。機械部分はサリバン社製、電気部分はG.E.社製である。ここから発生した圧縮空気を、構内配水ポンプ、扇風機、ドリル、ピック、巻揚機機関車などの動力として活用した。

夕張市石炭博物館
1888年(明治21年)に、北海道庁の地質学者、坂市太郎(1854~1920)が夕張の石炭大露頭を発見。翌年、北海道炭礦鉄道会社(後の北海道炭礦汽船、通称北炭)が発足し、夕張炭鉱の開発に着手する。その後、新夕張炭鉱、夕張新炭鉱、平和炭鉱、真谷地炭鉱を開発していく。

一方、1907年(明治40年)に設立した大夕張炭鉱会社は大夕張炭鉱を開発。1912年(明治45年)に三菱鉱業株式会社が買収され、南大夕張炭鉱、万字炭鉱を開発していく。
石炭を運ぶために専用鉄道が敷設された。

一方、1907年(明治40年)に設立した大夕張炭鉱会社は大夕張炭鉱を開発。1912年(明治45年)に三菱鉱業株式会社が買収され、南大夕張炭鉱、万字炭鉱を開発していく。
石炭を運ぶために専用鉄道が敷設された。

立坑ケージ
地下の炭鉱に降りる立坑ケージを模したエレベーターに乗って地下展示室へ向かう。

地下展示室には、炭鉱の技術の推移と様々な鉱山機械・器具などのほか、等身大の人形を使って作業の様子を展示している。

地下展示室には、炭鉱の技術の推移と様々な鉱山機械・器具などのほか、等身大の人形を使って作業の様子を展示している。

安全灯自動充電台
炭鉱で使う安全灯はバッテリー一体型で、使用後は、この充電台に差し込んで180度回転することにより自動充電ができる仕組みになっている。フリーのスマホ充電台のようなものだが、充電時間は7~8時間もかかる。充電された安全灯は10~14時間稼動するという。直流側は3.3~4.2V/0~400Aと、容量がデカイ。

水銀整流器
安全灯自動充電台など、炭鉱内で直流が必要な所では、この水銀整流器を使って交流を直流に整流する。ガラスの内部は真空になっており、寿命は1万時間程度。

真空中で水銀を陰極として放電させると、電流が逆に流れようとすると陰極点(水銀上での電極点)が消滅してアーク放電が消える性質を利用し、交流を直流に整流する。

真空中で水銀を陰極として放電させると、電流が逆に流れようとすると陰極点(水銀上での電極点)が消滅してアーク放電が消える性質を利用し、交流を直流に整流する。

チップラー
チップラーは、石炭を積んだ炭車を積荷ごと回転させ、下にある集炭ポケットに石炭を集積させるのに使う。レバー1本で操作できるようになっている。

架空線式電気機関車
架空線式電気機関車は、坑内の炭車や人車を牽引し、全重量が6トンあることから6トン電車と呼ばれる。東京芝浦電気製で、牽引力は1.5トン、使用電力は600V――水銀整流器を得られる直流電源を使っている。これ以前は馬や、冒頭のコンプレッサーを使った圧縮空気を動力として使っていた。その後、バッテリー電車が登場する。

地下展示室
2016年(平成28年)からの大規模改修の際、地下展示室はほとんど手をつけなかったという。それほどに、炭鉱の歴史を後世に残そうという当初の目標が高かったことが伺われる。

坑口神社
交通アクセス
【バス】
- JR新夕張駅から夕鉄バス「石炭博物館」行きに乗車、約50分
- 札幌駅から中央バス「高速ゆうばり号」を利用し、レースイリゾートで夕鉄バス「石炭博物館」行きに乗り換え、約1時間50分
近隣の情報
- 夕張市石炭博物館で炭鉱の歴史を学ぶ:ぱふぅ家のホームページ
- 万字線・夕張鉄道線・幌内線廃線跡地をゆく:ぱふぅ家のホームページ
- 三笠鉄道村は北海道で活躍した車両を展示:ぱふぅ家のホームページ
(この項おわり)