『デッドライン仕事術』――残業は非常識

吉越浩一郎=著
表紙 デッドライン仕事術
著者 吉越浩一郎
出版社 祥伝社
サイズ 新書
発売日 2007年12月
価格 814円(税込)
ISBN 9784396110956
仕事の対極として『休み』ではなく、『遊び』の時間を持てるよう、効率よく働いて、しっかりと休むことが大事(120ページ)

概要

仕事をサボる働き蟻のイラスト
とくにIT業界の管理職の方に読んでいただきたい1冊である。著者の吉越浩一郎さんは、トリンプ・インターナショナル・ジャパンの社長を務めた人物だ。

仕事の対極として『休み』ではなく、『遊び』の時間を持てるよう、効率よく働いて、しっかりと休むことが大事」(120ページ)は名言である。
最近、多くの会社で「ノー残業デー」が設定されている。ところが、実態は、「バグが潰せない」「明日が納期」「顧客からのクレーム対応が」等々の理由で、有名無実化しているところが多い。
これは、どう考えてもおかしい――上層部は残業するなと言いものの、現場ではルールが守られないことが常態化している。まさにダブルスタンダードだ。それなら最初から「ノー残業デー」などというルールを作るべきではない。著者も指摘しているが、この状態は、上層部が現場を知らないとしか言いようがない。
さらに踏み込んで、残業できなければ処理できないような仕事量であるなら、そもそも事業計画が間違っている。もっと人を増やすべきである。
それでは儲からない?――それをやり繰りするのが経営者でしょ。できないなら、会社を潰した方が社員のためである。
とはいえ、トップ層が現場に軸足を置いたら、いろいろ小言を言いたくなるという気持ちは理解できる。それをグッと我慢して、著者は、デッドラインで部下を管理せよと説く。

社会人は仕事を定時に終わらせるのが当たり前で、オフの時間は遊んで、学んで、人生をエンジョイするのは国民の責務(笑)である。そうすれば、国民一人一人が賢くなり、子育ての「ゆとり」が生まれ、地方にお金が落ちる。いまの国内問題はすべて解決するわけだ。
政治家や役人の腐敗も問題であるが、残業が当たり前の生活を送っている我々も考え直す時期に来ているのだと感じる。
(2008年7月17日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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