背景がうるさいと人物が埋もれてしまうため、不要なものは構図から外し、必要なら絞りを開いて背景をぼかす。中望遠レンズを使うと、自然な遠近感と美しいぼけが得られる。瞳AFや顔認識を活用すれば、初心者でも目にピントを合わせやすい。さらに順光・逆光・半逆光という光の向きを理解すると、同じ人物でもまったく違う雰囲気に仕上げられる。本項では、これらの基本を順に説明する。
ポートレートの基本
ポートレートとは、人物を主役にした写真のことである。風景や静物と違い、被写体である人に表情や感情があるため、技術だけでなく撮られる人がリラックスできる雰囲気づくりも大切になる。

技術面の基本は3つだ。
技術面の基本は3つだ。
- 瞳にピントを合わせること‥‥人物写真では、瞳がぴたりと合っているかどうかで写真の善し悪しが決まる。
- 背景を整理すること‥‥主役が引き立つよう、余計なものを画面から外す。
- 光の向きを意識すること
ポートレートの基本
撮るときは、いきなりカメラを向けず、少し会話をして表情がほぐれた瞬間を狙うとよい。立ったままの全身よりも、上半身を切り取ったバストアップの方が表情が伝わりやすく、初心者にも撮りやすい。カメラの高さは相手の目の高さに合わせるのが基本で、少し上から撮ると小顔に、下から撮ると堂々とした印象になる。撮影モードは、背景のぼけ具合を自分で決められる絞り優先モード(AまたはAv)が使いやすい。
構図、背景の整理
背景を整理する(イメージ)
人物写真でよくある失敗は、背景に余計なものが写り込むことである。電柱や看板、ゴミ箱、通行人などが背景にあると、せっかくの人物が目立たなくなる。撮影前に背景をよく確認し、一歩動くだけで余計なものを画面から外せることが多い。

人物の配置は、画面の中央だけでなく、左右どちらかに寄せると自然な余白が生まれる。顔の向いている側を広めに空けると、視線の先に空間ができて落ち着いた印象になる。また、人物の頭上を空けすぎない、関節の位置で切らない(手首や膝の真ん中で切らない)といった点に注意すると、窮屈さや不自然さを避けられる。

背景の整理がどうしても難しい場所では、後述のぼかしが役立つ。背景をぼかせば、多少ごちゃついた場所でも人物を浮き立たせられる。さらに、背景の色にも注意したい。人物の服や肌の色と似た色の背景は人物が埋もれやすく、補色や暗めの落ち着いた背景は人物を引き立てる。
人物の配置は、画面の中央だけでなく、左右どちらかに寄せると自然な余白が生まれる。顔の向いている側を広めに空けると、視線の先に空間ができて落ち着いた印象になる。また、人物の頭上を空けすぎない、関節の位置で切らない(手首や膝の真ん中で切らない)といった点に注意すると、窮屈さや不自然さを避けられる。
背景の整理がどうしても難しい場所では、後述のぼかしが役立つ。背景をぼかせば、多少ごちゃついた場所でも人物を浮き立たせられる。さらに、背景の色にも注意したい。人物の服や肌の色と似た色の背景は人物が埋もれやすく、補色や暗めの落ち着いた背景は人物を引き立てる。
ボケを活用する
背景をぼかして人物を際立たせる(イメージ)
背景をぼかすと、人物がくっきり浮かび上がり、視線が主役に集中する。これがポートレートでぼけが好まれる理由である。背景を大きくぼかすには、次の3つが効く。絞りを開く(F値を小さくする)、望遠側を使う、人物と背景を離す、である。
レンズは中望遠(換算85mm前後)が人物撮影の定番である。顔のゆがみが少なく、自然な遠近感と美しいぼけが得られる。F値の小さい単焦点レンズがあれば理想的だが、キットレンズでも望遠側を使い、人物を背景から離して立たせれば十分にぼかせる。ぼけの量と被写界深度の関係は「2.5 露出とブレ」もあわせて確認したい。
| 背景を大きくぼかすには | 操作 |
|---|---|
| 絞りを開く | F値を小さくする(F1.8〜F4など) |
| レンズの焦点距離 | 望遠側を使う(中望遠が定番) |
| 距離の取り方 | 人物と背景を離す |
瞳にピントを合わせる
瞳にピントを合わせる(イメージ)
人物写真でもっとも重要なのが、瞳にピントを合わせることである。背景を大きくぼかした写真ほどピントの合う範囲が狭くなるため、わずかなずれでも目がぼやけて見える。まつげや鼻にピントが来てしまうと、写真全体がピンぼけのような印象になる。
最近のミラーレス一眼やコンパクト機の多くは、顔認識や瞳AFを備えている。カメラが自動で瞳を見つけて追尾してくれるため、初心者でも確実に目へピントを合わせられる。設定で被写体認識を「人物」にしておくとよい。複数の人がいる場合は、画面をタップして主役の瞳を選ぶ。瞳AFがない場合は、1点AFで目の位置に枠を合わせるか、目にピントを合わせてから構図を決めるAFロックを使う。詳しくは「2.4 ピントの合わせ方」を参照してほしい。
順光・逆光・半逆光
半逆光(イメージ)
光の向きは、人物写真の雰囲気を大きく左右する。代表的なのが順光・逆光・半逆光の3つである。
順光は、人物に正面から光が当たる(カメラマンは太陽を背にする)形で、顔が明るくはっきり写る。色も鮮やかに出るが、影が少なく平板な印象になりやすい。また人物がまぶしくて目を細めてしまうことがある。
順光は、人物に正面から光が当たる(カメラマンは太陽を背にする)形で、顔が明るくはっきり写る。色も鮮やかに出るが、影が少なく平板な印象になりやすい。また人物がまぶしくて目を細めてしまうことがある。
逆光は、人物の後ろから光が当たる状態である。髪や肩の輪郭が光って、柔らかく印象的な写真になる。ただし顔が暗くなりやすいため、レフ板やストロボ(日中シンクロ)で顔の影を補うとよい。露出を顔に合わせて少し明るめに補正するのも有効だ。

半逆光は、斜め後ろから光が当たる状態で、輪郭の柔らかさと顔の立体感を両立できる。ポートレートでもっとも扱いやすい光といえる。
晴天の日中は光が強く影が濃くなるため、日陰や薄曇りの柔らかい光を選ぶと、肌がきれいで自然な仕上がりになる。
半逆光は、斜め後ろから光が当たる状態で、輪郭の柔らかさと顔の立体感を両立できる。ポートレートでもっとも扱いやすい光といえる。
晴天の日中は光が強く影が濃くなるため、日陰や薄曇りの柔らかい光を選ぶと、肌がきれいで自然な仕上がりになる。
| 光の向き | 特徴 | 対策・コツ |
|---|---|---|
| 順光 | 明るく鮮やか。影が少なく平板になりやすい | まぶしさに注意。立体感は出しにくい |
| 逆光 | 輪郭が光って柔らかい。顔が暗くなりやすい | レフ板・ストロボ・露出補正で顔を補う |
| 半逆光 | 立体感と柔らかさを両立。扱いやすい | ポートレートにおすすめ |
(この項おわり)

きれいに撮るための要点は多くない。第一に瞳にピントを合わせること、第二に背景を整理して主役を引き立てること、第三に光の向きに注意することである。この3つを押さえるだけで、写真の印象は大きく変わる。