『プロバビリティ・サン』――未知の粒子「確率子」

ナンシー・クレス=著
表紙 プロバビリティ・サン
著者 ナンシー・クレス/金子司
出版社 早川書房
サイズ 文庫
発売日 2008年12月
価格 968円(税込)
rakuten
ISBN 9784150116941

あらすじ

カラビ=ヤウ図形
カラビ=ヤウ図形
地球で謎の人工物の報告書を目にしたカウフマン少佐は、異星人の惑星「世界(ワールド)」の山中に埋まっている「人工物」こそ、地球人類を殲滅しようとする敵エイリアン「フォーラー」を撃破する鍵になると確信した。確率子の研究をしている太陽系随一の物理学者カベロを調査チームに加え、「世界(ワールド)」へ向かい、「人工物」を掘り出す。一方、調査チームは「フォーラー」の生け捕り、コミュニケーションを図ることに成功した――本書は、プロバビリティ3部作の第2部にあたる。。
冒頭の謝辞にあるように、カペロの理論はブライアン・グリーンの『エレガントな宇宙』(草思社、2001年)に着想を得ており、超ひも理論、カラビ=ヤウ図形、フロップ転移といった、数学や物理が好きな方をワクワクさせるキーワードがちりばめられている。

本書の時代設定は2160年代。重力子は2052年に発見されており、カペロは未知の粒子「確率子」を追い求めている最中だ。量子の確率的な振る舞いは、この確率子が支配しているという。

量子力学によって自由な発想が封じられていた間のある昨今のSFだが、この着想は素晴らしい。次の第3部の展開に期待したい。
(2009年1月29日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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