目次
- 超新星データの見直しで加速膨張の証拠が消えた
- Ia型超新星から見つかった「宇宙の加速膨張」
- 超新星のもとになった星の年齢で明るさが変わる
- 方向によって違う「加速」―等方的な証拠はなし
- ダークエネルギーの存在を揺るがす可能性
- 結論はまだ出ていない
- 参考サイト
超新星データの見直しで加速膨張の証拠が消えた
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2026年(令和8年)6月、インドのタタ基礎研究所とオックスフォード大学などの研究チームが、Ia型超新星という星の観測データを見直した研究結果を発表しました。1998年(平成10年)に見つかった「宇宙の加速膨張」という現象について、全天で一様に加速しているという証拠は見つからなかったと報告しています。
再び宇宙項(宇宙定数)は否定されたのでしょうか。
再び宇宙項(宇宙定数)は否定されたのでしょうか。
Ia型超新星から見つかった「宇宙の加速膨張」
超新星のもとになった星の年齢で明るさが変わる
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近年、Ia型超新星のもとになった星の年齢によって、爆発時の明るさが少しずつ違うとする研究が増えています。年老いた星から生まれた超新星は、距離の物差しとして使うときの明るさの基準からわずかにずれる可能性があるのです。研究チームは、2025年(令和7年)にJ.ソン氏らが提案したこの補正方法を、1701個の超新星をまとめたPantheon+というデータのうち、1670個に適用しました。
補正を加えると、全天で平均した膨張の加速を示す値は、加速側ではなく減速側に近づきました。一方、特定の方向に偏った成分(局所的な動きを反映する部分)は、補正の前後でほとんど変わりませんでした。
方向によって違う「加速」―等方的な証拠はなし
ダークエネルギーの存在を揺るがす可能性
この結果が正しければ、影響は大きなものになります。ダークエネルギーは、宇宙のどこでも同じように働くと考えられている量です。もし加速に見える効果が方向によって違う(異方的な)ものだとすれば、ダークエネルギーではうまく説明できません。

研究チームは、宇宙マイクロ波背景放射(宇宙誕生から間もない頃の光の名残)の温度分布が示す、私たちの銀河の運動方向と、超新星データに残る偏りの方向が一致することも指摘しています。
研究チームは、宇宙マイクロ波背景放射(宇宙誕生から間もない頃の光の名残)の温度分布が示す、私たちの銀河の運動方向と、超新星データに残る偏りの方向が一致することも指摘しています。
結論はまだ出ていない
ただし、この研究だけで宇宙論の常識が覆ったわけではありません。同じ超新星データを扱った別の研究チームは、従来通り宇宙は等方的に加速膨張しているとする分析結果を発表しており、専門家の間でも意見が分かれています。

決着をつけるための手がかりとして期待されているのが、米国のNSFヴェラ・C・ルービン天文台です。今後の観測で数十万個規模のIa型超新星データが得られる見込みで、どちらの主張がより正しいのかを確かめる材料になるとみられています。
決着をつけるための手がかりとして期待されているのが、米国のNSFヴェラ・C・ルービン天文台です。今後の観測で数十万個規模のIa型超新星データが得られる見込みで、どちらの主張がより正しいのかを確かめる材料になるとみられています。
参考サイト
- Pantheon+ supernovae corrected for progenitor age indicate the universe is decelerating:Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
- Analysis of supernova data questions evidence for cosmic acceleration:University of Oxford, Department of Physics
- Dark energy debunked? Cosmic acceleration may be an illusion:ScienceDaily
- 『宇宙のはじまりと素粒子』――原始重力波の検出を目指して
- 『重力のからくり』――超大統一理論への長い道のり
(この項おわり)
