『コトラーを読む』――顧客価値とは

酒井光雄=著
表紙 コトラーを読む
著者 酒井光雄
出版社 日経BPM(日本経済新聞出版本部)
サイズ 新書
発売日 2007年04月
価格 946円(税込)
ISBN 9784532111397
サービス産業が収益を上げて成長するには、従来とは異なる新たな顧客価値を創造し、他社にない独自のサービスを提供すること(188ページ)

概要

コトラー
「マーケティング」に関する本を読む度に、我らがIT業界はマーケティングから程遠い世界で活動しているな、と少し情けない気持ちになる。本書は、そんなIT業界人でも気軽に読める入門書である。

マーケティングの神様と称されるコトラーは、「サービス産業が収益を上げて成長するには、従来とは異なる新たな顧客価値を創造し、他社にない独自のサービスを提供すること」(188ページ)だと言ったそうだ。我らがIT業界も、システムを介して顧客の価値を増大させるのが仕事だから、もっとマーケティングに関わるべきである。
コトラーは、マーケティングに関する幾つかの定石を置いているが、その1つであるポジショニング――
  • 自社の競争優位性を明らかにする
  • 最適な競争優位性を選ぶ
  • 総合的に最適なポジショニングの戦略を決める
――これくらいはやっているIT企業は多いだろう。

では、コトラーが指摘するところの「価格設定で企業が犯す3つの過ち」――
  • コスト算出だけで、価格設定を行う
  • 収益だけを考えて、価格設定を行う
  • 価格設定に弾力性がない
(100ページ)――については留意されているだろうか。人月コストを積んだ見積書を出していないだろうか。プロジェクト採算を重視し、戦略的な価格設定を行ったことがないということはないだろうか。

顧客は、「暮らしに役立ち、手ごろな価格の製品を求めている」(16ページ)のである。我らがITビジネスは、果たして、この根源的な要求に応えているだろうか。
(2008年7月17日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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